2016年06月09日

女は数学が苦手という偏見

メインブログの6月8日エントリで、女子生徒が理系に進まない、
もしくは文系に進むのはなぜなのか、という記事を見たのでした。

「女性が将来職業生活を続ける見込みよりも
結婚生活への期待が大きい」と、女子が理系に進むことに対して
教育投資することが不利になるというものでした。

「秋元康さん作詞のHKT48の楽曲が女性蔑視だと炎上中だが、
リケジョを増やすために考えるべきこと。」

(はてなブックマーク)

この記事の中でも例によって「女性は数学が苦手」と
さんざん言われた、もしくは言われるというお話が出てきます。



私自身の経験から言えば、小学校の先生に
「理系に進んだほうがいい」と太鼓判を押されたこともある。
しかし中学校以降、授業中に何度も「女子学生は空間図形が苦手」
「女性は数学が苦手」と当の数学教師に言われるにつけ、
「女子学生が数学できたら面倒くさいことになりそうだ。
ただでさえ成績が良ければ生きにくいのに」と、勉強をやめた経緯がある。

多くの女子学生が「授業中に先生に『女子は数学が苦手』
といわれました」と訴えてくるのに驚いたが、
これはけっして私だけの特殊な経験ではない。
女子学生の勉学の芽を摘まないであげて欲しい。 

この「女性は数学が苦手」という固定観念、
そしてそれを繰り返し公言する人がいることこそ、
女性を理工系の科目から遠ざける古典的な要因です。

この言い古された固定観念を持ち出されることで、
もともと数学が苦手な女子生徒が遠ざかるのはもちろん、
記事著者のように数学ができても「ただでさえ成績が
良ければ生きにくいのに」と、勉強をやめ」る
ことがあるという問題があります。


記事の著者は1968年産まれなので、いまから30年ほど前のことですが、
現在の女子学生も「言われた」と訴える人が多いというので、
「女性は数学が苦手」という固定観念は
いまだすたれることなく健在ということになります。

「女子生徒に三角関数を教えてなんになるのか」という
鹿児島県知事の発言を見て、時代錯誤な物言いだと
わたしは思ったのですが、同じような意識の人は
まだまだ珍しくないということだと思います。

「女に三角関数はいらない?」
「女に三角関数はいらない?(2)」


「女性は数学が苦手」という固定観念に根拠はないでしょう。
よく言われる(?)「男女の脳の違い」も根拠のないことです。
女子生徒を数学や理科から遠ざける方便だと思います。

数学は入っていないですが、理科のさまざまな分野について
高校生がどのくらい興味があるかのジェンダー差を調べた調査があります。
日本は分野によってジェンダー差がはっきりとありますが、
アメリカ合衆国はどの分野もジェンダー差がほとんどないです。
数学や理科への興味は、社会に影響されるということです。

「科学に対する興味の男女差」


上述のように女子が理系に進むことに対する教育投資が
見合わないので、それを正当化するために
「女性は数学が苦手」という固定観念を強調した部分も
あったのではないかとも、わたしは思います。


理工系に進む女子生徒を増やすには、理系の職場でも
仕事と子どもの両立をしやすい環境を整えるとか、
長時間労働のような既婚男性優位の労働環境を改善するとか、
そういう「次の段階」に入っているのかと思っていましたよ。

これらももちろん必要ですが、「女子は数学や理科が苦手」という
言い古された固定観念をどうにかすることも、
まだまだ必要ということになりそうです。

(このあたりはかなりむかしから数学教育や理科教育に
関わるかたたちが問題にしてきたので、
研究の蓄積はありますから、情報にはことかかないでしょう。)



関連エントリ:

「理系の女子を増やすために」



posted by たんぽぽ at 23:39| Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私自身は数学超苦手ですけど、だからと言って「女性は数学が苦手」だとは思いません。

私の身の周りという局地的傾向ですが…、

男性は一芸に秀でる(≒天才バカ)。
女性は平均的に”できる”(≒大いに不得意な科目が無い)。

ことを良しとする、ような感じがします。

雑多で煩雑な事案を次々と処理するために、総合的に、現実的に、
”妥当”な判断と、”一通り”の対処能力を求められる女性と、
一つの真理を解明する為に、全身全霊を探求に捧げ尽くし”専門知識”
を駆使して、”前人未踏空前絶後”の成果を挙げることを求められる男性と。

(社会の想定する)その相違なのかな?と思いました。
当たり前ですが、前者にこそ才能を発揮できる男性も、
後者の才能を大いに発揮する女性もいる訳で。
にも関わらず、社会が想定する男性像・女性像を押しつけられて、
あたら才能を発揮できずに終わった人は多いんじゃないか、
本人が自分の才能に気づくことなく、また生かす方法に思い至らず、
もしかしたら、世の中をもっと、ずっと良くすることができたかも知れないのに。
その人個人にとっても、社会にとっても、何という悲しい喪失だろう。
何とかしてすくい上げられないのだろうか?
切実に思います。
Posted by あやめ at 2016年06月14日 00:09
こちらにコメントありがとうございます。

>男性は一芸に秀でる(≒天才バカ)。
>女性は平均的に”できる”(≒大いに不得意な科目が無い)

その傾向は一般的なものかもしれないです。

PISAを使った調査でも、成績優秀な上位数パーセントは男子が多く、
それが男子のほうが成績優秀に見える原因としていたのでした。
全体を平均すると女性のほうが成績がよくなるのですね。

「女子は男子より成績がよい」
http://taraxacum.seesaa.net/article/417911225.html


男子のほうが自由度が大きいので、
平均の上にも下にも逸脱が許されるということでしょう。
自由度の少ない女子は、真ん中に固まることになる、
ということなのでしょう。

個性の重視という観点から言えば、
平均からの逸脱が許されない女性のほうが、
ジェンダーによる制限が大きいだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2016年06月14日 21:56
数学科には男子が多いですが、元の受験者に男子が多いからであって男子が数学得意というわけではないと思います。数学教師ならこれくらいわかりそうなものだと思います。
Posted by イト at 2023年11月28日 01:35
そのようなご指摘に対しては、
「男子のほうが数学が得意だから、
数学科には男性学生のほうが多いのだ」と、
反フェミな人は言いそうです。


数学志望のジェンダー差は、
やはり社会に蔓延するジェンダーバイアスが、
大きいと思います。

たとえば「数学は苦手だ」と訴えることに対して、
女子のほうが「寛容」に扱われる、
ということがあると思います。

まともな数学関係者なら、
「女子は数学が苦手」という現状は、
改善しなければならないものとして、
なんらかの対策を考えると思います。
Posted by たんぽぽ at 2023年11月29日 23:36
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