2016年05月22日

住民票の旧姓併記を検討

安倍政権が住民票やマイナンバーに旧姓併記ができるよう
住民基本台帳法施行令の改正を検討していることがわかりました。
政府の「女性活躍加速のための重点方針」の施策のひとつです。

「住民票に旧姓、併記可能へ 政府が「重点方針」」
(はてなブックマーク)

朝日の記事は短いので全文引用します。



政府が近くまとめる「女性活躍加速のための重点方針」の全容がわかった。
希望すれば住民票やマイナンバーカード(個人番号カード)に
結婚前の旧姓を併記できるように、住民基本台帳法施行令を改正して
「速やかに必要な準備を進める」と明記。

企業や団体に旧姓使用の拡大を働きかけることとした。
重点方針は「すべての女性が輝く社会づくり本部」
(本部長=安倍晋三首相)が決定し、来年度予算案に反映させる。

旧姓使用の拡大をめぐっては、職場などで旧姓を通称名として
使っている実態を調査することも盛り込まれた。

ほかに、女性リーダーを育成するため、
有識者による研究会を立ち上げて今年度中に人材育成のあり方などを検討。
女性起業家同士の交流の場を全国につくり、
創業時や起業後に支援する体制づくりなども進めていく。(伊藤舞虹)

住民票やマイナンバーに旧姓を併記できるようになれば、
通称使用の可能な範囲が広がることは期待できます。
企業で通称使用が認められたり、資格や公的書類で
旧姓の併記がしやすくなることも予想できるでしょう。
これはこれで大きな変化であり、ないよりずっとよいと言えます。


こんな小手先の変革をするくらいなら、
選択的夫婦別姓を認めるほうがずっと筋が通っているという
批判が出てくることは、言うまでもないです。
通称使用はいくら使いやすくなったところで、
ふたつの名前を使う煩雑さを避けたいかたには解決にならないです。

「通称使用はじゅうぶんでない」
「通称使用の可能な範囲」
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」

選択的夫婦別姓をどうしても認めたくないから、
小手先の変革でお茶を濁しているということでしょう。
自民党はむかしから選択的夫婦別姓に反対していて、
通称使用の拡大で解決することを公約にしていたので、
公約通りの実行をするとは言えます。

日本は選択的夫婦別姓が認められない、ほとんど唯一の国です。
「周回遅れ」を通り越して「ガラパゴス」なのに、
この期におよんで小手先の変革しかしないということです。
それくらい選択的夫婦別姓の導入が嫌なのでしょう。
彼らの奉じる「家族思想信仰」の中では、
譲れない程度がそれくらい高いということなのだと思います。

国際基準から見て問題なく女性差別が解消しない状態なのに、
「女性活躍加速」とか「すべての女性が輝く」なんて
銘打っているあたり、これでも安倍首相や安倍政権は、
「女性のための施策」に積極的なつもりなのでしょう。


それにしてもこんな小手先程度の変革でさえ、
自民党はいままでずっとなにもしないで放置していたのでした。
住民票に旧姓併記なんて、そんなに「通称使用でじゅうぶん」なら
とっくに認めてよいはずのものだからです。

自民党の反対派議員たちは「通称使用の法制化を進めている」と、
かなりむかしから言い続けていましたが、
実際には法制化の準備なんてろくにしていなくて、
法案らしきものは、影も形もない状態だったのでした。

「まぼろしの通称法案」


posted by たんぽぽ at 18:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もう政府は「選択制夫婦別姓を導入するには莫大な税金がかかる」と謎の反対意見は言えなくなった。
これが出来て戸籍にひとつ欄を作る税金がないとは言わせません。
改めて戦うまでです!
Posted by 乾紀子 at 2016年05月22日 22:19
乾紀子さま、こちらにコメントありがとうございます。

>もう政府は「選択制夫婦別姓を導入するには莫大な税金がかかる」
>と謎の反対意見は言えなくなった。

おお、それは確かにそうですね。
住民票に旧姓併記ができるコストがあるなら、
戸籍を夫婦別姓対応にするくらいどうということはないですね。

戸籍はとっくの昔に、夫婦別姓対応にできるようフォーマットを
作り直しているから、なおさら低コストでしょうし。


反対派(非共存派)が、これで本当に選択的夫婦別姓を
導入する際のコストのことを言わなくなるかどうかは、
また別の問題なのでしょうけれど。
Posted by たんぽぽ at 2016年05月23日 22:54
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック