2016年05月18日

イタリアで同性結婚法案成立

イタリアで同性結婚のパートナーシップを認める法案が可決しました。
ヨーロッパの民主主義国の中では、同性結婚に対して
なんらかの法的権利を認めた最後の国となりました。

「同性カップル法、イタリアで成立 西欧主要国の中で最後」
(はてなブックマーク)
同性のカップルらに結婚に準じた法的な権利を与える
シビル・ユニオン(共同生活者)法が11日、
イタリア下院(定数630)で賛成多数で可決され、成立した。
同性カップルの法的権利が認められていなかった同国が、
保守派の反対を押し切り、一歩を踏み出した。


1月31日エントリでは、審議入りを控えている
というニュースを取り上げたのでした。
たぶんだいじょうぶだろうと思ってはいたものの、
どうなるかと心配は、わたしにはあったのでした。
無事法案成立にいたることになりました。

「イタリアの同性結婚雑感」

イタリアはヨーロッパの民主主義国の中では
同性結婚になんら法的権利がない最後の国だったのでした。
2015年12月にギリシャで同性結婚のパートナーシップが
認められたので、イタリアが最後に残ったのでした。

「ギリシャの同性結婚雑感」

イタリアはカトリックのお膝元ということもあって、
家族やジェンダーに対しては因習・反動的であり、
周辺国に比べて政策の導入が遅れがちです。
同性結婚のパートナーシップが遅れたのも、
因習・反動的な人たちの反対が強いことによります。

それでもこの問題に関しては、日本よりはずっと進んでいます。
日本は同性結婚に対する法的権利はまったくなく、
今後認められる気配もないからです。
それどころか選択的夫婦別姓でさえ認められる可能性がなく、
夫婦同姓が強制されるほとんど唯一の国なくらいです。


1月31日エントリで触れましたが、同性結婚に法的権利を認めないことで、
イタリアは欧州人権裁判所から制裁を受けていました。
同性結婚の権利を認めないと制裁を受けるという、
ヨーロッパのレベルの高さを感じます。
(日本のレベルが低すぎるということかもしれないです。)

イタリアは昨年7月、欧州人権裁判所から法整備を勧告され、
国内の人権団体などが権利獲得に向けた運動を強めていた。

日本では「同性愛者の問題を人権問題として扱わなくて良い」
と答える政党が圧倒的多数で政権を取り、
憲法24条の「両性の合意」は「同性結婚の禁止」と解釈して、
それを尊重するなどと言っているくらいです。

「自民党の性的少数者排除」
「LGBTについての自民基本方針」

選択的夫婦別姓でさえ認められなくても憲法違反でないという
判決を出して、最高裁判所が現状にお墨付きを与えて、
民法改正をほぼ絶望的な状態に追い込むくらいです。

「夫婦別姓訴訟違憲判決ならず」

記事を見ると、インタビューを受けたかたが、
「新法は遅すぎた」とコメントしています。
そのイタリアより日本ははるかに遅れていて、
なおさら制裁を受けるレベルにあるということです。

同性のパートナーとともに2人の子どもを育てる
デルフィナ・アロンジさん(38)は「新法は遅すぎた。
子どもの権利が守られず、満足していない。
今後も闘い続けなければならない」と語った。


イタリアで同性愛者に対するパートナーシップが認められたとき、
首相が「多くの人にとってお祝いの日」と言ったのでした。
ギリシャでもパートナーシップ法案が可決したのとき
「同性愛者に対する「謝罪」」と首相がコメントしたのでした。

レンツィ首相はフェイスブックに
「今日は多くの人にとってお祝いの日だ」と書き込んだ。

日本で同性結婚や選択的夫婦別姓が認められたとき、
首相が同じように「お祝いの日」「謝罪」と言うだろうかと思います。
(首相が自民党でなければ言う?)


イタリアで認められた法案では、養子縁組に関する規定を削除して、
反対派の抵抗対策をすることにはなったのでした。
反対派に譲歩を強いられることは、他国にもあるということです。
パートナーシップが認められたことは大きかったとはいえ、
まだまだふじゅうぶんなところも多いようです。

法案は2月に上院を通過したが、法案通過を確実にするため、
同性婚を認めることになるとして教会や保守派が最も懸念を示していた
同性カップルの養子縁組に関する規定は削除された。


posted by たんぽぽ at 23:39| Comment(4) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こういうニュースを聞くたびに、日本の情けなさが際立ちますね。
Posted by 魚 at 2016年05月19日 11:55
魚さま、お久しぶりです。
こちらにコメントありがとうございます。

今後もこういうニュースはつぎつぎと出てきますよ。
そのたびに日本の後進性がきわだってくることになるのでしょう。
Posted by たんぽぽ at 2016年05月19日 22:48
やはり成立しましたか。
大きな声でおめでとうと伝えたいです。
「イタリアの同性結婚雑感」では少々懐疑していましたが、何よりでした。

バチカンのお膝元とはいえ、何のかんの言っても地球上最古の国家ですからね。
複雑微妙な政治調整能力や、現実的選択に柔軟に対処する能力がなければ、
2000年以上生き残っていかれません。
ヨーロッパの要所で有り続けた国家の地力と言えそうです。

とはいえ、何よりも現在ヨーロッパを席巻している「人道主義」の流れに乗ったもの
と言うのが正しいだろうと思います。
現実的感覚を未だ失わないイタリアが、それに鈍感でいられるわけがないだろう、と。

日本やアメリカでは、近代的国家の成立という面では比較的新しいことから、
経済であるとか、何か世の中が悪くなったときに経験不足からヒステリー反応
を示すことがままあるように思います。
アメリカのトランプ氏の台頭しかり、安倍首相の右翼思想しかり…。

ヨーロッパではそんな危機は何度もあって、それをどうにかこうにか乗り越えた
経験しているからこそ、ある種の『我慢』ができるのだと思います。
カアッとのぼせ上がって『戦争だ!』『根絶やしだ!』の前に、
『待て。ここは落ち着いてよく考えてみよう』と思い留まれるだけの
長い長い経験の蓄積がある。
特にイタリアでは、何しろムッソリーニの愛弟子がしでかした『ナチスドイツ』という、
とてつもなく高い代償を払って手にした知見ですから、これはそう簡単に
手放す訳にはいかないのだろうと思います。
Posted by あやめ at 2016年05月22日 21:31
あやめさま、こちらにコメントありがとうございます。

わたしはイタリア史はあまり詳しくないですが、
いまのイタリアが古代ローマの伝統を
どのくらい引き継いでいるかは、わたしには「?」なのですよね。

イタリアは中世以来ずっと、いくつもの小さな国家に分かれて、
別個の歴史やアイデンティティを持っていましたからね。
時代がくだって周辺国の国力が高くなると、
イタリアは他国の王さまが治めるところとなっていったのでした。
統一国家のイタリアが現れたのはいまから150年ほど前です。

バチカンの聖庁は西欧キリスト教世界の権威であり、
因習・反動的でしたから、イタリアの自由主義に対して
しばしば壁となって立ちはばかることは、たしかにあったのですが。
イタリア統一の邪魔になることもありましたし。


現在のヨーロッパが人権問題に敏感なのは、
第二次世界大戦の反省があることは確かですね。
それゆえ日本にはなおさらですが、アメリカ合衆国にもない
人権重視の姿勢が、ヨーロッパにはあるのでしょう。
Posted by たんぽぽ at 2016年05月23日 22:49
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