2016年05月08日

男性の性暴力被害クリニック(2)

5月7日エントリで、ストックホルムの強姦被害者のための
クリニックが、世界で初めて男性やトランスジェンダーの被害者の
診察を始めたというお話をしました。

「男性の性暴力被害クリニック」

なおざりにされやすい男性の性暴力被害者の支援を
世界に先駆けて行なうスウェーデンは、やはりジェンダー平等の
先進国だと考えるのが一般的理解だと思います。

ところが「男性の性暴力被害に理解がある」とは考えず、
「性犯罪大国の汚名を返上するため」と考える人もいるようです。

「世界初、性犯罪被害者の男性向け救済センターがオープン(スウェーデン)」


スウェーデンの大病院に性犯罪の被害にあった男性のための
救済センターが誕生し、世界でも例がないとして大きな注目を集めている。
欧州ワースト1のレイプ大国と言われるスウェーデン、
なんとしてもその汚名を返上したいところである。
ヨーロッパ諸国の中でスウェーデンが“ワースト1のレイプ大国”
という悪いレッテルを貼られていることに
頭を抱えていたスウェーデン全国犯罪防止協議会
(Swedish National Council for Crime Prevention)が、
そうした男性向けのセンターも早急に必要と訴え、
複数の政党がそれを支持したという

ここには「スウェーデンが“ワースト1のレイプ大国”という
悪いレッテル」というくだりで、「反フェミ」や移民排斥論者が流す
「スウェーデンは強姦大国」というアジテーションを
信じているという問題があります。


わたしのブログでもお話してきたことですが、
スウェーデンの強姦の認知件数が多いのは、
スウェーデンの法律では性犯罪とされる範囲が広いことや
被害者がまがりなりにも訴えやすいことによるものです。
それはそれだけ性犯罪の被害者の権利が認められているということです。

「スウェーデンは強姦大国?」
「スウェーデンは強姦大国?(2)」
「スウェーデンは強姦大国?(3)」
「スウェーデンは強姦大国?(4)」

「アサンジ擁護の記事のメモ」
「アサンジ擁護の記事のメモ(2)」

スウェーデンの性暴力禁止法は、個人の性的自由に
基礎を置くものであり、貞操概念の影響が残る諸外国の
同種の法律と比べてずっと進んでいるものです。
こうしたコンセプトの違いが、スウェーデンの性暴力禁止法の
内容や適用が他国より厳しくなるゆえんとなってきます。

アサンジ事件におけるアサンジの擁護者たちは
「スウェーデン法に特異な「不意打ちの性交渉」」と言って、
スウェーデンの性犯罪防止法が、他国の「スタンダード」より
異様に厳しいことを揶揄してもいたのでした。


さきの「レイプ大国」「汚名を返上」などと書いた記事は、
男性の性暴力被害に対する無理解もありそうに思います。
記事の論調に「本来ならそんなに必要のない男性の
性暴力被害者の対策を、汚名返上のためにやりだした」
というニュアンスを感じるからです。

とくに男性にとっては、自分が性暴力の被害にあったとき
救済されるのですから、本来なら歓迎することだと思います。
それをネガティブなことのようにとらえるのは、
男性が性暴力の被害を受けることは、ほとんどの男性にとって
自分とは関係ない「他人ごと」なのでしょう。

「女性にとって性を売ること(2)」

スウェーデンが強姦対策に躍起になっていることは事実です。
もっとも記事は、男性の強姦被害者の救済センターについてです。

>ヨーロッパ諸国の中でスウェーデンが“ワースト1のレ イプ大国”
という悪いレッテルを貼られていることに頭を抱えていた
スウェーデン全国犯罪防止協議会(Swedish National Council for Crime Prevention)

http://japan.techinsight.jp/2015/10/yokote2015101610230.html

(2016年04月18日 21:28)
同性の性的自己決定権が侵害されている事実に対して、真摯に対応している
国のニュースを、「国の恥」と評している記事を平気で載せられるのね。

(2016年04月19日 22:28)


男性の性暴力被害者の支援を声高だかに主張する人は、
いわゆる「男性差別論者」の中にもあまりいないようです。
(「痴漢冤罪」には敏感な人はたくさんいるようですが。)
彼らも男性の性暴力被害を実感してないということだと言えます。


痴漢被害にあった男性に対して嘲笑するなど
二次加害を展開した男性もたくさんいたことがあったのでした。
(被害に対して理解を示したのは女性ばかりなりでした。)
このあたりが男性の性暴力被害者に対する、
一般的な男性の認識ということなのでしょう。

「男性の痴漢被害の体験談」


このような無理解な人たちがたくさんいるから、
男性の性暴力被害者が抑圧されることになるわけですし、
男性の被害者を対象にするスウェーデンの医療機関の方針が
「画期的」として評価されることになるのだと思います。



posted by たんぽぽ at 23:37| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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