OECDが科学論文における女性著者の割合のデータを出していました。
これを見てみたいと思います。
国際女性の日にちなんでOECDが出していた、科学論文における女性著者の割合。日本はOECD諸国で最下位…。 pic.twitter.com/8HSSXycDIK
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2016年3月8日
調査対象国の中では日本が最下位(!)で、7%程度しかないです。
韓国も下位のほうとはいえ10%を超えていますから、
日本とはやや水をあけられていることになります。
真ん中の国ぐに20-30%程度となっています。
女性著者の割合が40%を超えている国もいくつかあります。
これらの国では論文著者に関するジェンダー格差の
問題はほぼ解決されていると言えます。
多くは旧共産主義国で、共産主義時代の男女平等の影響が
残っていることもあるのかもしれないです。
もっとも割合の高いのはルーマニアで60%程度です。
ノルウェーは40%を超えていますが、フィンランドは30数パーセント、
スウェーデンは20数パーセントとなっています。
北ヨーロッパの国ぐにが上位を独占というパターンには、
論文の女性著者の割合に関してはなっていないです。
なぜ日本では女性の著者の論文がかくも少ないのかは、
研究者における女性の割合が日本はきわめて低く
やはり最低レベルであることが大きな原因でしょう。
論文を書く人がそもそも少ないということです。
研究者の女性比率の国際比較は、調査対象国の中では日本は最低で、
韓国と最下位を争っているといういつものパターンです。
「日本の大学教員の女性比率に関する分析」

研究者の女性の割合は13.6%ですが、科学論文における
女性著者の割合は7%程度でさらに低くなっています。
論文著者のデータは、おそらく科学論文にかぎっていて、
日本でもまがりなりにも女性の割合が高めの
人文・社会学の分野が入らないからだろうと思います。

日本における女性研究者の少なさは、
上述の「日本の大学教員の女性比率に関する分析」という
文部科学省科学技術政策研究所の資料を、ご紹介したことがあります。
ここでは女性研究者が離職しやすい理由として
「結婚」「育児」「家族の転勤」「男女差別」の4つを挙げています。
「大学教員の女性の比率」
「結婚」「育児」「家族の転勤」の3つは家庭の事情の問題です。
男性研究者の56.8%は配偶者が専業主婦であるのに対し、
女性研究者の65.6%は配偶者が同業者という
非対称性が大きいだろうということを、ここでは指摘しておきます。

これは結婚しているかたにかぎったお話で、
女性研究者は結婚していないかたも多いくらいです。
http://biz-journal.jp/2014/04/post_4663_2.html
非常勤の男女が結婚するケースが結構ありますが、
そもそも女性研究者には一生独身の人が少なくありません。
男性の場合は、専任講師になってから一回り以上年下であるはずの
学部女子学生、多くは直接の教え子と結婚するのが伝統的なパターンです。
結婚については男女の非対称性が顕著です。
男性は妻子を持って一人前と見なされますが、女性は独身でなければ論外、
つまり結婚することは研究の第一線から退くと
見なされてしまうため、独身率が高いのです。
4つ目の「男女差別」に関しては、人事における男性優先と
とくに女性研究者は非常勤講師が多いことによる
賃金の男女格差を、ここでは挙げておくことにします。
「義務教育しっかりやれば?」
「高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?大学講師の惨状~非常勤は低収入で一生独身も」
表立ってはありません。
文部科学省も専任教員の女性比率を高めるよう大学側に要請しています。
ただ、非常勤から専任への登用人事を選考するメンバーが
ほとんど男性で構成されているので、専任のポストが空いたときに
男性が優先的に登用される傾向が強いようです。
非常勤から専任に登用される際の基準が明確でないことも、
人事の不透明さとして挙げられるでしょう。
「大学非常勤講師の三重苦=奨学金ローン地獄・
高学歴ワーキングプア・人間破壊と生命の危機」
アンケート結果を見ると、やはりいちばんの不満は賃金が低いことです。
非常勤講師の44%が年収250万円以下で、
また、研究者として扱われないという問題もあります。