保育士の賃金についての記事ですが、賃金を引き上げるための
財源をどう確保するかについても触れています。
「介護士の厳しい待遇は「女性労働だから低賃金で低待遇」」
「大学教授「保育士不足は、保育士による声なき抗議」と指摘」
やはり財源確保は必要性の少ない公共事業を削ることです。
それを待機児童対策にあてるのがよいという主張です。
「軍備費や公共事業にばかりお金を割いている。
消費増税が引き延ばされたら財源不足のものが出てくると思うが、
そもそも社会保障に消費税を充てることが間違い。
諸外国ではあらゆる税収を充てています。
待機児童対策など緊急性の高いものは、
むしろあまり緊急性のない公共事業費を削って回すべきです」
公共事業より介護や福祉の働き手を増やすために
財源を使ったほうがよいという意見はほかからもあります。
たとえば経済学者の松尾匡氏も同様の主張しています。
「財政政策・福祉と公共事業」
「左派こそ金融緩和を重視するべき 松尾匡・立命館大教授」
民進党など野党共同による保育士の賃金増額法案も
財源は「公共事業削減や租税特別措置の見直しで捻出」です。
やはり削るところは「公共事業」ということだと思います。
「保育士の賃金増額法案」
自民党が保育士の賃金引き上げに不熱心なのは、
財源を確保するためには、公共事業を削ることになる
ということもあるのではないかと思います。
自民党の支持基盤は「政治家城下町」とでも呼べる
公共事業を中心とした利権集団です。
よって公共事業の削減は支持基盤の反発に直結することになります。
「政治家城下町」
歳入は消費税の増税にこだわるのではなく、
諸外国のようにありとあらゆる税収をあてろとしています。
言われてみればごもっともなことで、待機児童対策が大事なら、
特定の税収にこだわるほうがおかしいと言えます。
消費税以外の税収はあてられないと思っているうちは、
「本気度」がたりないということだと言えます。
日本では財政再建主義の財務省および、財務省の影響を受けた
政治家や識者が多く、消費税増税でなければ待機児童対策の
財源は確保できないと思っているかたが、残念ながら多くなっています。
民主党がこれまで進めてきた保育士の待遇改善のための財源は、
消費税増税が前提となっているのでした。
待機児童対策に詳しい識者や熱心な活動家でも、
消費税増税でなければ財源は確保できないと
思っているかたは少なからずいらっしゃるようです。
「保育士の待遇改善の財源」
「子育て支援と消費税増税」
『週刊女性PRIME』4月17日の記事は、保育や介護の実態については
民進党の山井和則衆院議員にインタビューしています。
ところが最後の財源の確保のくだりだけは、
鹿児島大学の伊藤周平教授にインタビューしています。
「それにもかかわらず、社会保障費をどんどん削ろうというのが
安倍政権の既定路線」とは鹿児島大学の伊藤周平教授(社会保障法)。
この判断はよかったと思います。
民進党の議員にインタビューしても、財源確保は消費税の増税を
前提としたコメントしか言わないだろうと思うからです。
外部の識者だから「消費税にこだわるのはおかしい、
諸外国並みにありとあらゆる税収をあてることだ」という
コメントが得られるのだと思います。
関連エントリ:
「保育士の給与が低い理由」