性的少数者に対する差別解消に関する党の基本方針をまとめたのでした。
ところがこれは差別解消にたいして役立ちそうにないものだったりします。
「同性婚を容認していない憲法24条や現行法を尊重」などと、
言っていたりするからです。
「性的少数者 憲法尊重、理解促す 自民基本方針」
(はてなブックマーク)
毎日の記事は短いので全文引用します。
自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」
(古屋圭司委員長)は27日、LGBTなど性的少数者への
差別解消に関する党の基本方針をまとめた。
憲法で同性間の婚姻を認めていないことを尊重したうえで、
多様性を受容する社会を目指す。基本方針に基づき
LGBTの理解促進に向けた議員立法を目指すことも確認した。
基本方針では「婚姻は両性の合意のみに基づき成立する」と定め、
同性婚を容認していない憲法24条や現行法を尊重したうえで、
理解を促すための施策を講じると定めた。
自民党は近く、基本方針に沿って法案を公明党と共同でまとめたい考えだ。
自民党内の保守派の意見を踏まえ、LGBT差別の禁止や罰則などは
盛り込まない理念法とする意向だ。
LGBTを巡っては、馳浩文部科学相(自民党)が会長を務める
超党派の議員連盟が、LGBT差別禁止法案の提出を目指している。
憲法24条にある「両性の合意」というのは、
1. 男性だけの一方的な意志によらない、
2. 親族など結婚するふたり以外の意志が入らない、
といったことを規定したものです。
「憲法24条と同性結婚」
同性結婚についてはなにも語っていないと考えます。
よって憲法24条の「両性の合意」は
同性結婚を禁止したものとは考えないです。
「憲法遵守」が大事なら、多くの法曹関係者が採っている
このような一般的な解釈にもとづくのが本来です。
「同性婚と憲法の関係」
憲法24条は、男女が婚姻する場合に、男性の一方的意思のみでは
結婚できないこと、親族会の同意等は不要であることを確認したもの、
と理解されています。
憲法24条は同性婚については何も述べていないというのが通説的な理解で、
たいていの教科書・コンメンタール類でも、
同性婚禁止条項だという解説はありません。
権利を制限して「二級市民」扱いでも、「存在を容認しているから
権利や多様性を認めている」などと考えるのは、
ある種の差別主義者に見られる独善的主張です。
「二級市民」扱いが、差別であり多様性の否定だ
ということが、こうした人は理解できないのでしょう。
「同性婚」の制度化についての議論だよ、反対していたのは。同性愛は勝手にやればよい。 https://t.co/yacoXZY39G
— ふじおかひろき (@guchinandayo) 2016年4月9日
同様の独善的主張は、選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)や、
無理解な人たちにも少なからず見られました。
「事実婚や通称使用を認めているから差別していない」と
平然とうそぶく人がいたものです。
「憲法で同性間の婚姻を認めていないことを尊重した上で多様性を受容」というのは、同姓婚しか法律婚できないけど通称別姓できるでしょうと言われている現状ととても似ている。 / “<性的少数者>憲法尊重、理解促す 自民基本方針 (毎日…” https://t.co/y3B2mWAXdH
— Akiko Orita (@oritako) 2016年4月27日
少数派の権利を制限や否定をするときだけ、
「憲法遵守」と高らかに唱えるのも、ご都合主義だと思います。
立憲主義を無視した憲法改正を長年の悲願とするくらいです。
憲法というのは市民の権利を守るために、国家や権力に規制をかける
ためのものだ、ということが理解できないのでしょう。
「憲法尊重」って今更お前らが言うか。こんな時に限って取ってつけたかのように(しかも24条1項は同性婚を禁止するものではないだろう)‥。 / “性的少数者:憲法尊重、理解促す 自民基本方針 - 毎日新聞” https://t.co/joHumIU3g6
— misora05.exe (@misora05) 2016年4月27日
自民党は政党アンケートで、性的少数者の問題は
人権問題として取り組まなくてよいとか、
権利保障の施策は必要ないと臆面もなく回答できるくらいです。
彼らに期待できるのは「この程度」と言えるかもしれないです。
「自民党の性的少数者排除」
自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」は、
2015年3月に発足した、性的少数者の差別解消を目指す
超党派の議連とはまったくくべつものです。
「性的少数者の議連が発足」