2016年04月23日

「きのうの世界」の就職差別


30数年前に使われていた紀伊国屋書店の女子採用基準が
強烈に差別的だということが、ちょっと話題になっています。
(たまにちょっと話題になることがあるくらい?)

「ブス・チビ・家庭環境複雑な女子は採用不可…
紀伊國屋書店、過去に強烈な採用差別基準」

(はてなブックマーク)

「紀伊國屋書店の女子採用基準が流出!
「ブス、チビ、カッペ、メガネ、バカは絶対に避けること」」

(はてなブックマーク)



・女子社員採用にあたって留意すべきこと 
企業は人なり。そして採用は高価な買物である。
良いもの、良く育つもの、適正に長もちするものを選び、
粗悪品、欠陥品を掴まされてはならない。

1.採用不可の女子
(1)ブス、絶対に避けること。
(2)チビ、身長百四十センチ以下は全く不可。
(3)カッペ、田舎っぺ。
(4)メガネ。
(5)バカ。
(6)弁が立つ。新聞部に属していたものはよく観察すべし。
(7)法律に興味をもつ。前職・専攻課目・関心事に注意。
(8)慢性の既往症。再発の怖れだけでなく、疲労し易いので不満を抱き易い。
2.要注意の女子
(1)革新政党支持。その理由を質問し、その答え方の口調に注意。
(2)政治・宗教団体に関係。頭のきりかえのきかないのが多い。
(3)本籍が日本国籍でないもの。特に家が飲食店の場合は不可。
(4)職を二つ以上変っているもの。
流れ者であり即戦力になるように思えても長つゞきしない。
(5)四年制大学中退者。
(6)家庭事情の複雑なもの。
(7)父が大学教授。
(8)尊敬する人物が情熱的芸術家の場合。(例)ゴッホ、林芙美子、石川啄木
(9)尊敬する人物が学校の先生の場合、どういう点を尊敬するか質問すること。

説明は不要なレベルでしょう。
女性を露骨に外見で判断しているし、思想信条による差別や、
国籍や家庭環境など出自による差別もあります。
こうしたことを女子にだけ採用基準にしていることで
あからさまな女性差別にもなります。


「新聞部に所属」とか「法律の知識がある」なんて、
企業を批判できる力量を持った女性は、都合が悪いので
排除しようということにほかならないでしょう。

それでいて「バカ」はだめだとも言っています。
賢すぎるのはだめだけど、あたまが悪すぎてもだめということです。
彼らにとっての「賢い女性」というのは、自分たちの体制に
おとなしく従う女性だ、ということを示しています。

「粗悪品」「欠陥品」などとする物言いにいたっては、なにごとかと思います。
女子従業員を人間ではなく「製品」と思っているのでしょう。
「企業は人なり」と言っていますが、本当に「人なり」が
よく現れている採用基準だと思います。


この採用基準はいまから30年とちょっと前のものです。
1983年に土井たか子が衆議院の予算委員会で
質疑に使ったことで明るみになったのでした。

「第098回国会 予算委員会第四分科会 第2号」

それはごらんいただいたらおわかりになるように、
明らかに女性に対しての差別感というものが背後になければ、
採用不可の女子の中にこういう(8)項目というのは
考えられないだろうと思うのです。

言うまでもなく女性差別というのがあると同時に、
憲法十四条ではさらに認めることのできない、
憲法十九条からしても認めることのできない
思想差別についての問題もやはり出てまいります。
それからさらに、民族差別についての問題も出てまいります。

こんなえげつない差別がまかり通っていたのは、
ほんの少し前の「きのうの世界」ということです。
このマニュアルは「マル秘資料」となっていたので、
公開するとかなりやばいという意識は、当時からあったようです。

当時は少なくない企業が同じような採用基準を
定めていたのではないかということが考えられます。
土井たか子が国会の質疑で資料に使ったから、
たまたま紀伊国屋だけが現代まで記録として残った、
というだけではないかと思われます。



この採用基準を見ていると、いわゆる「もてない女」は
不採用になる可能性が高いのではないかと思います。
「1.採用不可の女子」のうち(1)(2)(4)は外見に関することです。
それ以外も「男にとって恋愛対象にしたくない女」と
かなり重なっているのではないかと思います。

男は「非もて」でも就職で差別されることはない、
「恋愛差別」なんてなにをかいわんやだ、という意見を、
わたしのブログでいただいたことがあったのでした。
実際、男性が「非もて」だからといって、
それを直接の理由にどこかの就職で不採用になることはないでしょう。

「深淵な非もてのサイト」

また、非もであることによって、
一体どんな社会的差別を受けているんですかね?
恋愛経験が無いから就職できないとか、二十歳過ぎても選挙権が
与えられないとか、非もて賃金法とかあって
法定賃金の半額しか支給されないとかあるんですか?

例えば同性愛者の人は、日本ではいまだに愛する同性との
結婚が認められていませんよね?
でも、非もてには結婚する権利はいくらでも認められているじゃないですか。

実際に差別され権利が侵害されている立場の人たちの
痛みや苦しみに対して、あまりにも無神経だな、と思うんですよ。
な~にが、恋愛差別だ、アホかと。

(2015年06月26日 23:11)

30年前の紀伊国屋の女子採用基準なら、
「もてない女」は本当に「もてない」という理由で
不採用になる可能性があったのだと思います。



posted by たんぽぽ at 22:15| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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