2016年04月19日

性欲の対処可能性のメモ

性欲は対処可能か?ということについて考えます。
「性欲は本能だからコントロールも困難」のように
考える人は少なくないからです。

性欲それ自体は本能だろうと思います。
おそらくなくすこともほとんど不可能でしょう。
「性欲の外への表しかた」であればコントロール可能であり、
社会的、文化的な要請によって対処できるだろうと、わたしは思います。

性欲が対処可能であることは、性欲の表れかたに
1. ジェンダー差
2. 社会、文化の差
のふたつがあることが示していると思います。

>1. ジェンダー差

性欲のコントロールに関することが、
ジェンダー非対称であることは、言わずもがなだと思います。
その理由は女性に関しては大きく次のふたつがあるでしょう。
どちらも自明だと思うのですが、自明でない人も
男性の中にはいるかもしれないです。

a. 女性が性欲を外に現わすことは淫らなことであると、
社会通念によって抑圧されてきた
b. 女性が性欲を表すと男性からの性被害にあう危険が高くなる

a.については性産業従事に関するスティグマや、
最近はだんだんと薄れてはいると思いますが、
処女性を重視する社会通念があると思います。
「女の性欲は40代がピーク」なんて俗説もあるらしいです。
これはそのくらいの歳にならないと、女性は性欲があることを
表明できないということだと思います。

b.については田房永子氏がこんなことを書いています。

「男子の性欲は「微笑ましい」か」
よく考えてみると私だって10代終盤の性欲は今よりもぜんぜん凄かった。
ただ、そんなこと絶対、人には言えなかった。
あの頃は「男は女より性欲が強い」というフレーズに乗っかって、
自分の性欲を隠すことで身の安全を守る必要があった。
街を歩く気持ち悪い男たちから、常に獲物として性的な目で
狙われていることが分かっていたから。


男性の場合はこれらが反対になるということです。
b’.は男性でも自明だと思います。

a’. 男性が性欲を外に表わすことはなんらはばかられない。
それどころかしばしば黙認や擁護をされる。
b’. 男性が性欲を表しても性被害の危険はない

a’.に関しては、たとえば上述の田房永子氏の記事で、
電車の中で眼の前の女性を「おかず」にして
自慰行為をする中学生の扱われかたを例にあげて、
「男の子の性欲は微笑ましい」とされることに触れられています。

「レイプは元気」発言に代表されるように、
違法行為であっても、男の性欲を弁護する人がいるくらいです。
レイプは力の誇示であって性欲処理のためではないと言われますが、
弁護する人は「男の性欲」を擁護していることは確かです。

ここにあげた、a.、b.、a’.、b’.はどれも社会的、文化的なものです。
それによって性欲の表出のしかたが男女でこれくらい
あからさまに差があることになり、性欲は社会的、文化的な要請で
コントロールが可能であることを示していると言えます。


>2. 社会、文化の差異

ジェンダーと関係ない社会的、文化的な事情によっても、
性欲の表れかたに変化が出ることがあります。
最近の日本人にセックスレスが広がっていることは一例でしょう。
本能がこのように短時間で変化はしないでしょうから、
セックスレスの広がりは社会的、文化的なものと考えられます。

「日本人のセックスレス」

セックスに「関心がない」「嫌悪している」合わせた回答者の割合

日本人のセックスレスは他国と比べても目立っています。
本能に関することが、国によってこれだけ差があるとは
考えにくいですから、これも社会的、文化的なものと考えられます。

「主要国の性行動比較」

主要国の性行動比較


性産業に関することも国や社会によって大きな違いがあります。
日本は買春大国らしく、上記の「主要国の性行動比較」を
見てもわかるように、売買春が合法化されている
欧米の民主主義国と比べて、はるかに買春経験のある男性が多いです。

「日本は買春大国らしい」

スウェーデンを始め一部の北ヨーロッパの国では
買う側を摘発する買春禁止法があります。
もともとスウェーデンは風俗店が少なく、
ストックホルムは街中に風俗店が見当たらないそうです。

「売買春は買う男が原因」
「性に禁欲的なスウェーデン」

性産業に対する社会通念や法的扱いが異なるのも、
性欲が社会的、文化的要請によって対処ができること、
そして実際に対処できていることを示していると言えます。



追記:

メインブログの3月2日エントリのコメント欄で、
男性の性欲は対処がとても困難であるかのような
主張をしているかたがいらしたのでした。
それでこのエントリを書いたしだいです。

「女性にとって性を売ること(2)」
あとは「買う男の問題」についてですね。
私も若い時は性衝動に悩まされましたので、
買う男を一方的に非難する気になりません。
今は妻と娘が大事なので、彼女たちの安全安心を第一に考えます。
買春を法律で禁止することでレ イプが増えるというのでは困りますね。

(2016年03月12日 01:04)
>「男が買いたい」と言う欲望は、自然災害のように防ぎようがなく、
対処不能として扱うことだとでも思っているのかな?

これって男の愚かな部分だと思うんですけどね。
短い快楽のために、給料の半分をつぎ込む男性もいます。
対処不能というか、金銭を介した男女関係で欲望を
解消してくれるならいいんじゃないかと私は思います。
私が一番困るのは、持て余した性欲を一般の女性に向かって
暴力行為で解消してしまうレ イプ犯罪の増加です。

(2016年03月29日 23:07)


posted by たんぽぽ at 23:48| Comment(5) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

以前から気になっていたんですけど、なかなかまとまらなくて…

>「日本人のセ ックレス」
各世代全てで女性は、関心が無い・嫌悪している数値が高い。

私もかなり意外な印象を持ちました。
若年層に顕著ですが、この年代は両極端に振れやすいと思っていましたが、
これは少々メディアが伝えるイメージが先行しているのかも知れません。
(実際の性行動とは別、という問題もあるのかも?)

>「主要国の性行動比較」

一部でかなり話題()のグラフですが…(^^;
各国全体に、男性>女性なんですね(少なくとも超えることは無い)。
これは女性は生来受動的な性質を持つことを示しているのか、それとも、
いまだ『女性が能動的にセ ックスを求める』ことが忌避される文化が
健在なのか…、気になるところです。
オランダ男性の同性との性的接触の体験、
フィンランドの過去1年間に5人以上の相手との性交渉、
そして堂々のフランス。
しかし意外(?)にも男女ともパートナーに誠実なようですね。

少々古いデータなので、現在どのように変わっているのかも興味があります。
Posted by あやめ at 2016年06月14日 21:57
>「主要国の性行動比較」

これが噂の『非童貞詐称グラフ(byたまごどん)』ですね!(爆)

はて、そんなことを示唆するデータだっけ?
と思いながら見直してみたんですけど、やっぱり何も関係無いですよねf(^^;

『戸別訪問・面前自計式※による調査』であり、
ここにまとめられている調査結果から、アンケートの設問を想像するに、
すべての質問に「いいえ」と答えたとしても、何かの心理的負担が生じる
とは思えないのですが、なぜ?

過去”1年間に”5人以上の相手と性交を持ちましたか?「いいえ」(←童貞/非童貞を意味しない)
過去”1年間に””週2回以上”セ ックスしましたか?「いいえ」(←パートナーの有無を意味しない)
過去1年間売買春を経験のしましたか?   「いいえ」(←不名誉ではない)
これまで(lifetime)の同性との性的接触の体験はありますか?「いいえ」(←不名誉ではない)

それでもなお、ここに暗数が存在するのだとするならば、日本人男性は、
”意気地無しで見栄っ張りの嘘つき”ってことになりますね。

※自計式調査→質問紙ないし調査票を被調査者が読み(回答者が)自分で回答を記入する方法。
Posted by あやめ at 2016年06月14日 23:15
>非童貞詐称
>不意打ちセ ックス法
(たまごどん at 2016年04月22日 00:50)
http://taraxacum.seesaa.net/article/434827919.html#comment

私はこの辺で『あっちに行っちゃった』感がしましたよ(^^;
日本に住んでいて、ニュースなどで触れることも多いだろうに、この認識…
(意図的な無理解の可能性も否定できないとは言え、)
いずれにせよ、ちょっと処置無しな感じがします。

じゃあ、仮にヨーロッパよりも低いのが真実だとするならば、日本が国営化
で性産業市場が拡大するとはますます考えられなくなるんだけど、それは。
Posted by あやめ at 2016年06月14日 23:21
こちらにコメントありがとうございます。

>以前から気になっていたんですけど、

ずっと考えていてくださったのですね。

>>「日本人のセ ックレス」
>>各世代全てで女性は、関心が無い・嫌悪している数値が高い。
>私もかなり意外な印象を持ちました。

「女性>男性」に関しては、わたしは意外性はなかったです。
女性は男性よりセッ クスに抵抗や忌避感を持ちやすい
というのは、予想通りでした。


>>「主要国の性行動比較」
>一部でかなり話題()のグラフですが…(^^;

一箇所、強烈な箇所がありますからね。

>これは女性は生来受動的な性質を持つことを示しているのか、それとも、
>いまだ『女性が能動的にセ ックスを求める』ことが忌避される文化が
>健在なのか…、

それらもあるでしょうし、女性はセッ クスにともなうリスクが
男性よりずっと大きいこともあると思います。
具体的には妊娠や性感染症ですね。
Posted by たんぽぽ at 2016年06月15日 21:46
>すべての質問に「いいえ」と答えたとしても、何かの心理的負担が生じる
>とは思えないのですが、

そういえばそうですね。
たとえば、過去1年間に性交した相手が4人以下でも、
童貞というわけではないですからね。
ひとりもいなくても童貞とはかぎらないです。

それと「経験がないのは恥ずかしいから見栄を張る」というなら、
売買春の経験よりも、「過去1年間に5人以上の相手」とか
「過去1年間に週2回以上」に「はい」と答えると思います。


>>非童貞詐称
>不意打ちセ ックス法
>(たまごどん at 2016年04月22日 00:50)
>http://taraxacum.seesaa.net/article/434827919.html#comment
>私はこの辺で『あっちに行っちゃった』感がしましたよ(^^;

わたしが「あっちにいった」感を持ったのは、
「スウェーデンの強姦件数は50倍」を持ち出したときですね。
(前にも言ったかもしれないけれど。)

ご指摘の「非童貞詐称」のときは、
いよいよ劣化がひどくなったと思ったです。
Posted by たんぽぽ at 2016年06月15日 21:49
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