2016年03月27日

子のない人は寄付をする?

3月26日エントリの続き。

「女性はふたり以上子どもを産むことがいちばん大切」発言をした
大阪の中学校の校長は、さらに子どもがいない人や
育てない人は、寄付をすればいいなどとも言っています。

「「子を産めない人は寄付を」 「2人以上」発言の校長」
(はてなブックマーク)
一方で、少子高齢化や不安定な年金制度などの課題を指摘し
「男女が協力して子どもを育てるのが社会への恩返し。
子どもが産めず、育てられない人はその分施設などに寄付すればいい」と主張した。


家族政策や年金制度などの社会福祉は「受ける権利がある」ものとして、
税金を投入して政策として行なう性質のものです。
社会福祉を「寄付」という「個人の善意」に頼るのは、
「権利」ではなく「施し」というメッセージにもなるでしょう。

「子どもの貧困基金」にぜんぜん寄付が集まらないという
お粗末な事態が起きていますが、寄付というかたちでは
じゅうぶんな財源を確保できない問題もあるでしょう。

「貧困対策で政府が寄付募集」
「子どもの貧困基金・寄付低調」


子どもがいない人や結婚しない人に、
ペナルティを課すように寄付や税金を徴収するのは、
「国民は子どもを持たなければならない」というメッセージであり、
「国家による家族や個人のライフスタイルの管理」になります。

くだんの校長は「お国のために子どもを産め」という思想なので、
「お国のためにならない人」にペナルティを課すという
考えかたになるのはごもっともとは言えます。

ときどき話題になる「独身税」は、ムッソリーニ・ファシストが
実際に導入したことがあったものです。
子どもがない人への罰則的な課税は、全体主義国的な発想ということです。

「独身税という少子化対策」


子どもを支える福祉の財源が心配だというのでしたら、
「子ども手当て」のような子ども向けの給付を増やしたり、
保育所の増設や充実に予算を多く回すことだと思います。

これらは「子どもを持つことは権利」という理念のもと、
子どものいる人に福祉が受けられるようにすることであり、
子どもがいれば税金が還元されて、結果的に負担が減ることになります。

子どものいない人はこれらの福祉は受けないので、
必然的に子どものために税負担することになります。
これは「子どもは社会全体で支える」という理念があって、
これに子どものいない人も協力するという考えにもとづきます。


メインブログの3月20日エントリで触れたように、
日本は保育士の賃金が破格に低水準です。
子ども向けの公的支出自体が少ないほうで、
高齢者向けの公的支出との比を見るとOECD加盟国の中では、
圧倒的に子ども向け公的支出の割合が低いです。

将来の人口減少にともなう財源の確保が心配なら、
これら子ども向けの公的支出を増やすことを主張すればいいのだと思います。
そうすれば子どもを産み育てやすい社会になって、
子どもを持つ人はもっと増えることでしょう。

職業別の推定年収(万円) 第1-1-27図 各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較 高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイトと出生率

「少子化は産まない女の問題」と考えるような、
くだんの校長と同じような家族・ジェンダー観の人は、
たいてい「子ども手当て」については民主党政権時代に
バッシングを繰り広げただろうと思います。

そして彼らは保育士の待遇改善には往々にして無理解だし、
子ども向け福祉の拡充にもたいてい不熱心で、効果的な家族政策を
導入することの足を引っ張ることが多いのが、相場だったりします。


関連エントリ:

「ふたり以上産むことが大切?」




posted by たんぽぽ at 23:19| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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