2016年03月20日

保育所が増えない理由

メインブログの3月20日エントリの続き。
なぜ保育所が不足するのか、その原因についての駒崎弘樹氏のです。

「「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由」
(はてなブックマーク)

ここでは以下の3つの理由を挙げているのでした。
2.と3.を見てみたいと思います。
1. 予算の壁
2. 自治体の壁
3. 物件の壁


2.については、認可保育所は自治体が計画して認可するので、
事業者がいくらでも自由に建てられないことがあります。
また自治体が独自のルールを作って参入障壁を上げることもあります。

リンク先の次の記事にさらに詳しく書いてあります。
これはわたしもぜんぜん知らなかったです。

「待機児童増加の、意外な犯人は」
事業者側は開園できるのに、自治体側が開園を抑制しているのだ。
2015年度に施行された子ども子育て新制度は、
それまでの「社会主義的」保育園配給制を転換すべく、
事業者が一定の基準をクリアしていれば自由に開園できるように定めた。
しかしその革新的な試みは、自治体サイドによってスポイルされつつある。

ちなみに自治体担当者側は、よしんば待機児童が解消できなくても
2年後は違う部署に異動になる。責任も問われない。
よって、積極的にリスクをかけて事業者参入を促すよりも、
「間違いのない団体」に来てもらって、「園は増やしたが、
それ以上にニーズが増えたから無理だった」と報告する方が、
理にかなうことになる。

待機児童を解消できなくても、マイナス評価にならないので、
「間違いのない事業者」を選んで、つつがなくすませようとするから、
ということです。(ある意味お役所らしいです。)


3.は都心のように過密なところほど、基準にあった保育所を
建てることが難しくなることは、容易に予想できると思います。
保育所は二方向避難路の確保や新耐震基準を満たしているなど、
安全に運営するために必要な要件がどうしても多くなります。
それを満たしていて、かつ周辺住民が文句を言わず、
かつ保育所としてペイする坪単価で、駅からの距離が
そこまで遠くない物件というのは、非常に限りがあります。

次のサイトに認可保育園の基準について触れられています。
定員が60人以上であることのほか、子どもの年齢構成や
保育士の人数、設備の面積などが定められています。

「認可保育所の設置基準」

部屋の面積については次のようになっています。

認可保育園の面積基準

これでも欧米の民主主義国の保育所と比べると
面積に関しては、日本は狭いほうとなっています。
全国社会福祉協議会の次の報告に国際比較が出ています。
(表2-1と表2-2。ちょっと大きめの表になっています。)

「第2章 海外文献調査からみた保育所の基準」

以下の論文に、上記リンクの表の内容についての抜粋が出ています。

「保育の質の評価に関する研究」
子ども1人当たりの面積について例を挙げると、
アメリカのワシントン州は4.64㎡(1~11ヶ月)、3.25㎡(1歳以上)、
フランスのイヴィリン県は、総面積が10~12㎡、
子ども専用区域が6~8㎡、知育室が3~4㎡、
ストックホルム市は7.5㎡であるのに対し、
日本は、わずか乳児室が1.65㎡、ほふく室が3.3㎡、
保育室又は遊戯室が1.98㎡しかない。

また、屋外施設面積は、カリフォルニア州、ワシントン州が6.96㎡、
フランスのパリ市は6.67㎡、ドイツのザクセン州は10㎡、であるのに対し、
日本はわずか3.3㎡にすぎない。


認可保育所の数を増やそうとして、面積の基準を緩和して
もっと狭くても建てられるようにしようとする動きが
自治体などから出てくることがあります。
そうした動きにはとうぜんながら反対が出ることになります。




関連エントリ:

「保育所が増えない理由」


posted by たんぽぽ at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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