国債比較をした図があるのでご紹介します。
出典はISSPが2012年に行なった「家族と性役割に関する意識調査」です。
週40時間以上就業しているかたが対象です。
フルタイム就業男女の年収のジェンダー差。 pic.twitter.com/mp66mRgbcN
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年2月29日
収入のジェンダー格差の図表なんていくつもありますが、
そういう調査をここでもうひとつ加えることになります。
この手の調査は男性を1にして女性がその何割かを示すことが多いです。
この図は女性を1にして男性がその何倍かを示しています。
調査対象国の中では韓国と日本が飛び抜けて
収入のジェンダー格差が大きいことが、なにより眼につきます。
この2国だけが1.796、1.728と、それぞれ1.7を超えています。
ついで格差が大きいのは南アフリカ共和国の1.524で、
それ以外の国ぐにはすべて1.5以下です。
ジェンダーに関する調査をすると、日本と韓国がほかの主要国から
大きく外れていて、2国で最下位争いをするパターンが多いですが、
この調査はまさしくその典型例となっています。
日本の収入のジェンダー格差は、既婚男性中心の労働環境が
大きな原因だろうと思います。(韓国はどうなのかわからないです。)
既婚男性は配偶者手当てなどの手当てがついたり、
管理職への昇進が有利で基本給も高くなりやすいということです。
女性はもともと長時間労働などの男性中心の労働環境ゆえに
管理職への昇進が不利なことに加えて、正規雇用にとどまっていても、
結婚、出産、育児で責任の少ない部署に回されることが多いのでしょう。
「男は結婚で年収が増える」
「女は結婚で年収が減る」
棒グラフに色のついているところを見ると、
イギリス1.103、フランス1.202、アメリカ合衆国1.247、
スウェーデン1.292、西ドイツ1.385となっています。
主要国と言われてイメージする国は1.2-1.3くらいが相場なのでしょう。
西ドイツと東ドイツがわけてあるのが、いささか気になります。
この調査は2012年のもので、冷戦時代のものではないからです。
旧西ドイツの州と旧東ドイツの州ということだと思います。
東ドイツは1.119で、西ドイツよりジェンダー格差が小さいです。
共産主義時代の男女平等の名残りなのでしょうか?
調査対象国はほとんどすべて1より大きく「世界中どこへ行っても
男性は女性より年収が高い」という現状があることになります。
ただひとつベネズエラだけが1以下になっていて、
女性のほうが年収が高い国になっています。
付記:
日本の厚生労働省が発表する「賃金構造基本統計調査」によると
女性の賃金は男性の約7割で、男性は女性の1.4倍程度です。
「女性の賃金は男性の7割」
「収入のジェンダー格差」
![男女賃金格差は国際的にみても低水準 (男女間賃金格差の国際比較)](https://farm8.staticflickr.com/7664/17337804915_22a25d36e2.jpg)
![男女間賃金格差の推移](https://farm1.staticflickr.com/705/21876017122_72d13f9a39.jpg)
ISSPのほうが日本のジェンダー格差を大きく算出しています。
「週40時間以上就業」という条件のせいなのか
(パートを入れたらもっと格差が大きくなりそうですが)、
「賃金」と「年収」の違いなのかはわからないです。