同姓強制を合憲とした最高裁判決の危険性についての
朝日新聞の「記者有論」ですが、安倍晋三首相がむかし示した
選択的夫婦別姓についての認識にも触れています。
「家族のかたち 最高裁がなぜ踏み込む」
「家族のかたち 最高裁がなぜ踏み込む」(全文)
(はてなブックマーク)
安倍晋三が選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)というのは
言うまでもないでしょうが、その主張がテンプレート的で
被害妄想じみていることが具体的に紹介されています。
安倍晋三首相は10年、雑誌「Will」の座談会でこう語っている。
「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、
家族から解放されなければ人間として自由になれないという、
左翼かつ共産主義のドグマ(教義)」
安倍晋三ひとりがこんなことを言っているとは言わないです。
同様のことを主張する非共存派は、ほかにも見受けられます。
「夫婦別姓は家族破壊の陰謀?」
「反対派議員たち、動き始める」
安倍晋三のいわゆる「家族の解体を意味します」の「家族」は
「家族思想信仰」のことにほかならないでしょう。
この「信仰」のもとでは「あるべき家族」から外れた
「異教徒」は存在を許されないことになっています。
「異教徒」を認めることは「信仰」の世界の破壊になるので、
「夫婦別姓は家族の解体を意味」するというのでしょう。
「家族思想信仰」という「宗教」を否定することは、
「共産主義のドグマ(教義)」ということになるので、
ぴったり合っていてとっても皮肉です。
安倍晋三の信奉している「家族思想信仰」こそ
国家による家族のありかたを管理する、共産主義国にありがちな
家族観と同種であることは、何度もお話しています。
実は自分たちこそ「共産主義のドグマ(教義)」に
とらわれていると言えるので、さらに皮肉に輪をかけると思います。
「共産主義国の反同性愛」
「共産主義国の反同性愛(2)」
記事ではこのくだりについてさらにこう書いています。
私は長く、夫婦が別姓を選べる制度を求める人たちを取材してきたが
「家族の解体」を目標にした人に出会ったことはない。
たとえ夫婦が別姓であっても、家族として
法的に認めてほしいと願う人ばかりだ。
これはまったく同意見ですね。
選択的夫婦別姓を望んでいる人の中で「家族の解体」を
目標にする人なんて、わたしも見たことがないです。
ドグマやらイデオロギーやらのためではなく、
自分の生活のために選択的夫婦別姓を求めている人ばかりです。
「夫婦が別姓であっても、家族として法的に認めてほしいと願う」
というのは、いかなる家族であっても国家や社会は
保障しなければならないという家族の多様性の尊重であり、
まさに国連人権宣言に合致することになります。
「世界人権宣言と家族条項」
彼ら非共存派たちは、選択的夫婦別姓を求める人たちは
「家族の解体」が目標だと言いながら、
実際にそういう人がいるという例をあげたことはないです。
非共存派たちは自分のあたまの中で作りあげた
「仮想敵」に向かって攻撃しているだけだと思います。
非共存派は、自分たちが「家族思想信仰」という
イデオロギー護持のために主張しているので、
相手も自分たちと同じようにイデオロギーのために
主張しているとでも思っているのでしょう。
関連エントリ:
「同姓強制の合憲と家族思想」
「世界人権宣言と家族条項」
ちょっと考えれば分かる話
ひさしぶりのコメントです。
選択的夫婦別姓の反対派は「家族解体するつもりで
結婚する人がいる」と主張するなら、
その人たちを具体的に挙げろと思います。
具体的に挙げられたことは、いままでずっとないですね。
この「ちょっと考えれば分かる話」がわからないのが、
選択的夫婦別姓の反対派なのでしょう。
こんなことをまじめに主張するなら、
彼らは恋愛、結婚や家族をろくに知らないのではないかと、
思われても無理もないというものです。