1965年の日韓基本条約で解決している」と主張します。
「吉田証言とクマラスワミ報告」
1965年の日韓基本条約で全て清算したんじゃないのか。
クマ報告では「この1965年の条約が財産請求権のみを扱い、
個人の損害については規定しないことに、本報告書は注目した。(p26)」とある。
おいおい、個別請求権は韓国政府が負うってことだったんじゃないのか。
このような見解は国際的には認められないです。
「元慰安婦への戦後補償は未解決」としています。
(引用中のクマラスワミ報告書の見解はどこも間違っていないです。)
「1-3 日韓請求権協定と「慰安婦」問題」
「日本政府の「元慰安婦への賠償は日韓条約で解決済み」論は
破たんしていることを示す論文のご紹介(追記有り)」
日韓請求権協定によって慰安婦問題が解決ずみとならない理由は
a. 日韓請求権協定は財産の処分や経済問題を扱ったもので、のふたつがあります。
人権侵害や人道に対する罪についてはなにも言っていない。
b. 日韓基本条約の時点で慰安婦問題が戦争犯罪として認識されず、
議論もされていなかった。
日韓請求権協定は慰安婦問題についてなにも語らないので、
日韓基本条約は慰安婦問題のことを含まないということです。
http://fightforjustice.info/?page_id=2481
論議されなかった「慰安婦」
被害なお、日韓請求権協定が締結されるまでの交渉では、
「慰安婦」問題はほとんど議論されませんでした。
外交文書で一度だけ確認できますが、それは韓国側の代表が
「日本あるいはその占領地から引揚げた韓国人の預託金」を
議論する文脈で、「慰安婦」の事例を出したに過ぎず、
「慰安婦」の被害に関する内容を含まないものでした。
一般にa.やb.の理由が認められず「解決ずみ」扱いされるなら、
「戦後処理の段階で問題が取りざたされず、
うやむやに過ぎてしまえば免責される」ことになります。
「問題を隠したもの勝ち」「問題を議論させなかったもの勝ち」です。
現に「民間の業者がやったことで国家や軍は関係ない」と
日本政府は言い続けて、慰安婦問題を「なかった」ことにしてきたし、
こうしたやりかたを容認・追認することにもなります。
1998年のマクドゥーガル報告書は、「日韓基本条約で解決ずみ」という
日本政府の主張に対して、次のように述べています。
56.と57.が上記b.に関すること、58.と59.がa.に関することです。
「「人類猫化計画」さんコメント欄にて『ゲイ・マクドゥーガル特別報告書』外務省仮訳」
56.これらの条約及びその他の戦後の条約が署名された当時、日本政府は、
「慰安婦」に対する残虐な取扱いへの日本軍の関与の程度を隠していた(82)。
韓国、フィリピン、中国及びインドネシアにおいては婦女子が
戦争中に奴隷とされ、強姦されたことに関して明らかに、
かつ、多く知られていた幅広い認識が明白に存在したにも関わらず、
日本帝国軍隊の組織的関与は、戦後、日本によって隠された。
これらの強姦所の存在が明るみになると、日本軍ではなく、
民問の「業者」が疑われ、しばしば非難された。
57.日本政府が、これらの犯罪への関与をかかる長期に渡って隠蔽し、
そして、事実、これら罪への法的責任を否定し続けるのであれば、
平和条約又は他の如何なる戦後の条約が、「慰安婦」を含む全て請求権を
解決することを意図していたと日本が主張することは、不適切である。
署名国は、その当時、日本軍と直接関連すると信じられていなかった
行為についての請求権を解決することを予期していたとは考えられない。
58. 1965年の日韓請求権・経済協力協定の文言からは、
それが両国家間の「財産」請求権を解決する経済条約であり、
人権問題に言及していないことは、自明である(83)。
条約には、「慰安婦」、強姦、性的奴隷、又は日本人による
韓国市民に対する残虐行為にも言及がない。
むしろ、条約の条項は、両国の問の財産及び通商関係に言及している。
実際、日本の交渉者は、条約交渉の間に、日本は大韓民国に対し
日本人によって韓国人に加えられた残虐行為について
支払いをするだろう旨約束したと言われる。
59.さらに、大韓民国の代表が日本に対して提出した請求の概要からは、
「交渉における如何なるものも、戦争犯罪、人道に対する罪、
奴隷条約、女性売買条約、又は慣習国際法違反から生じた
個人の権利の侵害に関するものではない」ことが、明らかである (85)。
そして、日本は、西側諸国との条約においては、明白なお詫びをし、
個人の損害を賠償することに合意した一方で、
韓国との問ではそのようにしなかった(86)。
従って、協定第2条の「請求権」という文言の一般的用法は、
この事実的背景の文脈において解されなければならない。
協定の下で日本から提供された資金は経済的復興のみを意図したものであり、
日本の残虐行為の被害者への個人的賠償を意図したものではないことは明白である。
1965年協定は、その表面上包括的な言葉にも関わらず、
それ自体、両国間の経済的、財産的請求権を消滅させただけであり、
個人の講求権を消滅させたものではなく、
日本は、なお、その行為の責任を負っている(87)。
さらに
c. 慰安婦問題を解決済みとすることは、ジュネーブ第4条約違反という指摘もあります。
「戸塚悦朗 『禁止されていた重大違反行為被害者の個人請求権放棄』」
1. ジュネーブ第4条約7条(1)は、「被保護者の地位に不利な影響を及ぼし、
またはこの条約で定める被保護者に与える権利を制限する」
いかなる特別協定の締結をも禁じている。 加害国の責任を免責し、
結果的に被保護者の権利放棄を許容するような協定はこの条項に違反する。
これはまさしく、慰安婦問題のような人権侵害や
人道に対する罪に関して、加害国を免責することを禁止したものです。
よって「日韓基本条約で慰安婦問題は解決ずみ」という解釈は、
認められないことになります。