2015年12月11日

日本人の「選民意識」調査

NHK放送文化協会が「「日本人の意識」調査」という
世論調査を行なっています。(こんな調査があったのですね。)
この調査は1973年に始まって、5年ごとに行なわれています。
いちばん新しい調査は2013年になります。

「第9回「日本人の意識」調査(2013)結果の概要」

第9回「日本人の意識」調査(2013)結果の概要


この調査にはナショナリズムに関するものもあります。
6つの質問があるのですが、
B. 日本は一流国だ
D. 日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質をもっている
F. 今でも日本は、外国から見習うべきことが多い
の3つを取り出して、簡単な分析を行ってもいます。
これらはようするに、日本人がどれだけ選民意識で
うぬぼれているかを示すことになる、ということです。


第9回「日本人の意識」調査(2013)結果の概要 ナショナリズム(1/2) 第9回「日本人の意識」調査(2013)結果の概要 ナショナリズム(2/2)


B. D. F.の3つとも同じ傾向を示しています。
どれも選民意識のあらわれであり、たがいに連動しているのでしょう。
世紀の変わり目付近で谷底となるのですが、
21世紀に入ると、これらは数値が高くなってきています。
近年は日本人の選民意識が強まり出しているということです。

「失われた20年」と言われて、国力が低下を続けていて、
効果的な対処ができないままでいるのに、
なにをうぬぼれていられるのかと思うところです。


これらは最近はやっている、不必要に日本や日本人を持ち上げる、
国粋主義メディアの影響だろうと思います。
この手のメディアに乗せられて、「日本はすごいんだ」と
安易に考える人が増えているということです。

日本人の選民意識が強まっている時期が、差別発言の温床とでも言える
「2ちゃんねる」が登場して普及していった時期と
重なっているのも、留意するところだと思います。

なぜ低俗な国粋主義メディアがはやるかといえば、
国力が凋落を続けるのに、なすすべがないからでしょう。
それゆえ「日本はすごいんだ」と根拠がなくても思い込むことで、
自尊心を保つ人が増えているということでしょう。

こんなことをしても、凋落を続ける国力は
全然回復しないどころか、問題が放置されることによって
悪化するだけであり、一種の現実逃避であるとも言えます。


全体を見て思うことは、日本人がもっとも選民意識で
うぬぼれていたときは、調査の範囲では1983年であることです。
B. D. F.の3つの質問とも1983年がピークです。
近年の根拠なき国粋主義をもってしても、
1983年の水準には追いついていないということです。
(いまのペースでいけば、つぎの2018年には記録更新をしそうですが。)

1970-80年ごろというのは、日本はまだまだ経済成長を
続けていて、国力は上昇を続けていた時期でした。
オイルショックの影響でヨーロッパ諸国がスタグフレーションで
苦しむのを尻目に、日本は経済成長を続けていたのであり、
日本が絶対的にも相対的にも大国となりつつあることは、
いちおうの根拠はあったのでしょう。


バブルの時代がピークでないというのも、ちょっと意外です。
B. D. F.の3つとも減り続けていたくらいです。
バブルの時代に選民意識に酔っていられたのは、
バブルの恩恵を受けられた、一部に限られたのでしょうか?

多数である庶民としては、無駄に出費を要求されて
生活が不必要に圧迫されたり、「金余り」などと
うそぶいていた人たちのモラルハザードを見せられたりして、
とても「日本は優れている」なんて気持ちには
なれなかったのでしょうか?


posted by たんぽぽ at 21:33| Comment(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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