財源を確保する必要があるということを主張する、
朝日新聞の松尾匡氏の記事を、何回かに分けて見てきました。
「左派こそ金融緩和を重視」
「財政政策・福祉と公共事業」
「金融緩和・雇用の質と賃金」
「とある左派の経済政策観?」
「福祉国家の4Kと金融緩和」
「とある左派の経済政策観?」
「左派」どうしでも金融緩和や経済政策に対するスタンスが
ぜんぜん違っていることがある、ということに
お気づきのかたもいらっしゃると思います。
「左派」でもいろいろなかたがいて
一枚岩ではないと言ってしまえばそれまでですが。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150217/1424131087
ずっと前からあった「リベラル」や「左派」が金融緩和を
頭ごなしに否定する傾向は困ったものだという程度の認識はあり、
それは以前から何度か書いてきた
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20151008/p2
「本来は……」という表現が繰り返し用いられているのが象徴的だと思いますが、
ひとことで言えば「左派が納得するような結果が出ていない」わけです。
もちろん「それには理由があって、金融緩和が悪いわけじゃない」
というのが記事の趣旨だということはわかります。
しかし特に経済学に詳しいわけではない左派が
金融緩和の意義を素直に納得できる状況にない、
ということも率直に認めるべきではないのでしょうか?
おふたりとも自身を「左派」と認識していると思います。
どちらのかたも、日本の「リフレ」派に対する不信感は強烈で、
おたがい勝るとも劣らないと思います。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150813/1439417698
日本の「リフレ派」を見ていると、彼らは安倍政権が自らの推奨する
金融政策を採用したという一点だけで、
ろくでもない安倍政権の金融政策以外の政策を全部許してしまい、
それらをひっくるめて安倍政権を支持しているような印象を受けるのである。
だから本来なら、「リフレ派」同士で、金融政策以外で
意見が異なる点に関して、互いに批判し合うような関係であっても
良さそうに思うのだが、そんな気配は全然感じられず、
ひたすら安倍政権支持に凝り固まっているようにしか私には見えない
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20150419/p1
まともな左派ならこういう風に「娘」という語を用いる人間を
信用しないのは当たり前のことです。
「歴史修正主義は箸の上げ下げ」発言だってわたしゃ忘れてませんからね。
「人格と主張の正しさは別」だと?
しかし人権意識が残念な人間の提案というのは、
人権を勘案して考えられたものではない以上、その提案に従うことが
人権上の問題を引き起こすリスクは高いと想定するのは合理的です。
最初に引用のかたは、一般的な「左派」が金融安定化政策に
無理解なことを問題視し、自分でも「左派」からの
理解を得られるべく、文章を書いているということです。
あとに引用のかたは、11月22日エントリで
お話したようなスタンスであり、まったく対照的です。
あとのかたは、歴史修正主義に甘い人の言うことだから
信用できないという考えがあって、
それで属人的になっているのだろうと思います。
人とその主張内容とをわけているという点では、
最初のかたのほうがずっと好ましいことになります。
一度「kojitaken」氏と「Apeman」氏のおふたりで
金融安定化政策の意義について、討論してみるといいかもしれないです。
自分と異なる政治的立ち位置の人に対する不信感にかけては、
おふたりとも引けを取らないと思うのですが、
「左派」どうしであれば、おたがい信用できるでしょうからね。