2015年11月23日

経団連・配偶者手当て見直し

経団連が企業の配偶者手当ての見直しを推進する方針となりました。
「配偶者手当て」は妻が専業主婦である社員に
支給される手当てであり、国の配偶者控除と同様の
「妻が専業主婦の男性」への優遇措置と言えます。

「経団連が提言!配偶者手当見直しで女性の労働促進?」

以前、トヨタ自動車が配偶者手当ての廃止を決めましたが、
同様のことをすべての企業に推奨するということです。



経団連は、企業が専業主婦世帯に支給している
「配偶者手当」の見直しを推進する方針を固めました。
人事院の調査によれば現在、企業の約7割が支給していて、
「配偶者の年収が103万円未満」を条件としているところが一番多く、
月額平均は14,347円(年額17万2,164円)という結果です。

配偶者手当ての支給条件は「配偶者控除」と同じ企業が多いのですね。
企業の配偶者手当ても、支給を受けるために
妻が自主的に年収を抑えることをうながすことになります。
配偶者控除と同じように「103万円の壁」を作り、
妻を専業主婦へ囲いこむことになるということです。

女性も経済的に自立して主体的に生きるという
当然の権利に加えて、妻を専業主婦として養えるだけの
年収がない男性が多くなっている状況です。
夫婦共稼ぎが増えている現状に合わせて、
手当ての仕組みを変えていくことが妥当と言えます。


7割の企業が配偶者手当を支給していることに、わたしは驚きましたよ。
そのくらい「当たり前」の制度だったのですね。
国から配偶者控除を受けて、企業から配偶者手当てをもらって、
妻が専業主婦の男性は、いろいろなところから優遇されていると思います。

賃金と家事労働の負担軽減の両方でこれくらい優遇されれば、
特に女性から彼らに対する不満が出るのも、
ごもっともなことだと改めて思うしだいです。
企業の配偶者手当ては、配偶者控除ほど話題にならないですが、
もっと問題にしたほうがいいだろうと思います。

「奥さんがいていいわね」


記事の最後の節は、配偶者手当ての廃止を検討する
経営者向けの注意となっています。
賃金の削減になるので、労働組合を納得させるのが
難しいだけでなく、民事上の提訴をされると
損害倍賞を払うことになることがあるのですね。

このあたりに既得権をなくすことの難しさが見て取れます。
具体的にはじゅうぶんにシミュレーションした上で、
基本給やほかの手当てを上乗せをするなどして、
配偶者手当て廃止の代償とすることを示しています。



posted by たんぽぽ at 09:54| Comment(2) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
加えて、妻が専業主婦であるかどうかが査定や人事考課に影響する会社もございました(前配偶者の会社)
オトコ社会独特の「男の甲斐性も査定に入る」
らしく。
ここまでそれぞれの家庭のあり方に物申す世界は未だに理解不能です
Posted by わんわん at 2017年08月19日 10:38
わんわんさま、
むかしのエントリにコメントありがとうございます。

>加えて、妻が専業主婦であるかどうかが査定や人事考課に影響

当然、妻が専業主婦だと有利なのでしょうね。

たいていの雇用環境では既婚男性が有利ですが、
その中でも配偶者がどうしているかによって
さらに差がつくことになりますね。

自分の妻に仕事をやめるようになんて
要求する男性社員もいるのではないかと思います。


>ここまでそれぞれの家庭のあり方に物申す世界は未だに理解不能です

高度経済成長期に定まった家族思想に対する信仰は、
もともと企業利益のためですからね。
日本は他国にも増して雇用と家族・ジェンダーが
わかちがたく結びついた国となっています。

「結婚・ジェンダーと雇用問題」
http://taraxacum.seesaa.net/article/440871745.html
Posted by たんぽぽ at 2017年08月19日 13:21
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