2015年11月22日

とある左派の経済政策観?

11月21日エントリの続き。

とある左派の経済政策観?と思われるエントリを
引き続き見ていきたいと思います。

「これでは左派が支持しないのは不思議でもなんでもないのでは?」
(はてなブックマーク)


これまでデフレ時の金融緩和の意義としてお話してきたのは、
————
1. 金融緩和で経済成長を図ることで税収を上げて財源を確保(金融安定化政策)
2. 確保した財源をどのような政策に使うか(財政政策)
————
ということです。

いかなる政党でも政策実行のために財源は必要だから
1.は政党に関係なく共通に掲げる政策とすることとし、
政党間の政策の差異は2.でつけろということになります。


上述のエントリでは次のことが書いてあります。
「本来は……」という表現が繰り返し用いられているのが象徴的だと思いますが、
ひとことで言えば「左派が納得するような結果が出ていない」わけです。
もちろん「それには理由があって、金融緩和が悪いわけじゃない」
というのが記事の趣旨だということはわかります。
しかし特に経済学に詳しいわけではない左派が
金融緩和の意義を素直に納得できる状況にない、
ということも率直に認めるべきではないのでしょうか?

言及されている「特に経済学に詳しいわけではない左派」は、
1.と2.の区分がはっきりしない人を、おそらく想定しているのでしょう。
そういう人は2.の財政政策も、1.の金融緩和の効果のうちで
あるかのように思っているということです。
それで「2.が左派にとって支持できないものだから、
左派は1.も支持しないのだ」と言いたいのでしょう。


エントリを書いたかた自身の認識は実際どうなのかと思います。
「それには理由があって、金融緩和が悪いわけじゃない」というのが
記事の趣旨だということはわかります」
という記述が挿入してあるのは、なかなか微妙です。
自分はわかっていると言いたいのかもしれないですが、
これだけでこのかた自身はわかっているとは判断できないと思います。

「問題は2.にあって1.ではないというのが
記事の言いたいことだいうことはわかるけれど、
自分はそのように2.と1.が区分されるとは思っていない」
という認識かもしれないからです。
記事の趣旨に同意したかどうかまでは、示されていないということです。

コメント欄にある
リフレ派は何かと言えば「パイを大きくした方が再配分もやりやすい、
だからまずはパイを大きくして」といってきたわけですけど、
再配分が本当に重要だと思っているとは思えないような
振る舞いばっかりしてますからね。
(2015/10/11 16:00)
というコメントも同様に微妙です。
「パイを大きくする」という1.自体にも懐疑しているようです。

1.と2.の区分はわかっているとも、わかってないともつかない、
巧妙な(?)書きかたをいつもしていると思います。


エントリの初めに「私はインフレターゲット政策それ自体について
ネガティヴなことを言ったことはない」という断わり書きがあります。
同様のことをこのかたはしょっちゅう言っています。

自分は1.と2.の区分はわかっているというのなら、
ご自身で「特に経済学に詳しいわけではない左派」に
わかるように解説すればよいのだと思います。
メインブログの11月19日エントリでも触れたことです。

「とある左派の経済政策観?」

おっしゃるような「左派」諸氏は、「歴史修正主義者に甘いリフレ派」
言うことは信用しないけれど、歴史修正主義批判に熱心な
あなたのようなかたでしたら聞く耳があるのでしょう。
なぜに自分でも信用していない「リフレ派」
説明責任ばかり批判しているのかと思います。


金融緩和の必要性や意義を本当に理解しているなら、
このかたはそれを「左派」諸氏にも理解させようとすると思います。
金融安定化政策を理解しない「左派」が少なくないことを、
もっと問題視するだろうと思います。

それをしないで、このエントリのように「リフレ派」叩き
ばかりするというのは、このかたの金融緩和に対する理解は、
じつは「その程度」ということなのかもしれないです。



関連エントリ:

「とある左派の経済政策観?」
「金融緩和・雇用の質と賃金」
「財政政策・福祉と公共事業」
「左派こそ金融緩和を重視」


posted by たんぽぽ at 22:59| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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