進めていること、そして3世代同居は現在においては
困難が多いことを、メインブログでお話したのでした。
「3世代同居で少子化対策?」
「3世代同居の住宅政策」
「3世代同居の住宅政策(2)」
「今からドキドキが止まらない『3世代同居の住宅政策』が推進された後の日本」
(はてなブックマーク)
3世代同居のほうが少人数の世帯より出生率が高いという
根拠はあるので、それをご紹介したいと思います。
国土交通白書に都道府県別の3世代同居世帯の割合と、
合計特殊出生率の関係を図にしめしたものがあります。
(2000年の国勢調査と2001年の人口動態統計なので、
データがやや古いですが。)
これを見ると相関はあって3世代同居の割合が高い県ほど、
出生率が高くなる傾向はあります。
「第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開」
「図表I-3-2-11 3世代同居世帯の割合と合計特殊出生率の関係(都道府県別)」

もうひとつ総務省の「就業構造基本調査」から作った図があります。
こちらは2007年のデータなのでやや新しいです。
「2010年2月15日 女性の就業と出生率」

「3世代同居で出生率上昇」というのは、
現在のデータにもとづいたお話であり、
戦前回帰を夢見ているということではなかったようです。
人間の子育てはとても負担がかかるので、母親ひとりでは困難で、
夫やきょうだい、祖父母やご近所さんの手伝いを必要とします。
人間には閉経後も長生きする「おばあさん」がいるのも、
子育てを分担できる人が多くいたほうが、
生存に有利だったからだと考えられています。
「「人間とは何か」京大霊長類研シンポジウムレポート(前)」
そう考えると、子育てを分担する人員が多く、
母親ひとりの負担が軽減されうる3世代同居は子育てに有利であり、
出生率が高くなるのも納得のいくことだと言えます。
ところが現代社会においては3世代同居は困難が多く
非現実的であることをすでにお話しています。
国土交通白書でもつぎのように書いています。
今後、世帯の小規模化が一層進むものと予測される中で、
三世代同居等による育児はますます期待できなくなる状況であり、
社会全体として子育てを支援する環境整備が必要となっている
日本経済政策センターのコンテンツでも同様です。
今後は、都市的な地域において、三世代同居に代替しうるほど強力な
就業と子育て両立策を講じていくことが必要だということになる
したがって母親の育児の負担を減らすには、
3世代同居ではなくべつの方法、具体的には保育所の充実など
仕事と育児の両立しやすい環境の整備で解決するのが
やはり本筋ということになります。
関連エントリ:
「3世代同居で少子化対策?」
「3世代同居の住宅政策」
「3世代同居の住宅政策(2)」