朝日新聞の民法改正に関する気合いの入った記事を
ご紹介したのでした。
「どうして夫婦同姓なの 民法の規定、最高裁が初の憲法判断へ」
「どうして夫婦同姓なの」(全文)
この記事は民主党政権時代に民法改正法案にかかわった
千葉景子氏と亀井静香氏へのインタビューを載せています。
ここではこれを見ていきたいと思います。
>千葉景子
2009年に民主党が政権を取ったとき、
千葉景子氏が法務大臣に就任したのでした。
家族・ジェンダー問題に理解があるかたですし、
これで民法改正はじき実現すると、当時は期待したものです。
ところが国民新党が猛烈に反対して、閣議決定から頓挫、
そのまま立ち往生することになったのでした。
「鳩山内閣発足」
「落ち穂拾い」
鳩山内閣がすぐに終わって、菅内閣が発足したときは
千葉景子氏は法務大臣に留任したのでした。
ところがそのあとの2010年7月の参院選で民主党が大敗、
千葉景子氏は落選してしまったのでした。
それでも閣僚は留任ということになったのでした。
「菅内閣発足」
「参院選民主大敗」
「千葉景子続投」
そのあとは反対派に押されて萎縮でしたね。
離婚後300日規定に関する面接のときですが、
千葉景子氏は法改正に「及び腰」だったのでした。
政権自体が民法改正なんて反発が強いので
やる気がないという調子になっていったと思います。
「頼りにならない?」
「300日規定暗雲の記事」
千葉景子氏は「ただ、強硬な反対派は一部だ」とコメントしています。
それならなぜに「一部」しかいない彼らの反対を抑えて、
民法改正法案を実現できなかったのかと思います。
そこを問題にしてほしいものです。
国会議員にとっては票につながらず、優先順位が低くなるという面もある。
いまの政府では、改正案を出す雰囲気にはならない。
家族やジェンダーに関することに政治が関心を持たないのは、
ようは票につながらないということなのですよね。
ある意味なめられているとも言えます。
安倍政権は民法改正法案を自発的に出すことはないでしょうが、
民主党政権も2010年の参院選の大敗以降は、
法案を「出す雰囲気にはならな」かったですよ。
最終的に、人権を救済できる機関は裁判所だけだ。
最高裁は、違憲判決を出してほしい。期待している。
「最終的に」「裁判所だけ」になったのは、
とりもなおさず民主党政権時代に実現しなかったからですよ。
選択的夫婦別姓の国家賠償請求訴訟でも、
「立法の不作為」が理由になっています。
「別姓訴訟・第1回口頭弁論」
一般の支持者が言うのならいざ知らず、
法案を提出する立場にある閣僚だったかたが、
これを言うというのは、しばしお粗末だと思います。
>亀井静香
亀井静香氏は当時は国民新党の議員ですが、
このかたこそ民主党政権時代に入閣して、
民法改正法案の提出を阻止した張本人です。
鳩山政権時代から早々と閣議決定にさえ猛烈に反対しました。
かくして民主党政権時代に、民法改正法案の提出は
一度もなされない事態を招くもとを作ったと言えます。
「亀井静香が反対」
「国民新党のこと」
「民法改正に暗雲」
「また亀井静香か」
反対している理由は支持基盤ではないかと思います。
おそらく宗教系の団体がいて、民法改正に反対しているのでしょう。
彼らの支持を取り付けるために、亀井静香氏も反対しているのだと思います。
民法改正に反対すると凋落するという法則(?)があって、
所属していた国民新党は、安倍政権になってからすぐの
2013年3月に消滅したのでした。
亀井静香氏は2012年の衆院選前に、未来の党に移籍するなどして
生きながらえ、いまもって議員活動は続いています。
亀井静香氏はいまだに頑迷きわまりなく
選択的夫婦別姓に反対しているのですね。
政権時代の支持基盤もまだそのままなのでしょう。
「一体感」がどうたらとか、ありきたりな反対論であり、
その主張内容には、真新しさはぜんぜんないです。
最高裁が下した判決にも冤罪がある。違憲判決が出たとしても、
直ちに法改正をするのではなく、国会での議論が必要だ。
亀井静香氏は「冤罪がある」とまで言っていますよ。
民法改正、選択的夫婦別姓というのは、そこまで言われなければならない
「大それたこと」なのかと思います。
違憲判決が出たらすぐに民法改正をしないとだめでしょう。
その時点になったらもう是非の議論をするのではなく、
議論の時間は法案提出の調整や準備のために当てることです。
それにしても閣議決定に反対して審議さえさせなかったかたが、
「国会での議論が必要だ」なんて、なにをか言わんやですよ。
関連エントリ:
「民法改正運動・歴史と現在」
「夫婦別姓・世論調査の歴史」