最高裁大法廷で弁論が行なわれるニュースをご紹介しました。
「民法改正・最高裁で弁論」
ここで懸念されるのは、とくに選択的夫婦別姓で、
現行民法に対して違憲判決が出ない可能性です。
同姓強制が「合憲」とされる可能性を考えるかたは、
やはりいらっしゃるのですよね。
最高裁判決と言っても、9条とか一票の格差に関わる問題に比べればただの政策選択くらいに考えている人もいるのかもしれないけど、夫婦別姓訴訟で明確に現法「合憲」とされたら、この国の人権政策は先が塞がると思う。
— くろぴよ (情報量ゼロ) (@tkonai) 2015, 10月 29
同様の懸念は、わたしも前にお話したことがあります。
「民法改正を大法廷回付」
選択的夫婦別姓は、過去の最高裁判決がないので、
今回が初めての最高裁判断となります。
よって上述の「初めて憲法上の判断をするとき」に該当するから
大法廷に回付された、という可能性が考えられます。
したがって同姓強制の現行民法に対して、
違憲判決が出ない可能性もあると、わたしは思っています。
そうなった場合、選択的夫婦別姓が認められるのは、
いよいよ遠い未来になってしまい(反対派は自信を持って反対するでしょうし、
ふたたび大法廷回付されるには15-20年くらいさきになりそうですし)、
かえって悲観的な状況となるので、戦々恐々としてもいます。
おそらく「現状の不利益の可能性は理解できる。ゆえに、違憲とまでは言えないが立法対応における国民的議論に期待する(キリ 」でお茶を濁すのではないか。
— くろぴよ (情報量ゼロ) (@tkonai) 2015, 10月 29
これについては、メインブログの11月2日エントリで紹介した、
東京新聞に載せられた、坂本洋子氏のコメントですよ。
「相続で婚外子を差別していた民法の規定も、
最高裁が問題解決を立法に委ね続けた結果、
差別撤廃は遅れてしまった」と指摘。
弁論を前に「同じ轍を踏まないよう、夫婦に同姓を強制する
現行民法の規定は憲法違反であると明確に判断し、
人権政策を軽視する立法府を厳しくただすことを
期待している」と話している
「立法対応における国民的議論に期待」してきたから、
いままで民法改正がなされずに来たのは自明です。
それにもかかわらず、この期におよんでまだまったくあてにならない
「立法対応」やら「国民的議論」に「期待」して、
民法改正をこのあと何年も、何十年も
先送りにすることがないことを祈るばかりです。
最初のツイートのかたが言及していますが、
この問題は単なる民法改正だけの問題にとどまらない、
日本の人権政策全般にかかわることと思っていいかもしれないです。
この裁判で違憲判決が出るかどうかで、今後の日本の
ほかの人権問題への影響も出ることが考えられます。
関連エントリ:
「民法改正・最高裁で弁論」