これは正確には「合計特殊出生率」というものです。
(出生率にはいくつか種類があります。)
合計特殊出生率は、その年の時点における「ひとりの女性が
一生のあいだに産む子どもの人数」の推測値を表わします。
その計算方法について、ここではお話したいと思います。
「出生率の「1.41」ってどう計算するか知ってますか?」
「合計特殊出生率って何だ?計算の仕組みを簡単に解説してみる。」
合計特殊出生率は、ある年における出産可能な女性の人口のうち、
各年齢の出生率を積分します。
年齢がxの女性の人口をf(x)、出生数をb(x)とすると、
出生率はb(x)/f(x)となります。
これを出産可能な人口の年齢領域Dで積分するということです。
Dは通常15-49歳の女性とします。

実際の計算では年齢階層に幅を持たせるので、つぎのように和分になります。
年齢階層iの女性の人口をf(xi)、出生数をb(xi)として、
出生率はb(xi)/f(xi)、これに年齢階層の幅Δiをかけて、
全部加えることになります。

ここで厚生労働省がの2012年のデータを使って、
合計特殊出生率を計算してみることにします。
年齢階層は5歳間隔なので、すべてのiに対してΔi = 5、
15歳から49歳までなので7階層、すなわちn=7になります。

結果は赤字でしめしたように、1.404となります。
これが人口統計で発表される合計特殊出生率であり、
ひとりの女性が一生のあいだに産む子どもの人数の
2012年時点での推測値になります。

この計算では年齢階層を5歳間隔、Δi= 5としましたが、
もっと狭い間隔で計算することもできます。
つぎのサイトでは1歳間隔、Δi= 1で計算しています。
「合計特殊出生率は、どのように計算するのですか」
また出産可能な人口を15歳から49歳までの女性としています。
14歳以下や50歳以上の女性が出産することもあるでしょうが、
絶対数が少ないので、計算値への影響はわずかだから、
カウントしないということです。
男性は子どもを産まないですから、何人いてもカウントされず、
男性の人口は計算に使われないことになります。
この計算結果は「15-19歳の女性は0.022人産んで、
20-24歳の女性は0.162人産んで…」ということをしめします。
これを「ひとりの女性が15-19歳のあいだに0.022人産んで、
20-24歳のあいだに0.162人産んで…」と解釈するということです。
その年の1年分だけのデータを使って将来予測をするために、
このような工夫をしたということです。
出生率の統計を取るのが、そもそも未来の予測のためなのですから、
与えられたデータだけ使って推測する必要があるわけです。
1年分のデータしか使わないので、過去や未来の情報は入らないです。
今後時代が変化して早産化や晩産化が進むとか、
将来ベビーブームが来てきゅうに出生率が上がるとか、
あるいはますます子どもを産み育てにくくなって
出生率が下がるといった可能性も無視しています。
1年分の情報だけで推測するので、そこまでは勘弁してくれということです。
付記:
ちょっとむずかしいなと思ったかたは、
こちらをご覧になるといいかもしれないです。
「合計特殊出生率って何だ?計算の仕組みを簡単に解説してみる。」