先進国で出生率が低い国は「マッチョ」の国だという指摘があります。
具体的には、日本とドイツとイタリアです。
「男性が強い「マッチョな国」では子どもを産まない女性が増える」
先進国では特に、ドイツ、イタリアのTFRが低いですね。
この2ヵ国と日本に共通するのが、
もともと父系が強い「マッチョな社会」である点。
私は密かにこの現象を、女性たちの「静かな革命」と呼んでいます。
数値を見ていると、男性が優位な社会で我慢を強いられてきた
女性たちによる、「もう子どもを産むだけの人生ではない」という
意思の表れのように見えるのです。
出生率の低い先進国の特徴として、「良妻賢母嗜好」があることを
指摘する記事をご紹介したことがあります。
良妻賢母嗜好の国も、日本とドイツとイタリアだったのでした。
「良妻賢母が好きな国はなぜ出生率が低いか」
「良妻賢母が好きでない国の方が出生率が高い」というものです。
少子化の国は「日本、イタリア、ドイツ、韓国」など
「伝統的家族観」が強いところ。当然良妻賢母が良しとされます。
イタリアなんか「マンマ」の国ですし。
マッチョ主義はしばしば良妻賢母嗜好を併発するので、
おなじことを表現していると言ってよいでしょう。
男性のありかたに注目したのが「マッチョ主義」、
女性のありかたに注目したのが「良妻賢母指向」と言えると思います。
マッチョ主義は力強さを求めるので、
必然的に男性に「男性性」を要求することになります。
その結果女性には、彼らにとって「女性らしい」とされる、
「よき妻」や「よき母」を求めるようになるのでしょう。
どちらも性別役割分担を強化することになります。
かつてマッチョ主義と良妻賢母嗜好をひたすら追求した
政治体制はファシズム、全体主義です。
ファシズムは一般に軍国主義に走るので、「力強さ」とか
「男性性」が尊ばれて、マッチョ主義に走ることになります。
「ナチスが迫害したレズビアン」
またファシズム国は富国強兵政策に走るので、
「産めよ増やせよ」のために、女性には「良妻賢母」を
求めるようになるということです。
日本で太平洋戦争中に行なわれた戦時人口政策も、
学校教育で女性の幸せは結婚して子どもを産むことだと
吹き込むなど、「良妻賢母嗜好」だったのでした。
「大政翼賛会の母性の保護」
かつてのファシズムの国は、日本とドイツとイタリアでした。
この3国がいまは出生率の低下に悩むのでした。
かつてのファシズムといまの少子化とに
直接の関連はないと思いますが、これら3国は21世紀の前半も
運命をともにすることになりそうです。
ファシズム体制のもとで人口増加政策となりえた
マッチョ主義と良妻賢母嗜好が、21世紀の民主社会のもとでは
出生率を下げる原因となっているということは
特筆しておくことかもしれないです。
関連エントリ:
「人口減少社会に向けて」