2015年03月26日

夫婦別姓と貞操義務の関係?

選択的封夫婦別姓を認めると社会がどうなるかについて、
さまざまな妄想を抱く人たちがたくさんいます。
「夫婦別姓で国家解体」ほど「あっちの世界」ではないですが、
かなり妄想が入っていそうなかたがいるので、ご紹介したいと思います。

「「夫婦別姓論者は貞操義務や扶養義務を負わない」論についての考察」

はじめにつぎのツイートを見てみることにします。
このかたは「夫婦別姓論者は貞操義務や扶養義務を負わない」
などと思っているようなのですよ。
もとのツイートはすでに削除しているので、画像キャプチャです。

bessei-pannacottaso1


法的なことでしたら、民法改正によって認められるのは
夫婦の双方とも改姓せずに法律婚ができるようになることです。
名字の扱い以外はなにも変わらないです。

したがって、選択的夫婦別姓が認められたところで、
結婚の扶養義務や貞操義務はそのままあります。
「夫婦別姓論者」だろうとなんだろうと、
「扶養義務や貞操義務を負わない」のは義務違反ですし、
義務不履行によって離婚や提訴をされることもあるでしょう。

結婚前に「貞操義務や扶養義務を負わない」などと言えば、
「じゃあほかの人と結婚します」と言われることになるでしょう。


「金持ってるオッサン」が「夫婦別姓論者」ということが
どれくらいあるのか?という疑問も、わたしにはあります。
そういう中高年男性は、妻が自分の名字に改姓してくれないのが嫌で、
夫婦別姓に反対の可能性が高そうに思います。

本当に非改姓結婚に理解があるくらいの男性であれば、
扶養義務や貞操義務を交換条件にしたりはしないでしょう。
法的にこれらの義務が、非改姓結婚の交換条件に
なりえないことくらい理解していると思います。

あるいはかかる「金持ってるオッサン」は、
女性の非改姓結婚に反対しているので、
「女が名字を変えないなら、扶養義務も貞操義務も負わないぞ」と
脅しのために言うということでしょうか?

夫婦同姓が強制されたときは、そうした「金持ってるオッサン」の
自己中心性が表面化しなかっただけだと思います。
抑圧が表面化しないのは、むしろ不健全なことです。
表面化するだけでも、まだ状況がよくなったと言えると思います。


選択的夫婦別姓が認められることで、
多くの不便や不都合が解消されるかたはたくさんいます。
そういう「金持ってるオッサン」が実際にいたとして、
一部の自己中心的な人たちのために、なぜに夫婦別姓の選択が
一律に禁止され、不便や不都合を被り続ける人たちが、
出てこなければならないのかと思います。

問題にするべきはかかる自己中心的な人たちであり、
夫婦同姓の強制とはべつの方法で解決することです。
非改姓結婚を必要とするかたの責任ではないし、
しわよせを押し付けられるいわれのないことです。


「なんで結婚がいろいろと面倒くさいことをビルトインさせてるか」
とも言っていますが、それは結婚生活における
男性の有利さを維持するためだと思いますよ。

結婚生活はおおかれすくなかれ男性に有利ですし、
結婚制度はその男性優位を追認するために作られたのもあります。
結婚制度そのものに反対するかたの中には、
そうした男性優位に反対するかたもいるのだと思います。

選択的夫婦別姓を認めることは、非改姓結婚がほとんど
認められない女性に、非改姓結婚を認めることです。
よって結婚制度の中の男性優位の部分を減らすことになります。


最後の「結局男女の問題を自由に任せると力のある
オスのやりたい放題」というのは、支配者や抑圧者の
独善的な「理屈」の典型だと思います。

社会的弱者を強者の庇護がなければ生きられない状況に追いつめて、
その状況化で社会的弱者を搾取しておきながら、
「俺は社会的弱者を庇護してやっているから、
弱者のためにもなっている」などと言う、ということです。

「黒人奴隷を解放すると彼らは生活できなくなるから、
白人が奴隷として黒人を庇護するほうが、黒人はしあわせだ」
などと白人が言うのとおなじような構造です。


posted by たんぽぽ at 23:02| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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