年次推移のデータがあるので、ご紹介したいと思います。
「米国の人種別民族別合計特殊出生率」
これまでに何度か、アメリカ合衆国ではヒスパニックの出生率が高く、
全体の出生率を高めているというお話が出てきましたが、
それを確かめることができます。

アメリカ合衆国の全国平均ですが、
冷戦崩壊以降の出生率は、2.0付近で推移しています。
アメリカ合衆国は先進国の中でただひとつ
少子化問題が起きていない国、ということです。
ヒスパニック以外の白人とアジア人はほぼ同程度で、
出生率は1.8前後を推移しています。
特定の人種・民族にかぎると、アメリカ合衆国でも
出生率は人口置換水準に及ばず、低い水準になるということです。
それでも1.8程度ですから、少子化対策が成果をあげた
フランスやスウェーデンに近い数字にはなっています。
日本のように少子化対策が成果をあげていない国よりは
問題なくずっと高い出生率です。
黒人の出生率は21世紀に入ってから2.0程度で、
全国平均とほぼおなじ水準になっています。
かつては黒人の出生率は、白人の出生率よりずっと高かったのでした。
それが下がってきたということは、それだけ社会が成熟して
黒人のライフスタイルにも反映するようになった、
ということではないかと思います。
ヒスパニックの出生率は黒人よりさらにずっと高く、
2.5から3.0付近を推移しています。
ヒスパニックがアメリカ合衆国の全体の出生率を
高めていることが、あらためて確認できます。
ところが2008年ごろから、ヒスパニックの出生率が
きゅうに下がり始め、2012年には2.19となっています。
こちらも社会の成熟が出生率の低下をもたらした、
ということかもしれないです。
そのせいもあって、アメリカ合衆国全体の出生率も
2010年から2を下回るようになっています。
今後もヒスパニックの出生率が下がり続けることが予想されますし、
アメリカ合衆国でも少子化が進み始めるのかもしれないです。
関連エントリ:
「アメリカの保育事情」
「どこの出生率が高い国?(2)」
謝辞:
メインブログの1月12日エントリのコメント欄で、
アメリカ合衆国の人種・民族べつの出生率のデータを教えてくださった
ritiarnoさま、ありがとうございます。
「米国の人種別民族別合計特殊出生率」