2015年03月06日

結婚改姓と「嫁になる」

夫婦別姓(非改姓結婚)を希望する動機として、
結婚改姓すると嫁になったような気がするとか、
まわり(とくに夫の両親)が自分を嫁扱いするようになるから、
というかたもいらっしゃります。

https://twitter.com/moetreehaihai/status/569037974609862656
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別姓を選択できるといいなと思ったのは結婚当初、
婚家の家の姓を名乗ることが文字通り「嫁に行く」ような気がして、
つまり相手の家にすべて捧げなければならないような気がしたから。
前にも書いたように結婚したから自動的に義理の両親の世話をするのは
わたしだと決めつけられたような気がしてね。
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結婚して夫との対等な配偶者になったのであって、
夫の家に嫁いだのではない、と考えているかたにとって、
このような「嫁になったような気がする」とか、
「嫁扱いされる」というのは、とても苦痛になるわけです。



戦前のイエ制度のもとでは、家長である夫のイエに入り
「嫁になった」ことをしめすこととして、
妻が夫の名字に改姓することがありました。
結婚改姓が「嫁になる」ことを連想させるのは、
戦前の旧民法のイエ制度の影響で、結婚改姓に「家に入る」ことを
意識させることがあるからでしょう。

現在の民法にはイエ制度はないですし、
結婚改姓に「夫のイエに嫁ぐ」とか「嫁になる」といった意味はないです。
それでもかつて「嫁になる」ことで結婚改姓した時代があった以上、
現在の結婚改姓にも「嫁になる」ことを連想させて
忌避や警戒をするかたがいるのは、ごもっともだと思います。

また自分は改姓しても「嫁になった」という意識は
出てこないから、気にならないのだとしても、
まわりの人たちが「嫁扱い」する可能性もあります。
夫の親の中には、息子の妻が自分の家の名字を名乗ったことで
「嫁になった」と思ってそう扱うかたも、ときどきいるのですよね。


イエ制度はとっくになくなっているのに、
このようなイエ制度の「意識」がいまだに残っているのは、
戦後の民法や戸籍制度が中途半端に、戦前の民法や戸籍の形式を
引きずっていることがあるのではないかと、わたしは思います。

それゆえ現行民法が戦前のイエ制度とすっかり別物になった
という意識を、持ちにくいのではないかと思います。
人びとの意識を変えるには、中途半端にかたちを残していてはだめで、
抜本的に異なるシステムに変える必要があるのでしょう。

また、戦後の新民法によって戦前のイエ制度がなくなったことに
関する啓蒙が、ふじゅうぶんなこともありそうです。
戸籍の筆頭者が戸主だと思っていたり、男性の改姓が婿養子だと
思っているかたは、まだまだたくさんいると思います。
こうした誤解を解くことに役所や行政は、
あまり力を入れてこなかったように思います。



posted by たんぽぽ at 22:08| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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