2015年03月01日

奨学金返済と自己破産

学生支援機構の奨学金が返せない人の問題が深刻になっています。
つぎのように自己破産するかたも出てくるのですよね。

「奨学金返せず自己破産、小倉北区の40歳フリーター 
月収14万円「283万円払えない」」




高校、大学時代に借りた奨学金を返還できないとして、
北九州市小倉北区のフリーターの男性(40)が
福岡地裁小倉支部で自己破産の手続き開始決定を受けたことが分かった。
男性には延滞金を含めて約283万円の返還義務があるが、
「奨学金のために消費者金融などで借金しても返せない。
そもそも多額の金を貸してくれない」と説明。
識者は、非正規雇用などで若者の貧困が拡大すれば、
今回のように奨学金返還のみでの
自己破産申請が増える可能性を指摘している。


奨学金未返還額と未返還者数の推移

無理もないことです。
日本の大学の授業料はきわめて高いです。
それでいて学生支援機構の奨学金は給付型ものはなく「借金」です。
しかも無利子のものが借りにくくなって、
利子付きもの奨学金を借りざるをえない状況です。

「「学費は自分で稼いだ」って昔話を自慢して現実を見ていない老害学者」

加えて大学卒業後の暮らしは、どんどん苦しくなっています。
所得水準が下がっている上に、非正規の職にしかつけないなど、
雇用が不安定で収入が途絶えがちの人が増えています。
奨学金が返せなくなる人が増えてくるというものです。


むかしから奨学金を返すために、サラ金から借金をして
多重債務に陥って、自己破産するケースはあったようです。
最近は奨学金の返済だけで、自己破産するケースが出てきています。
だんだんと奨学金を返すことが難しくなっていく状況が、
ここにも現れているということです。

http://qbiz.jp/article/55587/1/
学識者や弁護士などでつくる「奨学金問題対策全国会議」(東京都)によると、
奨学金返還のために消費者金融から借金するなどして
多重債務に陥り自己破産にいたるケースは以前からあったが、
最近は奨学金だけで自己破産するケースが出始めているという。


奨学金が返せなくなったとき、自己破産するというのは、
じつは一案ではないかと、わたしは思っています。
「借金を返さなくてよい」ことを裁判所に認めてもらう
「免責手続きを取る」ということです。
万が一のときの選択肢のひとつに入れておいてよいと思います。

自己破産すると、クレジットカードが作れないとか、
ローンなど銀行の融資を受けられないとか、
特定の職業につけないとか、会社の取締役になれないとか、
長距離の旅行や引っ越しが制限されることがあるとか、
いくつかデメリットもあるのですが。

さらに結婚や離婚で改姓すると、自己破産の記録が消えるのですよね。
記録が消えたら、ふたたびクレジットカードは作り放題、
銀行のローンも組み放題になりますよ。
なので、名字を変えることに抵抗がなければ、
合わせて改姓も行なうとよいと思います。
女性向きですが、男性でももちろんできることです。

「多重債務と改姓」

一般に多重債務に陥って自己破産するのは、
お金の管理が苦手だからであることが多いです。
よって自己破産の記録を消しても、ふたたび借金地獄になる可能性があります。
奨学金が返せなくなって自己破産したかたは、
お金の管理が苦手だからではないでしょうから、
ふたたび借金地獄になる可能性は低いだろうと思います。


追記:

結婚改姓で自己破産の記録を消すことは、
いまではかなり難しくなっているようです。
審査が厳しくなって、結婚改姓の前も
極力調査するようになっているらしいです。

なのでここでお話している
「改姓によって自己破産の記録を消す」ことは、
すでにできないと思ったほうがいいと思います。


謝辞:

追記の件について情報提供してくださったかた、
まことにありがとうございます。


posted by たんぽぽ at 09:22| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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