「選択制なのになぜ反対するのですか?」を、
ここであらためて取り上げたいと思います。
現在,夫婦が同姓となっているのは制度上の問題に過ぎません。夫婦別姓の選択制は夫婦同姓を禁ずるものではありません(同姓と別姓の選択)。これの導入に反対するには他人の選択を狭めるに足る合理的な理由が必要とされるでしょう。
— ITOK (@ITOKtw) 2015, 2月 18
民法改正案は、別姓も同姓もどちらも選択できますから、
夫婦同姓にしたいかたは、従来通り同姓を選択することができます。
したがって選択的夫婦別姓に反対するということは、
自分と利害が関係ない他人の選択に反対することになります。
反対派(非共存派)は、自分の権利はなんら侵害されないのに、
他人の権利を侵害することにやたら固執するのはなぜか?
という疑問がとうぜんながら出てくることになります。
考えられる理由を大きくふたつ挙げておくことにします。
ひとつは男性の中には、自分の妻が旧姓に戻したいとか、
これから結婚する相手の女性が改姓したくないと言い出すのが
嫌だと思っているのがいる、ということです。
「同姓派男性の自分の問題」
「同姓派男性の自分の問題(2)」
ある種の男性は、自分の結婚相手が自分の名字に改姓することに、
やたらこだわりを持っているのですよね。
自分が改姓して夫婦同姓になるのはとても嫌なので、
妻に改姓させることが、彼らにとって重要なのだと思います。
「改姓させたい男の子たち」
夫婦別姓を認めたら、女性は非改姓権を主張しやすくなる、
現行の夫婦同姓強制のままなら、夫婦どちらが改姓してもよいと
なっているにもかかわらず、社会通念を利用して
ほとんど確実に女性が改姓することになる、ということなのでしょう。
現行民法を制定する際、形式的に男女平等としながら、
この社会通念を利用できると考えたという経緯もあります。
「現行法は男女どちらの姓も選べるから平等?」
もうひとつは、高度経済成長期に定着した家族思想の維持です。
こういう人たちは、かかる家族思想が「正しい家族」ということが、
強烈なイデオロギーになっているということです。
この家族思想とは「夫が外で働き妻が専業主婦で子どもはふたり」という、
いわゆる「標準家族」の維持のことです。
「反対派の「正しい家族」幻想」
この家族思想は、信仰を持たない日本人の
宗教の代わりになっている面もあると思います。
戦後民法によって夫婦・家族は同姓とされていますから、
夫婦別姓はこの家族思想の中に存在しないことになり、
「異教徒」ということになります。
「信仰としての家族思想」
「信仰としての家族思想(2)」
かかる家族思想の持ち主は「異教徒」の存在が認められないわけです。
それゆえ夫婦別姓という「異教徒」も、存在できないよう
選択制でも反対する必要があることになります。
「異教徒」との共存を拒絶する、文字通りの「非共存派」です。
彼ら非共存派たちは、選択的夫婦別姓が認められると、
家族が崩壊するといった、強烈な被害妄想に走ります。
実際に崩壊するのは、彼らのあたまの中の家族思想にすぎないのですが、
強烈な信仰をしているゆえに、崩されたときの衝撃が
大きいということなのだと思います。