みょうに被害意識を強めているエントリがあるのでご紹介します。
「田母神俊雄の得票率は18.5%。極右の脅威はますます強まっている」
このエントリの最後にこんなことが書いてあるのですよ。
今や、前門の新自由主義、後門の極右という「2つの脅威」と同時に
戦わなければならない時代なのである
この人が新自由主義政党だと思っているであろう
みんなの党は選挙前に消滅しました。
またおなじくこの人が新自由主義と思っているであろう
維新の党は議席が伸びなかったのでした。
そしてこの人が極右だと思っている次世代の党も
19議席から2議席と全滅同然の大敗を喫しました。
これでいったいどこが「前門の新自由主義、後門の極右」なのかと思います。
野党にかぎっていえば、新自由主義も極右傾向も
どちらも多少緩和したと見るのが妥当ではないかと思います。
>次世代の党
次世代の党に関しては、「kojitaken」氏は、
「得票率では極右票は大きく伸びている」こと、
たとえば田母神俊雄の得票率は2014年2月の都知事選では12.5%でしたが、
今回の衆院選は18.5%と6ポイント増えていることを例にあげて
「極右の台頭はそれ以上に危惧しなければならない」としています。
次世代の党は軒並み得票率は増えているようですし、
今後も増える可能性があって予断はならないと言えます。
それでも田母神俊雄の得票率は4候補者中最下位です。
右翼政党なんて、最近支持が増えていると言っても、
当選圏に入るほどの得票にはまだまだおよばないということでしょう。
だいたいが2議席しか取れなかったというのは、
問題なく泡沫勢力にとどまったことを意味するし、
国会に議席が持てないというのは、文句なしのダメージです。
すこしばかり得票率が上がったくらいでは、
とても「台頭」したと言えるしろものではないということです。
なぜこうなったのかは、小選挙区であることが大きいです。
それで6ポイント程度の得票率増加では、当選にかすりもしないわけです。
比例代表なら次世代の党はあとすこしで議席が取れるところでした。
そんなに「極右の台頭」が怖いのなら、これにかぎっては
比例代表は好ましくない、小選挙区でよかったと、
すこしは感謝すればいいのにと思います。
「kojitaken」氏は、つね日ごろから小選挙区悪玉論を展開しています。
この人にとって小選挙区は絶対悪でなくてはならないので、
ご利益があってもそれを認めるわけにいかないのでしょう。
それで得票率の増加を持ち出して「極右の台頭」を強調するという
論理展開に走ったのかもしれないです。
ところがそれだけではたりなかったようです。
「kojitaken」氏は、次世代の党の惨敗を取り上げた
朝日新聞の記事を書いた人が「右寄りの記者」であることを
あげつらうエントリを書いていたりします。
「朝日・秋山惣一郎のダメ記事「次世代の党惨敗、
ネット右派頼み限界 理念先行薄い政策」を批判する」
「こんな記事に拍手喝采している「リベラル」たちには、
往復ビンタを食らわせてやりたい」と最後に書くなどして、
次世代の党が惨敗したと考えることを
軽薄であるかのように印象操作をしています。
次世代の党の惨敗を、それだけ否定したいということかもしれないです。
>維新の党
維新の党については、「kojiteken」氏はこんなエントリを書いています。
やつ当たるような文章ですね。
大嫌いな維新の党が、事前の予想よりずっと多く議席を取ったことが、
気に食わないというのは、ひとつの原因でしょう。
「しぶとい維新、41議席を獲得orz」
それから「橋下の勝利」などと言っているのですが、
維新の党は議席が1減っているし、選挙後も今後の展望が開けたとは
あまり言えないのに、どこが「勝利」なのかと思います。
党勢が後退する中よく踏みとどまった、くらいではないかと思います。
「橋下徹の勝利と海江田万里の敗北と「保守二大政党制」と」
1月8日エントリでお話したように、維新の党はもともとの母体である
大阪維新の会からの候補者に落選が目立ち、
結いの党から来た候補者が多く残ったのでした。
大阪の影響力が低下したのであり、その意味では橋下の敗北と言えます。
国政の維新が江田系にほぼ乗っ取られてるような結果になったことはさくっと無視? / “橋下徹の勝利と海江田万里の敗北と「保守二大政党制」と - kojitakenの日記” http://t.co/CZUvCT0IMf
— おりた (@toronei) 2014, 12月 17
「kojitaken」氏は自分でも12月16日エントリで、
維新の党の当選者に「かつての小沢系の候補者」が多かったことを、
具体的な名前まで書いて列挙しているのですよね。
それにもかかわらず、「kojitaken」氏は結いの党からの議員に
「母屋を取られた」ことには触れないのでした。
当選して残った議員が、これまた「kojitaken」氏の
大嫌いな「かつての小沢系」なので、そんな人たちが増えても
「橋下の影響力の低下」として認めたくないのかもしれないです。
(名前の列挙もいまいましげに書いていますね。)
「kojitaken」氏は選挙前は、野党共闘のアホさ加減とか、
愚劣な野党共闘とか、野党共闘を応援した愚昧とか、
野党共闘という愚策とか、連日のように書いていて、
野党どうしで選挙区を棲み分けることをひたすら酷評してきたのでした。
ところが維新の党だけは、野党共闘の効果があったと言えるのであり、
自分がさんざん否定したことが、自分の嫌いな党にだけ
ご利益があったというので、それがこの上なくむかつくのでしょう。
(沖縄の4選挙区だけなら「例外」としてすませたかもしれないです。)
ようするに、維新の党に関することは、あっちもこっちも
気に入らないことだらけなのだと思います。
それで「橋下・維新は勝利した、極右と新自由主義の台頭だ」と
決めつけることでいっさいを否定したい、ということなのかもしれないです。