ワークライフバランスについての記事を紹介しました。
この記事の最後の節で、自民党はマニフェストから
配偶者控除の維持をなくしたことが指摘されています。
「「長時間労働をやめれば、日本は変わる」小室淑恵さんに聞く衆院選の争点
【少子化・ワークライフバランス】」
(はてなブックマーク)
今回の衆院選から自民党は「配偶者控除の維持」を公約から外しました。
今までは「維持します」とアピールしてきましたが、
「働きかたに中立な税制にします」と修正したんです。
これはかなり大きな変化で、「男性は仕事・女性は家庭」という
考えかたの議員が強い力を持ってきた党でも
今年はこうした変化が起きたんだな……というように、
長年ウォッチしているとわかることもあります。
ここに注目しているかたがいらっしゃると思いましたよ。
わたしも前に言及したことがあります。
あまり話題にならないようですが、
これは特筆することではないかと思います。
「各政党のジェンダー政策(2)」
自民党はかねがね「夫が外で働き妻は専業主婦」という
因習・反動的な家族観を標榜しています。
配偶者控除はこのような家族観を支えているひとつなので、
その維持をやめて「働きかたに中立な税制にします」とした
ということは、おおいなる変化ということになるでしょう。
これは安倍首相が配偶者控除の廃止を検討しているので、
その方針に沿うようにしたということですね。
来年度以降に先送りになったとはいえ、
いまのところ配偶者控除の廃止は前提としているので、
公約も変えないとおかしい、ということなのでしょう。
自民党では「「男性は仕事・女性は家庭」という考えかたの
議員が強い」のは、いまもとくに変わってはいないですね。
因習・反動的な家族観を守るために作られた、
「家族の絆を守る特命委員会」が中心になって
従来通りの配偶者控除の維持を主張しています。
「自民党は「家庭守る主婦」尊重のはず… 首相の“変心”、党内には不満」
こうした因習・反動的家族観の議員たちも
「家庭を守る主婦」を尊重する自民党の方向性とは相いれない。となっていて、だいぶとまどいをしめしているようです。
党内には首相の“変心”に首をかしげる向きもあり、
「家庭を守る女性を応援してきたのが自民党だ。
誰が首相にこんなことを言わせているのか」
安倍首相がなぜこのような「変心」をしたのか、
わたしの想像ですが、政権の長期化・安定化を図るために
どうしたらよいかと考えたことではないかと思います。
そのひとつが金融安定化政策であり、また政権を取ってからさかんに言っている
「女性活用」もそのまたひとつなのだろうと思います。
話題の集団的自衛権も、安倍首相はよく勉強しているようです。
2007年に衝撃的な退陣をしてから、福田政権、麻生政権、
民主党政権の約5年間、ふたたび首相になる日を夢見て、
つぎに政権を取るときは絶対に失敗しないようにと、
一生懸命研究してきたということだろうと、わたしは想像するのでした。
関連エントリ:
「女性管理職と長時間労働」
「人口ボーナス・オーナス」
「人口ボーナス・オーナス(2)」