2014年12月07日

なんのための解散総選挙か


すこし前ですが、11月20日の朝日新聞で「何のための選挙か」という、
1面全部を使った大きな記事がありました。
これをご紹介したいと思います。

「(2014衆院選)何のための選挙か 
荻上チキさん、ジェームス三木さん、五味太郎さん」

(はてなブックマーク)

ウェブ版は記事の最初しか読めないです。
以下に全文を掲載したものをアップロードしておきます。

「貧困のリアル考える問題」
「「生きる楽しみ」を想像して」
「「政治業界」に幸せ委ねるな」

>解散総選挙の大義

いちばん現状をよく分析していて納得できるのは、
最初の荻上チキ氏の文章(貧困のリアル考える問題)だと思います。
今回の解散総選挙はいったいなにがしたいというのか、
有権者視点でしっくりくる見かただろうと思います。

ようは勝てるうちに選挙をやって支持を更新しようということです。
(これをご覧のかたも、そう思っているのではないかと思います。)
安倍政権はゆるやかとはいえ、支持率は減少傾向にあります。
特定秘密保護法にせよ、集団的自衛権にせよ、
これまで実行してきた、もしくはこれから実行しようとする政策は、
有権者の反発を買いそうなものが多いです。

いまなら「アベノミクス」による景気回復が評価されていて、
支持率もそこそこの高さを保っています。
野党はどこも自民党に対抗できないです。
選挙に勝てるのは、いましかないと思ったかもしれないです。

実際、いま選挙するのが自民党にはベストなんでしょう。
アベノミクスで株価は上がり、円高も是正された。
自民党批判票の受け皿になる協力な野党も見当たらない。
争点のぼやけた選挙に有権者は無関心だろうし、
いまのうちに選挙をするのが得策だ、という計算です。


消費税の10%への増税を先送りにしたことで信を問う
というのは、有権者の立場からはわかりにくいです。
他党もどこも増税の先送りに賛成して、争点から消えているからです。
(他党すべてに増税先送りに賛成させただけでも、
解散の意義はあったとは言えるのだと思いますが。)

「11月21日・衆議院解散」

選挙の敵が財務省というのもわかりにくいことです。
選挙は他党との闘いであり、官僚機構との闘いではないからです。
財務省の代弁をする政治勢力があれば、
彼らを仮想敵にできるのでしょうけれど、
増税先送りに反対する政党はないので、それもできなくなります。



>アベノミクス批判

記事の最後の段はアベノミクス批判です。
安倍政権の経済政策の最大の問題は、
やはり再分配政策が決定的に欠けていたということです。
これは官邸の点検会合に参加した多くのかたが、そう考えているようです。
これをご覧のかたも、同様に思っているのではないかと思います。

消費税を8%に増税したことによって、
予想以上に景気が停滞したのは、このような再分配政策が
欠けているという弱点が現れたと、見ているのですね。
立場も意見も様々でしたが、アベノミクスには再分配政策が
決定的に欠けていた、という一点については、多くが一致していた。
その弱点が、8%への消費税増税によってあらわになったのです。

現状のままで消費税を10%に増税したら、
いよいよもって景気は落ち込むだろうと思われます。
貧困層や社会的弱者はますます大きな打撃を受け、
それこそ深刻なことになっただろうと思います。
10%への増税を延期したことは、妥当な判断だったと言えます。


これから必要なのはとうぜんながら貧困対策や女性支援、
社会的弱者への再分配ということになります。
増税による景気の停滞は、貧困層を直撃しています。
個人が努力すればなんとかなるという「努力原理主義」では、
もはやどうにもならない。手を打たないと、もたなくなっている。
安倍政権は地方創生や女性の活躍を重点目標に掲げていますが、
女性支援や弱者への再配分を強めなければ、貧困はさらに広がり、
少子化も進んで国力が低下するのは間違いありません。

安倍政権は今後、経済政策を成功させてしたたかに政権を
維持するために、社会的弱者への再分配に着手するでしょうか?
それとも旧来的な自民党の考えかたに捕われて、
再分配政策をなおざりにするでしょうか?

あるいは野党が弱者への再分配政策を掲げて、
「アベノミクス」の対案として、安倍政権の経済政策に
とって変わろうとするでしょうか?


posted by たんぽぽ at 22:31| Comment(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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