2014年11月07日

妻がネトウヨになりまして

ちょっとむかしの記事ですが、『週刊現代』の3月8日号に
右翼思想をはじめ政治思想となんら縁のなかった平凡な妻が、
いつのまにか「ネトウヨ」になっていた、
という記事があるのでご紹介したいと思います。

「増殖中! 妻が「ネトウヨ」になりまして」(1/4)
「増殖中! 妻が「ネトウヨ」になりまして」(2/4)
「増殖中! 妻が「ネトウヨ」になりまして」(3/4)
「増殖中! 妻が「ネトウヨ」になりまして」(4/4)

記事をご覧になれば、例として挙がっているのは、
「いかにも」で「さもありなん」なパターンだと思うと思います。
ふだんからネトウヨをよく知っているかたでしたら、
さほど真新しいお話でもないかもしれないです。

ここでは妻ですが、家族とか友人、知人とか、職場の同僚といった
身近な人が「ネトウヨ」となると、はなはだやりにくくなります。
にせ科学の信奉者とおなじで、効果的な対処方法はないし、
さりとて無視することもむずかしいからです。


なぜ「ネトウヨ」化する「ふつうの人」が増えるのかというと、
ネットでしょっちゅう排外・国粋主義の記事やら
掲示板やらをずっと見ているからでしょうね。
そういう情報に触れているうちに、感化されたということです。


だからわたしは、ひどく偏った情報を見たくないのですよね。
批判的にかまえていても、長く接しているとだんだんと感化されるからです。
ましてや記事に出てくる「ネトウヨ化する妻」のように
無防備にかまえていては、なおさら感化されるというものです。

「反対意見なんか聞きたくない」

低俗メディアに容易に感化されて、「ネトウヨ」化する人たちの
リテラシーの欠如は、とうぜん批判することだと思います。
それだけでなく、簡単に感化する人が出てくるくらい、
いまの日本社会には排外・国粋主義的情報があふれていることも
それ以上に問題にすることだと言えます。


>ヒトラーの反ユダヤ主義

アドルフ・ヒトラーがなぜ反ユダヤ主義者となったのか、
ウィーンで過ごした青年時代のことであるとは推定されています。
それ以外についてはいろいろと議論されているのですが、
はっきりとした答えは出ていないのですよね。

こちこちの民族主義者ゲオルク・リッター・フォン・シェーネラーや、
反ユダヤ主義でならした当時のウィーン市長
カール・ルエーガーの影響を指摘するかたもいます。
もちろん彼らふたりの影響はあったでしょう。
それでもヒトラーのウィーン時代の発言に関する記録が
ないこともあって、決め手とするには欠けるのですよね。

「シェーネラーとルエーガー〜ヒトラーが範とした二人の反ユダヤ主義者 」


わたしが想像するに、青年時代のヒトラーは、
ウィーンで大量の反ユダヤ主義情報に接しているうちに、
いつのまにか感化されたのではないかと思っています。
上述の「ネトウヨになった妻」と同様、
いまの日本で「ふつうの人」がいつのまにか「ネトウヨ」になるのと
おなじようだったのではないかということです。

当時のウィーンは反ユダヤ主義情報であふれていました。
上述のシェーネラー、ルエーガーといった、
強力なイデオローグもいましたし、ちまたには反ユダヤ主義の
低俗な雑誌やパンフレットも多数発行されていました。

いまの日本でも、石原慎太郎や田母神俊雄といった
右翼イデオローグがいて、本屋に行けば「日本はこんなすごい国」という
国粋主義の本が並び、ネットを開けば「保守速報」のような
低俗な排外主義サイトが散らばっています。
当時のウィーンもおなじような感じだったのでしょう。


ヒトラーは『わが闘争』で、自分はたくさんの本を読み、
勉強や議論を通してユダヤ人の危険性を確信した、
という主旨のことを書いています。

ところが多くの専門家が指摘するように、
『わが闘争』には誇張や脚色がたくさんあります。
またヒトラーは具体的に自分がどんな本を読んだのかは、
ほとんど触れていないです。

それでじつは当時のウィーンであふれていた、
低俗な反ユダヤ主義メディアに感化されたのではないかと、
わたしは想像するわけですよ。
いまの日本で、「ネットde真実」に目覚めて「ネトウヨ」化するのと
似たようなものだったのではないか、ということです。


>現在の日本ふたたび

良心的なかたたちは、戦前のファシズム時代になぞらえて、
現在の日本が危機的状況にあると、喚起することも多いです。
それはさすがに思い詰めすぎの感もなくもないですが、
ヒトラーを育んだ時代との類似性を鑑みるに、
いまの日本は「世紀末のウィーン」とおなじくらいの
危険水準にあるとは言えると思います。

もしかすると未来の日本のヒトラーとなる人物が、
現在の日本にはすでに現れているのかもしれないですよ。
それはあなたのすぐ近くにいるのかもしれないです。


付記:

青年時代のヒトラーについては、
『ヒトラーとユダヤ人』(大澤武男著、講談社現代新書)、
13-56ページにくわしいです。


posted by たんぽぽ at 21:04| Comment(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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