2014年10月11日

選択的夫婦別姓のまとめ(10)

10月5日エントリの続き。
選択的夫婦別姓のネイバーまとめです。

「「選択的夫婦別姓」反対派・賛成派がよく挙げる理屈の矛盾・問題点まとめ」

2ページ目にあるつぎの反対派の主張のふたつ目。
これもよくありがちですね。
「現行民法は女性差別だ」という反対派にとっていちばん悩ましい
批判を回避できるので、都合がいいこともあるのでしょう。

「男性が女性側の姓を名乗ることもできるんだから、不平等じゃないだろ!」
「自分の姓を変えるのが嫌な女性は男性に改姓してくれるよう頼みこめ!」


これについては、わたしもメインサイトのページに書いています。
こちらをご覧になるとよいでしょう。

「現行法は男女どちらの姓も選べるから平等?」

「夫婦どちらの苗字でも名乗れるから」の問題点のひとつは、
夫婦の双方が苗字を変えたくない場合、権利が守られないことです。
そうしたケースにおいても、平等を保障するためには、
おたがいが結婚改姓をしない選択肢も必要ということになります。


「「男性が女性側の姓を名乗ることもできるんだから」と
言われたところで、実際にはほとんど女性が結婚したら
改姓させられるという圧力がかかります。
それは97%ほどの法律婚夫婦において、女性が改姓しているという、
あからさまな事実に現れることになります。

女性というだけで結婚改姓を余儀なくされるという、
男女で非対称な社会構造があるのはあきらかです。
「夫婦どちらの苗字でも名乗れるから」と言っても、
女性が改姓しない選択はほぼないという社会構造があるのであり、
その社会構造が問題だということです。

「男性に改姓してくれるよう頼みこめ!」というのは、
社会構造上の問題を個人の責任に転嫁していることになります。
個人の努力で解決するなら問題にはならないのであり、
個人の努力で解決しない社会構造が存在するから、
問題にしているということです。


夫婦別姓に反対する男性の中には「僕は結婚したら
妻の苗字を名乗ってもいい」と言って、
結婚改姓に関して男女で非対称な社会構造があることを、
否認しようとするかたもいるかもしれないです。

そんな男性のかたでも、「貴男の親きょうだい親戚、
友人知人職場の同僚のだれひとりとして、貴男の改姓に反対しない
自信はあるか?」と訊かれたら、「だれも反対するわけないぜ」と
大見得を切れるかたは、いないのではないかと思います。


戦後、新しい民法を定めるにあたって、男女平等の見地から
夫婦別姓の導入が検討されたことも、じつはあったのでした。
ところが立法に関わった男性たちは、自分の妻が自分の苗字を
名乗らないことが、とても嫌だったのでした。

それで彼らが考えたのが、「男女どちらの苗字でも
選べるけれど夫婦同姓」という、現在の民法です。
こうすればGHQに対しては、「男女どちらの苗字でも選べるから
男女平等だ」と言うことができて、しかも当時の社会通念によって、
ほとんど確実に女性を男性の苗字に改姓させられると考えたのでした。

「男性が女性側の姓を名乗ることもできるんだから」というのは、
その成立した当初から、結婚改姓に関して男女で非対称な
社会構造があることを利用した、いわくつきのものだと言えます。


これまでのエントリ:

「選択的夫婦別姓のまとめ」
「選択的夫婦別姓のまとめ(2)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(3)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(4)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(5)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(6)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(7)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(8)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」


posted by たんぽぽ at 16:34| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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