家事や育児、介護のために外国人労働者を受け入れることを
検討している、というお話をしたのでした。
なんとこれを本当に実行に移すつもりでいるのですよ。
しかも早々と今年の秋にも「国家戦略特区」で試験導入ですよ。
どうせ構想の域を出ないだろうとわたしは思っていたので、
本気で実行することになりそうなのが、いささかびっくりです。
「家事サポート外国人で女性支援へ」
(はてなブックマーク)
「外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で」
「家事労働 外国人受け入れ 関西の特区 今秋にも」(全文)
(はてなブックマーク)
「新規の規制緩和案、特区から募集へ」
「新規規制緩和案 特区から募集へ」(全文)
関西圏の特区、大阪、京都、兵庫で試験導入の予定です。
「18歳以上、単身での入国」という条件を付けています。
成人なのは当然としても、結婚しているかどうかを採用条件とするのは、
差別的にはならないのかと気になるところです。
「受け入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアなど
東南アジアが中心になる見通し」とあります。
やはり多くの日本人が、自分たちから見て開発途上国で
貧しいだろうと思っている国から、受け入れるようです。

NHKの報道には
一方、外国人労働者を家庭に受け入れることには、ことばや習慣の違いによるとあります。
トラブルを懸念する声もあり、今後議論を呼びそうです
それはそれでたしかに懸念されることですが、もっと深刻な事態が
起きることが懸念されるのではないかと思いますよ。
外国人労働者の権利が、そもそもちゃんと保障されるかどうかです。
リーマンショックのとき、日本で暮らしていたブラジル人が
大量に失職して、ブラジルへ帰るのを余儀なくされたことがあります。
外国人をていよく利用するだけの制度となっている、
「外国人技能実習制度」も深刻な状況となっています。
今回検討している家事労働のための外国人受け入れに対しても、
労働者保護の相談窓口を設けるとはしています。
ところがこれまでの日本社会の外国人労働者に対する扱いを見ていると、
家事労働で来た外国人の権利も、保障されるのかが不安です。
朝日の記事では
海外では外国から受け入れた家事労働者をめぐり、と書いてあって、外国人労働者の人権侵害を問題にはしています。
性的被害や人身売買が国際問題になっている。
ところが「海外では」と「他人ごと」の扱いなのですよね。
外国人労働者にとって危険なのは海外であり、日本人はとくに問題を
起こさないとでも、思っているのかと思います。
そしてなにより、家事労働のための外国人受け入れという発想は、
基本コンセプトがいちばんの問題ですよ。
家事労働を「女の仕事」と考えて、男性や社会が負担することは考えず、
女性と外国人をアウトサイダーとして扱っている、
「日本人男性」中心の発想ということだからです。
いまのところ、政府もマスコミもこうした基本コンセプトが
そもそも問題だということは、ぜんぜん批判がないようです。
関連エントリ:
「家事支援に外国人労働者?」