2014年06月18日

性感染症と同性愛差別

すこし前のニュースですが、5月16日に兵庫県議会の委員会で
自民党県議が同性愛差別発言をしたので、ちょっとだけ話題になりました。
問題の県議は井上英之です。

「「同性愛者へのHIV啓発、必要か」兵庫県議が発言」
(はてなブックマーク)
「「同性愛者のHIV指導必要ない」委員会で井上県議」
(はてなブックマーク)

こんなことを言ったのですよ。
「社会的に認めるべきじゃないといいますか、
行政がホモの指導をする必要があるのか」

「偏った性嗜好(しこう)で本来ハイリスクは承知でやっている人たちのこと。
他にも重要課題がある中、行政が率先して対応する必要はない」

「この人たちは、啓発しても、好きでやっている話だから
放っておいてくれ、という世界だ」

「がん検診の受診率向上といった重要課題がある中、
ハイリスクを認識した上で (性行為を)している少人数の啓発に
税金を使うのはおかしい」
「同性愛者は性感染症になっても自己責任だから死なせておけ」
とでも言いたいのかと思います。
同性愛差別に加えて性感染症に対する無理解も見られます。


性的指向は生まれつきのもので、後天的に変えられるものではないです。
生得的なものを「社会的に認めるべきじゃない」という考えが、
そもそも間違っていることになります。
そしてそれゆえ性的指向に関係なく、すべての市民が公平に
福祉やサービスを受けられるようにするのが、行政の役割のはずです。

井上英之県議は、性的指向の「指向」を「嗜好」だと思っていたり、
「隙でやっている話」などと言ったりして、同性愛を「趣味」で選んで
やっていることだと思っているのでしょう。
「偏った」とも言っていて、ここに異性愛が「正常」であり、
同性愛を異常とする考えが現れていると言えます。


性感染症はご存知のように、すべての人がかかる可能性のあることであり、
よって「少人数」ではなくすべての人に関係があることです。
つぎのツイートで指摘されていますが、自分は異性愛者だから、
同性愛者のことなど関係ない、ということはないわけです。


その中で同性愛者の性行為といった、感染の可能性が高いケースを
異性愛者をふくめたすべての人に対して啓発するのは、
公衆衛生の観点からすれば合理的なことです。

「STD(性病・性感染症) - STD研究所TOP」
「性感染症(STD)について - 新宿クリニック」
「性感染症とは?」


同性愛や性感染症に対する理解が、いまだにこの程度の人もいるようですね。
井上英之氏レベルの理解の人が、一般のあいだでも多いのだとしたら、
なおさら行政が率先して啓発する必要があると思いますよ。

同性愛や性感染症に対するこのような「他人ごと」感も、
「家族のカチ」や「純潔思想」が関係しているのかもとも思います。
「正しい家族」を営んでいれば性感染症は適切に予防できる、
「正しくない家族」だから性感染症にかかるのだ、
という発想でもあるのではないかと思った、ということです。

同性愛を「少人数」「偏った嗜好」として排除するのは、
「家族のカチ」に合致しないからであることは、もちろんでしょう。
「正しい家族」だけが行政によって権利保障されるべきとか、
行政は「正しい家族」だけ推奨すればよいとでも、思っているのでしょう。


posted by たんぽぽ at 22:40| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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