自民党県議が同性愛差別発言をしたので、ちょっとだけ話題になりました。
問題の県議は井上英之です。
「「同性愛者へのHIV啓発、必要か」兵庫県議が発言」
(はてなブックマーク)
「「同性愛者のHIV指導必要ない」委員会で井上県議」
(はてなブックマーク)
こんなことを言ったのですよ。
「社会的に認めるべきじゃないといいますか、「同性愛者は性感染症になっても自己責任だから死なせておけ」
行政がホモの指導をする必要があるのか」
「偏った性嗜好(しこう)で本来ハイリスクは承知でやっている人たちのこと。
他にも重要課題がある中、行政が率先して対応する必要はない」
「この人たちは、啓発しても、好きでやっている話だから
放っておいてくれ、という世界だ」
「がん検診の受診率向上といった重要課題がある中、
ハイリスクを認識した上で (性行為を)している少人数の啓発に
税金を使うのはおかしい」
とでも言いたいのかと思います。
同性愛差別に加えて性感染症に対する無理解も見られます。
性的指向は生まれつきのもので、後天的に変えられるものではないです。
生得的なものを「社会的に認めるべきじゃない」という考えが、
そもそも間違っていることになります。
そしてそれゆえ性的指向に関係なく、すべての市民が公平に
福祉やサービスを受けられるようにするのが、行政の役割のはずです。
井上英之県議は、性的指向の「指向」を「嗜好」だと思っていたり、
「隙でやっている話」などと言ったりして、同性愛を「趣味」で選んで
やっていることだと思っているのでしょう。
「偏った」とも言っていて、ここに異性愛が「正常」であり、
同性愛を異常とする考えが現れていると言えます。
性感染症はご存知のように、すべての人がかかる可能性のあることであり、
よって「少人数」ではなくすべての人に関係があることです。
つぎのツイートで指摘されていますが、自分は異性愛者だから、
同性愛者のことなど関係ない、ということはないわけです。
東京都保健福祉局が作ったHIV啓発ポスターが「彼氏の元カノの元カレの元カレ・・・・・・」を相関図にしてて,一部男=男関係になってるのが「ミスか?」と2chでネタ扱いされてたが東京都はマジだったと思う / “「同性愛者へのH…” http://t.co/9uOIdWCNop #医療
— ネオ筑摩屋松坊堂 (@chikumaya) 2014, 5月 17
その中で同性愛者の性行為といった、感染の可能性が高いケースを
異性愛者をふくめたすべての人に対して啓発するのは、
公衆衛生の観点からすれば合理的なことです。
「STD(性病・性感染症) - STD研究所TOP」
「性感染症(STD)について - 新宿クリニック」
「性感染症とは?」
同性愛や性感染症に対する理解が、いまだにこの程度の人もいるようですね。
井上英之氏レベルの理解の人が、一般のあいだでも多いのだとしたら、
なおさら行政が率先して啓発する必要があると思いますよ。
同性愛や性感染症に対するこのような「他人ごと」感も、
「家族のカチ」や「純潔思想」が関係しているのかもとも思います。
「正しい家族」を営んでいれば性感染症は適切に予防できる、
「正しくない家族」だから性感染症にかかるのだ、
という発想でもあるのではないかと思った、ということです。
同性愛を「少人数」「偏った嗜好」として排除するのは、
「家族のカチ」に合致しないからであることは、もちろんでしょう。
「正しい家族」だけが行政によって権利保障されるべきとか、
行政は「正しい家族」だけ推奨すればよいとでも、思っているのでしょう。