2014年06月07日

選択的夫婦別姓のまとめ(5)

ひさしぶりになりましたが、選択的夫婦別姓についてのNAVERまとめの続き。

「「選択的夫婦別姓」反対派・賛成派がよく挙げる理屈の矛盾・問題点まとめ」

「選択的夫婦別姓のまとめ」
「選択的夫婦別姓のまとめ(2)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(3)」
「選択的夫婦別姓のまとめ(4)」


今回はこれです。
反対派(非共存派)の主張の中では定番中の定番ですね。
「夫婦別姓だと家族の絆が崩壊する!」
はじめになにをもって「崩壊」とするのか、という問題がありますね。
DVやモラハラのことでしょうか、それとも児童虐待でしょうか。
これらの家庭内暴力を扱っているサイトを調べても、
夫婦別姓でこれらが増えるという調査結果はないのですよね。

「夫婦別姓によって離婚しやすくなる!離婚が増える!」
多くの反対派は、「崩壊」として具体的には「離婚」を挙げるようです。
夫婦別姓でなぜに離婚しやすくなるのかという疑問があります。
おそらく「苗字が異なると他人と区別がつかないので離婚しやすい」とか
「苗字が変わることで結婚や離婚したことがわかる」という連想なのでしょう。

男性は結婚しても改姓しないことがほとんどですから、
夫婦同姓であっても「離婚しやすい」ということになります。
「夫婦別姓で離婚しやすい」というのは、女性だけみずからの意志で
離婚させないようにしたい、という発想があるのでしょうか、
そうだとしたら女性差別的であると言えます。


「夫婦別姓で離婚が増える」と主張するなら、データをしめされたいものです。
諸外国で夫婦別姓が選択できる国や、日本国内の事実婚夫婦、
国際結婚の夫婦を見て、離婚が有為に多いことをしめす必要があるでしょう。
ところがそうしたデータはどこにもなく、しめされることがないのですよね。

現在の日本で起きている法律婚夫婦の離婚は、すべて夫婦同姓なのですよね。
「別姓で離婚が増える」と言っている人たちは、
同姓の夫婦がかくも離婚しやすいことを、どう考えてるのかと思います。

「選択的同姓制度」
「選択的夫婦別姓制度について」


反対論者たちがなんとか出してくる、
「夫婦別姓で離婚が増えた」ことをしめすデータは、つぎのふたつがあります。

「反対派が読む統計データ 選択別姓のせいで離婚が増えた?」
「スウェーデンたたき」
「スウェーデン・バッシング 哀しき他虐史観の産物」

ひとつはドイツの離婚率の年次推移です。
ドイツで選択的夫婦別姓が認められた1993年から離婚が増えるというのです。
ところが法案可決は1993年ですが、法案の施行は1994年からです。
よって法案の施行の前年から離婚が増えるというのは、
選択的夫婦別姓が原因でないことをしめしています。

ドイツで1993年から離婚が増えたのは、旧東ドイツで冷戦崩壊の混乱で
いったん減った離婚が、ふたたび増え始めたことによります。
旧西ドイツは冷戦崩壊の前後も、選択別姓法案の施行前後も
離婚率に目立った変化は見られないです。

粗離婚率の推移 1960年-2002年


もうひとつは「スウェーデンの離婚率が50%」というものです。
これは結婚数と離婚数の比を取っただけで、定義に即した正しい計算ではないです。
日本では現在出生数より死亡数のほうが多くなっていますが、
これを「死亡率が100%を超えた」と言うようなものです。

離婚率の正確な定義は人口1000人あたりの件数です。
OECD加盟国の離婚率の年次推移を見ると、
スウェーデンの離婚率は日本とさほど変わらないし、
それ以外の国とくらべても取り立てて多くないことがわかります。

主要国の離婚率推移(1947〜)


「離婚=好ましくない」という考えかたがそもそも疑問ですね。
じつは男性は離婚が増えると自殺率が高くなり、
女性は離婚が増えると自殺率が低くなるという調査があります。

「性別にみた離婚と自殺の関連」

これは男性は離婚によって失うものが多く、
女性は離婚で得られるものがあるということだと思います。
結婚生活というのは多かれすくなかれ男性中心的で、
女性の犠牲の上に成り立っている、ということなのでしょう。

「世界的に離婚が増えている」
「女性に不利な結婚生活」

それゆえ女性が経済力を持ったり、離婚した女性に対する
社会通念が変化することで、離婚が増えてくるのだと思います。
「離婚が増えるから反対」という発想は、表面的な家庭の平穏のために
女性に犠牲になれと言っているようなものなのかもしれないです。


posted by たんぽぽ at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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