2014年05月19日

選択的夫婦別姓のまとめ

選択的夫婦別姓について、つぎのまとめがあるのでご紹介します。
昨年の2月からあったのですが、わたしが見つけたのはわりと最近だったりします。

「「選択的夫婦別姓」反対派・賛成派がよく挙げる理屈の矛盾・問題点まとめ」

タイトルにあるように、反対派(非共存派)と賛成派(共存派)が
よく挙げる理由のうち、矛盾のあるものを検討しているというものです。
「反対派・賛成派が」となっていますが、並んでいるのはほとんどが反対派です。



はじめに両者の主張について検討する前に
基礎知識的なことが書いてあるので、これを見ていきたいと思います。

>各派の主張まとめの前に:結婚と姓について知っておきたいこと

もっとも基本である現行の民法750条です。
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現在の日本の婚姻制度では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、
夫又は妻の氏を称する(民法750条)。」とあります。
つまり、「夫か妻かどちらかの姓を選んで、二人とも同じ姓を名乗る」ということ。
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「夫婦どちらの苗字でも選ぶことができる」けれど、
「かならずどちらかを選ばなければならない」となっているのですね。
それゆえ夫婦の双方が結婚改姓したくないとき、
同時に非改姓権が満たされない事態が起きることになります。
これが選択的夫婦別姓の導入のそもそもの動機ということです。

外国人と結婚するときはこのかぎりではないですね。
原則が夫婦別姓であり、そのままにしておくと別姓になります。
夫婦同姓にすることもできますが、手続きが必要となってきます。
外国人配偶者の国籍が日本でないので、戸籍がないためこのようになるのでした。

「国際結婚と苗字」


日本以外では、夫婦同姓が強制される国はほとんどないです。
夫婦別姓が認められていたり、結合姓が認められていたり、
これらの中からどれかを選べて、苗字の選択がある程度あるのがほとんどです。

「世界の夫婦別姓」

欧米の民主主義国は婚氏の問題は20世紀中にほとんど終わっています。
21世紀になるとアジアの国でも結婚後の苗字に選択の幅が出て来ています。
婚氏に関しては、日本はまさに「世界の非常識」を地で行くと言えます。


そもそも苗字を名乗るのは世界共通の習慣ではないですね。
インドネシアの人には苗字がなく、名前がいくつかならんでいても、
全部日本流に言う「下の名前」で、どれかひとつが苗字ということではないです。

「東南アジアの苗字と名前」

また苗字の概念もまた世界共通ではないのですよね。
アジア世界の苗字は、どの父親の子かを表わしていたものが
派生したもので、ロシア人の父称のようなものと言えます。
西欧的な家族の名前としての苗字とは違うのですね。
それでアジア世界では西欧の影響を受ける近代までは、
結婚改姓という概念がなかったのだろうと思います。

日本でも明治のはじめに、近代的な戸籍を導入したことは、
結婚改姓という概念が理解されなかったのでした。
苗字は出自を表わすと考えて、夫婦別姓が原則としていました。
そののち欧米の家族法の影響を受けて、苗字を家族の名前として
結婚したら妻が夫に改姓するように定めたのでした。

「夫婦同姓は日本の伝統?」


現在の日本では約96%のケースに置いて、夫の苗字が選ばれ、
妻が改姓しているという、いちじるしい不均衡があるのですね。
「男女のどちらの苗字でも選べるから男女平等だ」というのは、
まさに「口さきだけ」ということです。

「現行法は男女どちらの姓も選べるから平等?」

結婚改姓の不利益も、ほとんどの場合女性が被ることになります。
具体的に多いのが、アイデンティティの維持、職業上の不利益ですね。
名義変更の手間もばかにならないものがあります。

「アイデンティティ」
「職業上の不利益」
「各種名義変更の手間」


>現在議論されている「選択的夫婦別姓」は、全ての夫婦に夫婦別姓を強要するものではない

最重要ポイントは「選択的夫婦別姓」ということです。
つまり「夫婦同性も夫婦別姓も選択できるようにしよう」であって、
「民法改正したら全員夫婦別姓」というわけではないのですね。

いまだに「全員別姓になる」と誤解している人もいるのでしょうか?
反対派の中には、あえて選択制だとわかろうとしない人もいるようです。
かかる誤解を防ぐために、「賛成派」「反対派」ではなく、
「共存派」「非共存派」と言ったほうがいいだろうと、わたしは思いますよ。
論点は「同性か別姓か」ではなく
「同姓強制か、別姓と同性の共存を認めるか」なのですから。

「問題は共存か非共存か」



posted by たんぽぽ at 23:18| Comment(2) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
みればみるほど、非共存派(反対派)の意味不明さがにじみ出てきますね。
家父長主義カビを脳みそから駆除できなくて脳の回線がおかしくなってしまっていて、まともな議論もできないのでしょうけど、困ったものです。
Posted by 魚 at 2014年05月20日 15:39
このエントリにコメントありがとうございます。

非共存派はしょせん「あっち」の住人ですからね。
リンクしたまとめのように並べてみると、その「いきっぷり」が
ひときわ際立ってきますね。

民主党が政権を取る前くらいから、嫌韓国、嫌中国のネトウヨが入って来て、
いよいよカオスの度合いを増したと思います。
Posted by たんぽぽ at 2014年05月20日 20:17
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