アメリカン・グリーティングというポストカード会社が、
あるキャンペーン用に作った企画です。
「世界で一番厳しい仕事は何か知ってる?」
とある企業が架空の仕事を作り、希望者と面接をするというストーリーです。
その仕事が「世界でいちばん厳しい」ものなのですが、
なんのことなのか、わたしはこのタイトルだけで予想がつきましたよ。
「週135時間以上の勤務で、常に立ちっぱなし。という労働条件が最初に出てきて、わたしは最初の予想は
あらゆる分野での知識と経験が求められ、特に医学・ファイナンス・調理の
学位を持っていることが望ましい」
早くも確信にいたりましたよ。
そして以下のように続きます。
「休暇は無し、クリスマスや年末年始には普段にも増して労働時間が増えます」
「それって違法じゃないんですか?」「全く違法じゃありません」
「休憩はあるんですよね?」「ありません」
「この役職には一切給料が払われません」
「そんなことないです。世界中にこの仕事を毎日こなしている人が、
何千万人、何億人もいますよ」
もうなんなのかわかったかたも多いと思います。
そこで面接官がこの職業を明かします。じつはこの動画、母の日のキャンペーンとして作られたものだったのでした。
「お母さんです」
それを聞いた応募者たちの顔には、ショック、納得、そして笑顔と涙が浮かびます
家事労働は負担がかかることは、ときどき指摘されることだと思います。
(それを常識的に知っているかたは、「世界でいちばん厳しい仕事」が
なんなのか、すぐに察しがつくのではないかと思います。)
それでいて家事労働は「空気のようにあたりまえ」のように思われて、
負担が問題にされないというか、存在そのものが意識されないことが、
とくに日本にはあるように思います。
賃金がないので、そこに時間と労力が費やされることが
認識されにくいのもあるでしょう。
また長いあいだ家事を「女のやること」と考えてきたので、
「男社会」が家事労働の負担を顧慮しないでいられた、ということもありそうです。
こうした認識が、家事や育児に費やす時間が日本の男性はもっとも短い
といったことに現れているのだと思います。
かくして負担が大きい家事労働の多くを女性が担うことになるので、
日本の女性にとって、家事と仕事の両立の負担が
きわめて大きいものとなる、ということです。
それが若い女性の専業主婦願望のように、家事に非協力的な
男性に対する「あきらめ」につながったり、睡眠時間が世界でもっとも短い
というかたちでしわ寄せが来ることなるのですね。