配偶者控除の廃止について書いている記事があるので、ご紹介します。
「安倍政権が女性の社会進出を支援するなら配偶者控除を廃止すべきではないか」
配偶者控除はかねてから廃止や見直しが主張されてきたものです。
こうやってときどき話題にしておくのがいいでしょう。
「配偶者控除」とは配偶者の年収が103万円以下のときに、
所得税と住民税が控除されて、税金が安くなるというものです。
夫が配偶者控除を受けるために、妻が年収103万円以下になるよう、
就業の内容や時間を自主的に制限することが多々あり、
「専業主婦への囲い込み」になるという問題があります。
「夫が働き妻が専業主婦」という世帯を維持するには都合がいいですが、
女性の労働力率を高めるという観点からは、はなはだ困ったことになります。
また妻が専業主婦という世帯の夫が税制上有利ですから、
ライフスタイルの公平性という観点からも好ましくないことになります。
「配偶者控除」
「配偶者控除(2)」
「基礎控除への一本化案」
民主党は配偶者控除の廃止を公約としてきたのですが、
政権を取ってからは毎年見送りして、結局実現せずじまいなのでした。
もともと求心力が下がったところへ、世論の反発を勝って
選挙で大敗するのが怖くなった、というのがおもな理由です。
「配偶者控除廃止が見送り」
「配偶者控除廃止が見送り」
「配偶者控除廃止が見送り」
最初の記事を見てわたしが注目したのは、妻が専業主婦のほうが
少子化対策になると考えている人が、結構いるらしいということです。
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加えて最近では、家庭で一生懸命子育てすることには大きな社会的な意義がある、
専業主婦の優遇は少子化対策につながる、という論点も加わり、存続論を補強してきた。
このような先進諸国の事実を見る限り、「専業主婦を優遇する
配偶者控除という制度が少子化対策にも役に立っている」
というわが国の議論は、今後のわが国の目指すべき方向として、
いびつなものであるといえよう
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つい先日も「男が外で働いて女が家庭で育児という性別による
固定的な役割分担が合理的であり、少子化の解消にもなる」という
主旨のこと言って物議をかもした、NHKの経営委員もいたのでした。
「性別役割分担は合理的?」
OECD加盟国のあいだでは、妊娠や出産をしても働き続けやすいよう、
女性の労働力率を向上させた国のほうが、出生率が回復しています。
それはさまざまなデータで裏付けられ、繰り返し議論されていることです。
最初の記事でも1980年と2000年の、出生率と女性の労働力率の
相関をしめすグラフを使って、これをしめしています。
「出生率と女性の労働力率」
それにもかかわらず「女が家庭に戻れば出生率が回復する」なんて
信じている人たちは、結構根強くいるということなのでしょう。
さきのNHKの経営委員の発言も、支持する人が結構いたと言います。
こういう見当違いの主張をする人がまだまだいるのを見ると、
「少子化は大問題」と言いながら、じつはさほど本気ではないのではないかと、
わたしはあらためて思うところです。
最初の記事の最後につぎのことが書いてあるのですよ。
これはまさに民主党政権がやろうとして頓挫したことですよ。
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配偶者控除を廃止すると、6000億円程度の財源が得られる。
これを、子育て家庭への現金給付や保育園の整備などの
現物給付の充実に向けるのである。そのような政策パッケージなら、
専業主婦層の反発も軽減され、政治も乗りやすいだろう
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民主党政権は配偶者控除廃止で得られる財源を
子ども手当てに当てることを考えていたのでした。
ところが子ども手当ては世論を含めて猛烈な反発を受けてたのであり、
結局子ども手当ては縮小し、配偶者控除の廃止も見送ったのでした。
このやりかたはきっとうまくいかないと思います。
そして子ども手当てたたきの中心的役割を果たしたのが、
ほかならぬ自民党だったのですよね。
かつて率先してつぶしてきた施策を、みずから実行しようとするなんて、
とても考えられないことですね。
(いまの自民党なら、かつて自分たちが反対したことを
平然とみずから実行するような面の皮の厚さはありそうだし、
国民一般も「自民党様のやることなら」と、なにをやっても
不満を言わないこともありそうではあるかも。)