2014年01月04日

非もての精神・思考構造

よく話題になる「非もて」について書いておくことにします。

「非もて」とは簡単に言えば、自分がもてないことを
他人や社会のせいにしている人(通常男性)のことです。
単に恋愛対象が見つからないだけというのは、非もてとは言わないと思います。



「非もて」には以下のふたつの大きな特徴があると思います。

1. 女性の気持ちが自分の思い通りになると思っていて、
 それが思い通りにならないので、他人や社会のせいにする。
2. 女性を男性どうしで配分する「資源」と考えていて、
 その「資源」が自分に回ってこないので、被害者意識を持つ。

1.と2.はどちらも男女非対称であり、男女を入れ替えると
ほとんど成り立たないので、非もての多くが男性であるゆえんとなっています。
女性の非もても探せばどこかにいるのかもしれないですが、
すくなくともわたしは見たことがないです。


>1.について

女の子は子どものときから、他人の気持ちや考えを理解し、
他人に気を配るよう育てられる傾向があると思います。
これに対して、男の子は他人の気持ちや考えに頓着するよりも、
自分のことを中心に考え、自分が将来社会で成功することを
考えるよう、育てられる傾向があると思います。

つまり男の子の世界は「なせばなる」なのですよね。
他人に尽くす必要はなく、自分のために努力することが認められ、
また努力をすれば欲しいものはなんとか手に入るわけです。

それで女性(他人)の気持ちという、自分の努力だけでは
どうにもならないものに直面したとき、対処がうまくできないことがあるわけです。
自分の思い通りにならないのがあたりまえと思えず、
「自分は努力したのだから、手に入ってとうぜんなのに」と思って、
他人や社会のせいに違いないと考えるようになるわけです。


むかしの男性はこれでもやっていけたのでしょう。
女性が経済的に自立して、独りで生きて行くのは困難でしたから、
おのずと男性と結婚して、男性に依存せざるをえなかったのでした。
それで男性は女性の気持ちや考えをあまり配慮しなくても、
女性から男性に気を遣ってくれて、男性を選んでくれることになります。

とくに経済力があって生活の安定した男性ほど選ばれやすいですから、
なおさら男性は自分が社会で成功することだけを考えて、
それを実現させれば、恋愛相手や結婚相手が得られたわけです。

経済格差は顕著ですが、ほかにも女性の性の自己決定権を制限するなど、
多かれすくなかれどの社会も、恋愛の負担を女性に負わせて、
男性はあまり恋愛の負担がかからないようにしてきたと言えます。
女性がまがりなりにも恋愛において主体性を発揮するようになり、
それによって男性中心社会における「既得権」が
得られなくなったのが、「非もて」だと言えるでしょう。


>2.について

非もてをみずからを「社会的弱者」と規定しています。
しからば「強者」はだれなのかというと、恋愛対象を不自由しない程度に
確保できる男性ということになります。
つまり男性どうしでの女性獲得競争の優劣を、彼らは想定しているわけです。
ここで女性は男性間で配分される「資源」の扱いで、
女性の意志や立場はまったく顧みられないことになります。

非もては本来の意味での「社会的弱者」ではなく、
男社会において、男性としての「既得権」が得られなくなった人たちです。
そして自分がかかる「既得権」を得られないことに対して、
あたかも「社会的弱者」のように考え、被害者意識を持つということです。


>非もてとミソジニー

1.も2.も男性中心の考えであり、女性差別的な要素が含まれます。
したがって「非もて」はミソジニーを併発する可能性が高いことになります。
実際、非もては自分がもてないことへの恨みを女性に向けて、
女性を「仮想加害者」に見立てて攻撃することがあります。

もてない恨みで女性を攻撃するということは、
「女は男の思い通りになってしかるべきなのだから、
思い通りにならない女は悪い」「女は資源なのだから意志を持たずに
自分にも配分されるのが公平だ」と主張することを意味します。
かくして非もてはさらに女性差別的になっていくわけです。

非もてが本来批判する相手は、恋愛対象の確保に苦労しない
「強者男性」であり、かかる男性中心の恋愛観を作った「男社会」のはずです。
それらを攻撃するのではなく、本来なんら責任のない女性に
矛先を向けるのですから、その意味でも「非もて」は
お門違いのことをしていると言えます。



posted by たんぽぽ at 19:25| Comment(11) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>「『非もて』とは簡単に言えば、自分がもてないことを他人や社会のせいにしている人(通常男性)のことです。」

違います。「非モテ」とは、モテない自分を自虐的に表した言葉で、男女は関係ありません。モテない理由は自分に(恋愛対象としての)魅力がないから、又は内向的な性格で傷つくことを恐れて異性にアプローチする勇気がないから、等と考えています。
「自分がもてないことを他人や社会のせいにしている人」というのは一部にいるかのもしれませんが、一部の特徴から全体にレッテルを貼るのは「○○人は○○だ」と同様の偏見でしかありません。

>1.と2.はどちらも男女非対称であり、男女を入れ替えると
ほとんど成り立たないので、

これも違うと思いますね。男女を入れ替えても十分成立します。

>「女の子は子どものときから、他人の気持ちや考えを理解し、
他人に気を配るよう育てられる傾向があると思います。
これに対して、男の子は他人の気持ちや考えに頓着するよりも、
自分のことを中心に考え、自分が将来社会で成功することを
考えるよう、育てられる傾向があると思います。」

これは偏見そのものですね。女性であれ男性であれ、「他人の気持ちを考えなさい」「他人を思いやりなさい」とは親や教師から繰り返し言われることです。家庭内で自己中心的に育てられるかどうかは男女関係なく各家庭の状況によります。

このように話の前提が偏見なので、結論も偏見にしかなりません。
Posted by NONAME at 2014年01月04日 22:29
ハンドルは「NONAME」ではなく、ユニークで個性の感じられるものを
お使いいただきたいです。

それから、はじめてコメントをなさるのでしたら、
ご挨拶と簡単な自己紹介をいただきたいですね。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月04日 22:47
ユニークで個性の感じられるハンドルネームを用いるか、NONAMEにするかは
あなたが公開した文章を閲覧した個々人の自由です。
NONAMEでコメントを書かれるのが嫌でしたら、NONAMEでは投稿できないように設定しては如何でしょうか?
Posted by NONAME at 2014年01月04日 23:23
ユニークで個性を感じられるハンドルをお使いいただくよう
お願いするのは、発言に責任を持ってもらうためです。
不特定多数を連想させるハンドルや、使い捨てのハンドルを使う人は、
たいてい発言が無責任になるのですよね。
無責任な発言をなさる人とは討論は遠慮したいですね。

わたしのブログの運営方針です。
「1. あなたは、だれ...?」とご覧ください。
http://taraxacum.seesaa.net/article/29192373.html
Posted by たんぽぽ at 2014年01月05日 14:35
はじめまして。
「弱者男性」なる珍妙なタームを最近知り、それをネット上で検索していてこちらにたどり着きました。
弱者男性についての解説ページ以外のブログも、興味深く拝見している最中です。

こちらの記事のおかげで、「非もて」という人たちの精神構造が理解できました。
女性にもてないからといって女性を無差別に攻撃しても更にもてなくなるだけで
なんら解決にならないどころか悪化させるだけなのになぜだろうと
彼ら非もての言動を不思議に思っておりました。

そもそも非もては、異性である女性を自分たちと同じ人とみなさず、単なる性的資源としてのみとらえているからなのですね。
非もての周囲にも母親や姉妹、祖母や伯母伯母従姉妹や女性の同級生、女性の同僚など
数多くの女性がいるはずですが、非もての中ではそれらの女性はどういう扱いなのかとふと気になりました。
Posted by 烏龍茶 at 2014年01月14日 19:52
烏龍茶さま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにようこそお越し下さりました。
ほかのエントリもご覧になってくださり、ありがとうございます。

>「弱者男性」なる珍妙なタームを最近知り、

ようは男性としての既得権を得られなくなった、ということなのですよね。
それを自身が被害者であるかのように仕立てるために、
「弱者男性」などということばを使ったのだと思います。

>女性にもてないからといって女性を無差別に攻撃しても

「非もて」の失笑するところのひとつは、自分に好意を持ってもらいたい
対象に対して攻撃的になる、ということなのですよね。
それでは逆効果ということに、まったく気がついていないみたいです。


>非もての中ではそれらの女性はどういう扱いなのかとふと気になりました。

わたしもよくわからないけれど、自分やまわりの男性たちの
恋愛対象になりうる女性に対してだけ、「資源意識」が働くのではないかと思います。
なので、女性の同級生や同僚に対してはありえるでしょう。

母親や姉妹といった身内に対しては、「資源意識」は持たないと思います。
それでも「非もて」はもともとミソジニー的感覚があるでしょうから、
これらの身内の女性に対しても、なんらかの差別的感覚は
あるのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月14日 23:36
ツイッターから飛んで来ました。
(「女が選べるのが悪い」という発言にこの記事へのリンクが貼られていました^^;)

最近の女性叩きには本当にウンザリしているものです。

結婚もしていますし、男性の友人のほうが多いタイプだったため、
男の人のほうが優しい人間が多いとずっと勘違いしていました。

…が、最近のネット上を見ると考えを改めざるを得ません。
たまたま周囲の男性に恵まれていたのか、私の前では猫かぶっている男が多かったか、どちらかなのでしょうね。

男全てを一まとめにする気はありませんが、
「こんなに醜い思考をする人間が増えてきているんだ」
と警戒心が強くなりました。

最近はまとめサイトが増えていますし、無料動画サイトやニュースのコメント欄でも女性叩きが行われていますからね。
2chをやっていない人でも、女叩きを知る機会は増えています。

しかもその内容は、
「男は理論的で素晴らしい!女は感情的で劣等!子どもを産まない女は価値がない!」
みたいな馬鹿馬鹿しいものばかりです。

彼らは自分たちの立場を悪くしていることに気付いているのでしょうか。
Posted by ルル at 2014年11月02日 02:34
結局、自分がモテるようなことしないからモテないだけじゃないですか。
Posted by あいうえお at 2023年04月12日 17:43
ルルさま、
わたしのブログにお越しくださり、
まことにありがとうございます。

コメントをいただいたのが2014年なので、
もうルルさまは、こちらをご覧に
なっていないかもしれないです。
それでもいまさらながらお返事したいと思います。


一般論を述べると、まともな男性は、
残念ながら全体から見たら少数のようです。
せいぜい1-2割程度ではないかと思います。

あなたの友人の男性たちは、
1−2割のほうに入る、まともなかたたちが
ほとんどなのだろうと思います。
これはこれで幸運だったと思います。


残りの8-9割程度の男性諸氏は、
残念ながらまともでなく、
ミソジニーや反フェミに「罹患」していたり、
非もてや弱者男性と化して
いることが多いようです。

ツイッターをはじめネットの各所は、
「残りの8-9割」に含まれる男性たちが、
その醜悪な本性を吐きやすい場所と
なっているようです。

なので彼ら「残りの8-9割」に対して
警戒するのはもっともというか、
身を守るために必要なことだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2023年04月19日 22:27
ルルさま、前の続きです。

>しかもその内容は、
>馬鹿馬鹿しいものばかり

もともと反知性的で、実証的な主張や
議論ができないことに加えて、
劣情を吐くので、なおさら低レベルで
聞くに耐えないものとなるのでしょう。


>彼らは自分たちの立場を悪くしていることに気付いているのでしょうか

ますます自分がもてなくなるとか
女性からの好感度が下がることは、
彼ら「残りの8-9割」の男性たちは
ほぼ考えていないと思われます。

彼らは基本的に他責傾向の
強い人たちだろうと思うのえ、
自分に問題があるとは思わないでしょう。
それゆえ自分の言動をかえりみることも
ほとんどないものと思います。

むしろ、彼ら「残りの8-9割」の人たちが、
ネットで発言を続けることで、
影響力を強め、社会的な立場がよくなる
可能性もあると思います。

なので彼らの発言がばかばかしいと
思っても、わたしたちとしては
あなどらず警戒して対処する
必要があるだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2023年04月19日 22:28
あいうえおさま、
こちらにもコメントありがとうございます。

非もては、もてるために自分を変えるとか、
自分からもてることをする、という
発想や感覚にとぼしいと思います。

基本的に他責傾向なので、
自分が困難に直面したときは、
他人や周囲のせいになります。

彼ら非もては、自分に原因があるとは
考えないので、自分を変えることを
しないものと思います。
Posted by たんぽぽ at 2023年04月19日 22:29
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