そのときわたしは、「鈴木寛氏の落選と離党は、その科学と知性の
後退の象徴と言えそう」と、簡単な理由を付けて書いたのでした。
そうしたらたくさんブックマークがついたのですが、
その中に「ホメオパシーを代替医療の一つとして挙げていた
鈴木氏の退場が? 笑わせる」というコメントがあったのでした。
そのあとそのかたとすこし議論になったのですが、それがつぎのトゥゲッターです。
ここではわたしの考えだけお話しておくことにします。
「鈴木寛の退場は「科学と知性の後退」か?」
わたしが鈴木寛氏に対して上述のように評価したのは、
震災対策や教育問題における業績が大きいと思ったからです。
原発対応や親学について、いろいろとデマが流れていますが、
実際には現状をよく鑑みて妥当な判断をしていたと思います。
「鈴木寛とSPEEDIのデマ」
「鈴木寛と親学のデマ」
「鈴木寛・その他のデマ」
震災対応については、SPEEDIのことや、20ミリシーベルト方針も、
社会的影響や被災地の立場をよく考えた上での判断だと言えます。
福島の女子中学生が「もう子どもは産めなくなるのか」と悩むことも、
不当に傷つけられていると、その非科学性を批判しています。
被災地のかたも「鈴木寛さんは、震災後、相馬に何度となく
足を運び、汗をかいた方」と評価をしています。
教育問題についてはややむかしのお話ですが、
コミュニティスクールについてのシンポジウムや、「家庭教育支援議連」に参加して、
権威ある小児科医を招いて発達障害の支援制度を作ろうとしたことがあります。
これだけ業績があれば(もちろんわたしが知らない業績も
ほかにたくさんあるでしょう)鈴木寛氏はじゅうぶん科学と知性の側で
貢献したと考えることができると、わたしは思ったのでした。
それで鈴木寛氏の退場は「科学と知性の後退」としたということです。
とくに鈴木寛氏をある程度くわしく知っているかたは、
みなさんどなたも鈴木寛氏の業績や人格をとても評価していて、
ぜひとも政治家を続けてほしかったとおっしゃっているのですよね。
これらを見て、鈴木寛氏はたいへん人望のあるかたなのだと、
わたしは感銘を受けましたよ。
「藤原和博のシンポジウム (コミュニティスクール、道徳教育etc)」
「相馬市長の訴え 「根拠のない、過激な発言が、
福島の人々をどれほど深く傷つけているか知ってほしい」」
http://mayukakaku.seesaa.net/article/369510299.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/369640738.html#comment
鈴木寛氏の「後任」と呼べる人たちとのコントラストも大きいと思います。
7月の参院選で鈴木寛氏を攻撃していた山本太郎氏は、
さきに紹介した相馬市長が「山本太郎氏の意見には、眉を顰めています。
福島では、同じような意見をお持ちの住民は多数います」と述べています。
また山本太郎氏は震災がれきの広域処理に反対していて、
各地のがれき焼却の反対派を焚き付けることもしていました。
最近でも国会で配られるお弁当が、放射能汚染されている可能性を
ほのめかす発言をするなど、非科学的な言動が目立っています。
下村博文氏が現在文部科学大臣となって、
教育界で幅を利かせているのも、きわだっていると思います。
下村博文氏は文部「にせ」科学大臣と言ったほうが適切なくらい、
にせ科学漬けになっているかたです。
さきの「家庭教育支援議連」で鈴木寛氏と主導権を争って、
自身が信奉する「親学」の議連に衣替えしようとしたこともあります。
鈴木寛氏が退場して、代わりに山本太郎氏や下村博文氏が活躍するのは、
「科学と知性が後退した」と言えるだろうと思います。
これは反知性的なものや非科学的なものを支持する
最近の世間一般の傾向を反映しているとも言えて、
その意味でも「象徴」と考えられることだと思います。
鈴木寛氏には数多くのデマが流され、いまもって信じている人もいますが、
これもそれだけ反知性が蔓延している、ということだと言えます。
それから鈴木寛氏は7月の参院選のとき、街頭演説の最中に
殴られるというのっぴきならない事件がありました。
これも知性に対する反知性の挑戦と考えられるでしょう。
鈴木寛氏が代替医療のひとつにホメオパシーを挙げていたことは、
わたしも「そういうことがある」程度ながら知っていました。
そしてここに挙げた鈴木寛氏の業績は、多くがわりあい最近知ったものです。
かかる業績を知って、鈴木寛氏はいたってまともなかただと
見直すようになり、ホメオパシーのことはたいしたことではなく、
ちょっとした庇護程度だと、考えるようになったのでした。