色覚検査の表を「心理テストだ」と言って、流布されることがあるのですよ。
これだけでも大問題ですが、「診断結果」まで差別的だったりします。
「【ガセネタ】色弱テストに変な注釈を付けた画像が拡散中【注意】」
「色覚テストを受けてみたら何故か低IQとか同性愛者ってことになってた」
問題の「心理テスト」はこのツイートにリンクされた画像データです。
どう見ても石原式の色覚検査表です。なにか細工があるわけではないです。
「絵の中の数字が見えない場合」として「ADHDの疑い」とか
いろいろありますが、これらはもちろんぜんぜん根拠のないことです。
色覚検査を「心理テスト」といつわって流布するのは、
色覚異常のかたへの差別ですが、さらにはADHD、低IQ、同性愛、統合失調症と、
さまざまな方向に差別意識が現れていると言えます。
ちなみに「精神分裂症」は、いまは「統合失調症」と言います。
こういう常識が古いところに、かかる「心理テスト」を流布させた人の
知性がうかがえるように思います。
はじめにこのいたずらが広められたのは、いまから2年ほど前のようですが、
すでにもとのツイートは削除されています。
それでもリツイートなどで画像データがだいぶ拡散されたからなのか、
ときどきぶり返したように話題になることがあるようです。
2年前のトゥゲッターを見ると、本当に色覚検査表を知らないようで、
騙された人がたくさんいるのですよね。
色覚検査を見たことない人がこんなにも多いのかと思ったのですが、
10年前の2003年に学校で色覚検査をやらなくなっているのですね。
「色覚異常、半数気づかず 検査中止10年、進路断念も」
いまの10代の子は、色覚検査を受けたことがないということです。
彼らは色覚検査表を見たことがなく、本当にご存知ないのでしょう。
色覚検査を受けたことのない人は、今後どんどん増えるのですから、
ますますいたずらに引っかかる人が出てきやすくなると言えます。
それでも、すでにウェブに拡散してしまった画像データを
全部削除するのは、むずかしいだろうと思います。
色覚検査を学校で行なわなくなったのは、色覚異常で差別されることと、
色覚異常があっても生活への支障がすくないことによります。
検査がなくなったことで、自分の色覚異常に気づかず、
就職のときはじめて気がついて進路を断念した、ということもあるので、
色覚検査の中止がよかったかどうかは、議論の余地がありそうです。