2013年10月15日

嫡出欄廃止の出生届け

兵庫県の明石市で、嫡出・非嫡出の申告をするチェック欄をなくした
新しい様式の出生届けを作り、10月1日から使うようになったのでした。
このチェック欄の存在も、婚外子差別の一貫として批判が大きかったものです。

「「婚外子」の記載不要=全国初、出生届の様式変更—兵庫県明石市」
「明石市:嫡出子欄のない出生届の運用開始…全国初」

これは9月4日に、婚外子の相続格差に違憲判決が出たことの影響でしょう。
さっそく具体的な波及効果が出たことになります。
全国に先駆けた明石市はすばらしいですね。



チェック欄をなくした新しい様式と、チェック欄のあるいままでの様式の
両方の出生届けを用意し、住民がどちらも選択できるようしています。
「選べる」というのも好感が持てるところですね。
「市民にもいろいろな事情がある。多様性に寛容な方が居心地のいい社会ではないか」
と泉房穂市長はコメントしています。

明石市ではもともと、嫡出・非嫡出を区別するチェック欄に
記載がなくても、出生届けを受理していたのでした。
(2010年3月からチェックがなくても、自治体が親の戸籍簿などから
確認できる場合は、出生届けが受理できるようになっています。)
チェック欄廃止の様式は、その延長でもあるのかもしれないです。

法的扱いはどうなっているのかと思いますが、明石市は
「今回の運用も法務省通知の範囲内の対応」としています。
嫡出欄の違憲性をめぐる訴訟の、9月26日に出た最高裁判決にある
「記載の義務づけが、事務処理上不可欠とはいえない」を受けたものと思います。


ところが法務省が「チェック欄のない出生届けは法令違反だ」として、
戸籍法にしたがった従来の様式を使うよう、指示を出しているのですよね。
神戸地方法務局が明石市に文書を送っているのです。

「婚外子欄ない出生届は「戸籍法に違反」 兵庫県明石市に法務局が是正指示」

谷垣禎一法相も、チェック欄のない出生届けを使うことに対して、
「法令で定められたところに背く扱いを行おうとすることは極めて遺憾だ」
などと述べて、明石市に釘を刺したりしています。

「明石市出生届は法令違反=谷垣法相」

こういう人たちは、差別を温存することになると、法令やら規則やらを
守らせようとしてやっきとなるのだなと、あらためて思います。
明石市が法務局の文書に対してどういう対応をしたのかわからないですが、
面倒なことににならなければよいと思います。

釘を刺したのは、9月26日に嫡出・非嫡出のチェック欄がある出生届けが
合憲と判断されたので、それも背景にあるのかもしれないです。
さらに谷垣法相に関しては、自民党のお歴々が信奉する「家族のカチ」のために
婚外子差別をすこしでも温存したいのもあるかもしれないですね。


追記:
明石市は、嫡出・非嫡出のチェック欄をなくした出生届けの交付を、
早々に中止していたことがわかりました。
わずか4日ですよ。じつにお粗末なお話だと思います。

「「嫡出子」欄を削除した出生届の交付中止 法務省からの指摘受けて兵庫県・明石市 」

明石市は法務省に対して反論らしい反論もしていないようなので、
おそらくは萎縮したのでしょう。ある意味日本的だと思います。
(この情報を教えてくださったかた、まことにありがとうございます。)


posted by たんぽぽ at 23:58| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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