2013年09月20日

インドでレイプ犯に死刑

メインブログの9月20日エントリで、インドのニューデリーの
レイプ犯に死刑判決が下ったことを取り上げたのでした。

「インドでレイプ犯に死刑」

このように開発途上国での女性の人権侵害が話題になると、
日本のある種の人たちの中に、よく出てくる論調があるのですよね。
もうすでにそういうお話をしている人もいるのかもしれないです。




それは「日本ではインドのような残忍なレイプは起きない。
なので日本の女性の権利が守られた人権先進国であって、
日本の女性差別は世界的に見てもたいしたことないものだ。
よって『女は差別されている』などと騒ぐのは過剰反応だ」というものです。

日本にも深刻な女性差別はあるし、それは改善されなくてはならないことです。
性犯罪にかぎっても、痴漢は多いし、性暴力が親告罪になっているし、
親族間や夫婦間のレイプが犯罪にならないなど、
レイプとして認められる範囲が狭いし、刑罰も軽くなっています。
これらは国連女子差別撤廃委員会から改善することとして、勧告を受けています。

「日本と欧州の人権水準」
「性犯罪の範囲の広さ」

社会通念としても、自衛しない女が悪いという「被害者落ち度論」は
まだまだ健在ですし、性暴力の加害男性に対しては
「男は性欲があるからしかたない」で容認される傾向も強いです。
こうした状況が、性暴力の被害にあった女性を訴えにくいものとし、
実際日本の性犯罪は表に出ない「暗数」がとても多いです。

「性被害の自衛論と男性の性欲」

それから、痴漢や性暴力の被害にあった女性が届け出ても、
警察が立件しないことは、日本でもまだまだあるのでは?と思います。
性犯罪の被害を軽く見ていることに加えて、性犯罪を立件せず
表沙汰にしないことが、被害者への「配慮」だと思うわけです。


インドの性犯罪の事情がどのようなものであろうとそれを理由に、
これら日本の女性に対する人権侵害が正当化されたり、
たいしたことないと矮小化されてはならないことです。
日本で人権侵害にあっている女性にとっては、現在進行形で深刻であり、
日本の性被害を正当化や矮小化をするのは
被害にあうことのない人の無神経と言わざるをえないです。

ひどいのになると、「日本の女どもは日本社会や日本の男たちに感謝しろ」
などと言ってくるのもいるのですよね。
日本にも女性への人権侵害はあるし、当事者には深刻ですから、
その程度の「日本社会」や「日本の男たち」に感謝はできないですね。

そもそも女性がレイプされないでいられるのは
「あたりまえ」のことであって、「感謝する」ことではないです。
あたりまえのことがあたりまえでいることに、なんで感謝がいるのかと思います。
こういう人は、女をレイプしても男が罰せられないのが
「あたりまえ」とでも思っているのかと思います。

こういう「下を見て暮らせ」は、江戸時代の部落差別を見ればわかるように、
被抑圧者の不満をそらし、上の者が批判を向けられずに
安泰でいるための方便として使われてきたことです。
いまの場合、「上の者」はもちろん「男社会」であり、
それによって既得権を得ている「男たち」なのは、言わずもがなでしょう。


開発途上国の女性に対する人権侵害の話題を取り上げる目的は、
広く世界を見回すと、女性というだけで悲惨な状況にある人は、
まだまだたくさんいることを知ってもらうことであり、
またこうした女性たちをいかにして救うかを
考えてもらうためであることにほかならないです。

「日本の女性差別はたいしたことない」などと悦に入るとか、
「日本の女はがまんしろ」などと現実にある女性差別を
正当化するためではまったくないことは、言うまでもないことですね。


関連エントリ:
「インドでレイプ犯に死刑」


posted by たんぽぽ at 23:22| Comment(6) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
むしろ個人的には社会的に女性が下にみられている方がトータルでは平等だと思います。
今の日本は昔に比べ男女平等が進んでいますが、恋愛の方は女性が面接官気取りなので、女性の方が上ではないかとついつい思っています
本当の意味で男女平等を実現したいなら、そこら辺にもメスを入れる必要があります。
でないと、選ばれる立場である男性の不満が増す一方です
Posted by sabinekonya at 2015年05月19日 13:31
sabinekonyaさま、
なぜにこのエントリにそのコメントかしら?

恋愛なんてまだまだ男性本位ですよ。
男性は自分のことを考えて、自分のスペックを高めることに集中していれば、
直接相手の女性のことを考えなくても女性に選ばれるという、
むかしながらの恋愛観はまだまだまかり通ります。

ストーカーの加害者に男性が多いのも、
「女性は男性の思い通りになってしかるべき」という、
男性本位の恋愛観が残っているからです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/383010982.html

「非もて」に男性が多いのも、「自分に女性が配分されない」ことを
「被害」として語ることができるからで、
「男性は女性を手に入れられてしかるべき」という、
男性本位の恋愛観が残っているからです。
http://bit.ly/1iZfxqW
Posted by たんぽぽ at 2015年05月20日 23:20
男性本位というか…

>恋愛の方は女性が面接官気取りなので、女性の方が上

 こういうことを言う男性がネットではなぜか目に付くんですが、こういう場合の【女性】ってモテる女性ばかりなんですよね(^^ゞ
 よく言いますでしょ「選ぶ権利がある」って。
 これ、男女共にあるけんりなんですけどモテるほうが当然選択肢が増えるのは当たり前です。
 
ただ、モテる男性の特徴としてブスにも優しいというのはありますね、たとえ表面的であっても。
 女って、それほどバカばかりじゃありませんから、容姿や年齢で女性の扱いを変える男にそうそういい感じは持ちません。
「非処女は中古」とか「30すぎのババア」とかいう男が選ればれるはず無いんですよ。
Posted by イカフライ at 2015年05月21日 10:55
どうしようもないほど悲惨な現実です。

正論が通じない状況にされています。
Posted by m13 at 2015年05月21日 13:59
イカフライさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>こういう場合の【女性】ってモテる女性ばかりなんですよね(^^ゞ

なぜか一部の限られたところだけ見ているのですよね。
もてない女性や、スペックの低い女性だって
たくさんいるのですが、視界に入らないのかと思います。

こういうのはかかる男性が、ふだんどういう女性を
見ているかの反映ではないかと思います。
つまり彼らこそ、そういう女性にもてたいと思っている、
(そういう女性ばかり選ぼうとしている)ということかもしれないです。


さらに言えば、この程度のことで「男性の不満が増す一方」などと言って、
女性差別の存在を否定しないでもらいたいものですよ。
恋愛の世界の限られた一部だけ見て、女性のほうが優遇されていると
思い込むなんて、どれだけ見識が狭いのかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月22日 22:59
m13さま、
どなたのことを言っているのかしら?

エントリで書いた「反反差別」の人たち?
それとも最初のコメントのかたのことかしら?

どちらでも、つじつまは合うと思いますが。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月22日 23:00
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