単なる事実婚ではなく、必要なときに婚姻届けを出して法律婚になったり、
離婚届けを出して事実婚に戻ったりを、繰り返していらっしゃるかたです。
「結婚、離婚をくり返す事実婚夫婦「必要あれば何回でも」」
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事実婚のままだと、その子は嫡出子、新生児は非嫡出子になる。
そうした不公平を避けるため、Aさんと夫は臨月に婚姻届を提出。
出生届を出すとすぐ離婚届を出し、事実婚に戻った。
「夫婦2人とも名字を変えたくないので、やむを得ず事実婚を続けています。
制度がこのままなら、必要であれば何回でも、書類上の結婚・離婚を繰り返すと思います」
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ようするに「ペーパー離再婚」というものですね。
最近このことばを聞かなくなったのですが、実践するかたはとうぜんいるのですね。
日本の現行民法は夫婦別姓が認められないですから、
結婚しても苗字を変えたくなければ、事実婚にすることになります。
ところが事実婚だと、法律婚で得られる権利が得られないことがあり、
不利益が生じることがあります。
法律婚になったり事実婚になったりを必要に応じて繰り返せば、
自分の苗字を守りながら、事実婚の不利をある程度回避できることになります。
現行民法は、女性にかぎり父性の推定のために
離婚後は半年のあいだ結婚できない、再婚禁止期間があります。
ところがおなじ人と再婚する場合は、父性の推定の問題が起きないので、
再婚禁止期間が適用されなくなります。
それゆえ半年を待たなくても、つぎの日から婚姻届けを出すことができて、
離婚と再婚を繰り返すことに、なんら支障は生じないということです。
日本人は戸籍に関してやたら神経質な人もすくなくないようで、
戸籍に離婚歴が付くと「戸籍が汚れる」と言う人もいたりします。
ペーパー離再婚を繰り返すとそれだけ離婚歴が付きますから、
「戸籍が汚れる」という感性のかたには、おすすめできないことになります。
わたしに言わせれば、「戸籍が汚れる」というのは
感情的なことでしかないので、ペーパー離再婚で得られる実利を考えると、
戸籍に離婚歴が付くことに神経質になるのは、損ではないかと思います。
選択別姓の反対派(非共存派)の中には、ペーパー離再婚が許せないらしく、
卑怯なことをしているかのように攻撃する人も、ときどきいるのですよね。
ペーパー離再婚は脱法性が生じることがあると言われていますが、
法的に認められた手続きを繰り返すだけで、違法ではまったくないですよ。
おそらくこういう非共存派は、法律婚で得られる権利と、
女性の結婚改姓を「バーター」と考えているのだろうと思います。
それで結婚改姓をせずに、法律婚の権利がある程度得られる
ペーパー離再婚が気に入らないのではないかと思います。
非共存派というのは、「法律婚したければ改姓しろ、
改正したくないなら法律婚するな」という二者択一を突きつけたい、
ということだと思います。
そして「やむをえずペーパー離再婚している」なんて事情は
つゆほどにも考えようとせず、「改姓したくないのに
法律婚の権利をいただこうとするふとどきもの」くらいにしか
思っていないのだろうと思います。