2013年06月09日

事実婚でも大統領夫人待遇

すこし前のニュースです。
今月来日するフランスのオランド大統領の事実婚のパートナー、
バレリー・トリルベレールさんを正式な大統領夫人として招待するか、
という議論が日本政府の中であったのでした。

「事実婚でも夫人待遇 仏大統領来日で外務省」

国賓として日本に来るかたは、宮中晩餐会のような
皇室主催の行事にも参加することになります。
それでそこへ事実婚の妻を招待して問題ないか
ということを議論していたのでした。


 
記事は短いので全文引用します。

6月に国賓として初来日するフランスのオランド大統領の
事実婚パートナー、バレリー・トリルベレールさん(48)を、
正式に結婚した夫人として接遇するかどうか
日本政府内で議論となり、最終的に夫人と同じ扱いをするとの
結論を出していたことが8日、分かった。

外国要人が国賓として来日する場合、宮中晩さん会など
天皇、皇后両陛下主催の行事が予定される。
外務省関係者によると、正式に結婚していない
パートナーを晩さん会などに招くことに問題はないか
という点が議論になったという。

外務省側は、オランド氏がこれまで国賓として訪問した
インドやモロッコなどで、同伴したバレリーさんが
「ファーストレディー」として待遇されていることなどを
映像も添えて説明、関係省庁も同意した。

バレリーさんは昨年5月のオランド氏訪米の際も
「未婚のファーストレディー」として紹介され、
ファッションと共にフランス流の男女関係に注目が集まった。(共同)


この議論は、外務省や関係の省庁のあいだで行なわれました。
結論は、バレリーさんを正式な大統領夫人として
招待することになったので、これはこれでよかったとは言えます。

それでも、正式な大統領夫人として招待して当然だと、
わたしは思うので、こんなことを議論して決めるというのは
いささか情けないと、わたしは思いました。
夫婦別姓が認められない日本ならではだと思います。

外務省の説明では、インドやモロッコでもバレリーさんが、
大統領夫人として招待されていることを挙げたとあります。
日本より遅れている(と、日本人が思っている)国でも
事実婚のパートナーを妻と認めているのだから、
という判断が入ったのではないか、という気がしないでもないです。


議論が省庁のあいだに留まり、新聞記事で公表されたときは、
すでに大統領夫人としてお招きすることが決まっていたから、
たいしたことにならないですんだと言えます。
世論を巻き込んでの議論になって、賛否が分かれたりしたら、
かなり面倒なことになっていただろうと思います。
日本の後進性を無駄に外国にアピールすることになったでしょう。

フランス側も、バレリーさんが事実婚のパートナーだというので、
外国で大統領夫人として扱われないのではないかという
懸念はあったのですが、これは未婚の男女の関係にやかましい
イスラム諸国を念頭に置いてのことだったのでした。
日本訪問で事実婚が問題になるなんて、
想定はしていなかったのではないかと思います。


posted by たんぽぽ at 11:45| Comment(4) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あまり関係ありませんが、オーストラリアのケビン・ラッド現首相のご夫人のテレイズ・レインさんは(元)会社経営者で夫婦別姓を実践しているそうです(事実婚ではなさそうですが)。

これなんかも、別姓反対の狂信者とかは「夫婦別姓だったら正式にファーストレディとしては認められない」とかいいかねない話ですね(笑)
Posted by 魚 at 2013年07月05日 12:28
いっぱいコメントをくださり、ありがとうございます。

>オーストラリアのケビン・ラッド現首相のご夫人のテレイズ・レインさんは
>(元)会社経営者で夫婦別姓を実践しているそうです

おお、そうなのですね。
欧米の民主主義国のあいだでは首脳の結婚の多様性なんて
一般的になっているようですね。

夫婦別姓であっても法律婚でしたら、霞ヶ関のお役人であれば、
たぶん問題なくファーストレディとして受け入れると思います。
ご指摘のように狂信的な別姓反対派であれば、
どんな反発をするかは、わかったものではないですね。(苦笑)
Posted by たんぽぽ at 2013年07月06日 18:10
こんなのもありました。

第5回アフリカ開発会議(TICAD V)に出席のため横浜市内を訪問中の安倍総理は、国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁による表敬を受けました。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201306/03ticadvp.html

この、ヘレン・クラークさんも、夫婦同姓が伝統のニュージーランドで夫婦別姓を実践されているそうです(といってもやはり事実婚ではなく、法律婚ですが)。

オセアニアはリベラルな意識が高いのかもしれませんね。
Posted by 魚 at 2013年07月09日 12:16
いっぱいコメントありがとうございます。

>http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201306/03ticadvp.html
>この、ヘレン・クラークさんも、夫婦同姓が伝統のニュージーランドで
>夫婦別姓を実践されているそうです(といってもやはり事実婚ではなく、法律婚ですが)

ご紹介ありがとうございます。
いろいろとよくご存知ですね。

安倍のような家族に関して因習・反動的な人が、外国で夫婦別姓を
なさっているかたと接するとき、なにを思うのかと思います。
「日本は外国と違う」なんて思っているのでしょうか。

>オセアニアはリベラルな意識が高いのかもしれませんね

オセアニアはというより、先進国はこれくらいがふつうなのではないか
という気がします。
Posted by たんぽぽ at 2013年07月10日 19:41
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