その法制化に活躍したボリス・ディトリッヒ氏の
インタビューがあるので、ご紹介したいと思います。
ディトリッヒ氏は、オランダで最初に同性愛者であることを
カムアウトした国会議員でもあります。
「LGBT課題のフロントライン -- 同性婚、差別、暴力
ボリス・ディトリッヒ氏インタビュー」
インタビューの内容については、記事をご覧いただくとして、
これを読んでわたしが思ったことを、いくつかお話したいと思います。
ディトリッヒ氏がサンフランシスコにいたときのことです。
そこで会ったハーヴェイ・ミルク氏がディトリッヒ氏を見て、
同性愛者だと見抜いたことが、わたしはすごいと思いましたよ。
このころのディトリッヒ氏は、自分が同性愛者であることを隠して、
異性愛者であるかのように振る舞っていたので、
自分が同性愛者と知られたことに、びっくりしたのでした。
ハーヴェイ・ミルク氏は性的少数者の権利のために
活動している運動家なのですが、普段から性的少数者を見ていると、
雰囲気でなんとなくわかるのでしょうか?
ミルク氏自身同性愛者なのですが、自分が同性愛者だと
「蛇の道はへび」みたいに、他人のこともわかるのでしょうか?
ボリス・ディトリッヒ氏は、国会議員になると、
同性結婚の法制化のために、働きかけることになります。
ところがまわりの法曹関係者に、同性結婚のことについて訊くと、
「同性の婚姻なんてありえない」という反応だったのでした。
オランダでもはじめは、法曹関係者でさえ、
同性の結婚に対して否定的だったということがわかります。
あたりまえのことですが、どこの国でも最初から
同性結婚に理解があったのではない、ということですね。
この点は日本だけが特別ということではないわけです。
そのあとは「数年かかりましたが、国会で多数派をえることができ、
2001年に世界で初めてオランダで同性婚が導入されました」とあります。
「数年かかりました」という語りかたから、
法制化にこぎ着けるまでに、いろいろと苦労したことがわかります。
それでも数年で実現するのはすごいと、わたしは思いますよ。
日本なら数年どころか、数十年かけても実現しないと思うからです。
このあたりが、ヨーロッパの民主主義国と
日本の違いになるのだろうと思います。
2ページ目で、ディトリッヒ氏は、性的少数者の問題を
解決していくための、4つのミッションを挙げています。
これは差別解消のための指針になると思います。
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(1)世界中のすべての国において同性愛行為を非犯罪化すること、
(2)世界各地の政府に対して反差別法を導入させること、
(3)世界各国の人権団体が同性婚やパートナーシップ法の導入に向けて
運動するのをサポートすること、
(4)イベントやセミナーを通してLGBTの人たちの置かれた状況を改善したり、
LGBTフレンドリーなポリシーを導入しようとしている会社へのサポートをすることです
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日本は同性愛が犯罪とはならないので、(1)はクリアしています。
日本で課題となるのは、(2)、(3)、(4)ということになります。
日本では同性愛者に対する差別を禁止する法律はないですし、
法律で同性結婚は認められていないし、パートナーシップ法もないからです。