2012年05月11日

小選挙区を主張したか?

「世に倦む日日」氏による政治改革評ですが、
つぎは「小選挙区二大政党制」のくだりを見ていきます。

「世に倦む日日」氏は、「小選挙区二大政党制」を
推進して来たことに、とても不満を持っています。
90年代以降の政治は劣化していて、その原因とでも考えているようで、
「政治改革は失敗した」とまで言っています

そしてその「小選挙区二大政党制」を、
山口二郎氏は主張したのであり、だから山口はケシカランと
言いたいわけなのですが、実際はどうなのでしょうか。




>なぜ中選挙区は廃止されたか

はじめに中選挙区がなぜ批判され、
廃止されたのかを、お話しておくことにします。

中選挙区は、おなじ政党から複数の候補者が立つので、
政党の中に派閥ができることになります。
政党の数=選挙区の定数+1になりやすいという、
「デュヴェルジェの法則」ですが、
おなじ政党内なので、派閥にわかれることになります。

そうなると候補者の主張が派閥優先になり、
政党の主張が有権者に見えにくくなります。
所属政党の主張に反する主張をする候補者が、
派閥の代表として立つことも出て来ます。
政党本位で有権者にとってわかりやすい選挙、
という観点から、中選挙区は困ったことになるわけです。


55年体制時代の自民党は、自分の選挙区に、
「政治家城下町」を作り、いかにして公共事業を
引っ張ってくるかが、最大のモチベーションでした。
そのため選挙が、派閥間での公共事業の
引っ張り合戦となり、一般有権者のための政策が、
置き去りにされることになります。

派閥間で公共事業の引っ張り合いになると、
政治家は補助金をできるだけ多く取って来ることを
優先するようになり、地元の企業も政治家に献金を
できるだけ多くわたすことに、熱中するようになります。
つまり金権選挙を誘発しやすくなるわけです。

それから、中選挙区の場合、10数パーセントの得票で、
投票できるので、支持基盤からの組織票を集めれば、
浮動票を取る必要がほとんどなくなります。
よってここでも、「政治家城下町」の支持基盤の
意向だけが反映されるようになり、
一般有権者の意志が反映されないことになります。

こうしてみると中選挙区は、さまざまな理由で、
55年体制時代の「自民党的」な政治、
すなわち公共事業のばらまきが中心の、
金権選挙の温床となることがわかります。
かかる「自民党的」な政治と決別するために、
中選挙区は廃止されたことになります。


>山口二郎氏は小選挙区を主張したか

本題ですが、山口二郎氏は、『政治改革』の中で、
小選挙区が望ましいなどとは、書いておりません。
170-172ページに、「小選挙区はなぜだめなのか」
という節があり、いくつかの根拠を挙げて、
小選挙区の問題点を指摘しています。

具体的には、たとえば「勝者皆どりの思想に
基づいていて、勝ち馬に乗らなかった人の意見を
すべて切り捨てる」(170ページ)こと、
1980年代のイギリスの例を挙げて、
「最初は小さい所帯から出発する新興勢力にとっては不利」で
「政界再編に対して著しく抑止的に働く」(171ページ)
ことを指摘しています。

また「政党の地方組織のあり方と、候補者の公認の
手続き」の問題をクリアしないと、「小選挙区と
二大政党制とを結びつけるのは短絡的」であるとして、
「単に小選挙区を実施すれば問題が解決する
というのは幻想」(171ページ)とまで述べています。

こうして見ると、山口二郎氏は小選挙区に対して
相当に批判的と言わざるを得ないでしょう。
「世に倦む日日」氏が決めつけているように、
「小選挙区二大政党制でよくなる」などとは
考えていなかったことがわかります。


山口二郎氏はどんな選挙制度を望ましいと
しているかというと、比例代表がメインの制度です。
172ページで「選挙制度の改革は、基本的に
比例代表制の導入によって行うべきというのが
本書の立場である」と書いています。

そして175ページで、「具体的な比例代表の仕組みとして、
ここではドイツ型の比例代表制(いわゆる併用制)と
都道府県単位の比例代表制を候補にあげたい」と述べて、
その特徴を解説しています。


『政治改革』の170-179ページを引用しておきます。

http://lacrima09.web.fc2.com/figs/seiji-kaikaku2.html


posted by たんぽぽ at 23:34| Comment(2) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメント移動しました
Posted by 御光堂 at 2012年05月12日 06:00
わざわざどうもです。
Posted by たんぽぽ at 2012年05月13日 23:22
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