2010年07月18日

ワシントンポストの記事

「夫婦別姓が選挙の争点となる日本」
(Women's surnames a hot-button topic in Japan poll)

Yoko Kubota
東京(ロイター)
2010年7月7日水曜日 午前5時54分


 
折田明子さんが、生来の苗字を替えないために、
事実婚を選んだのは1998年のことだった。
それは、民法が改正されて、夫婦別姓が認められるまでの
一時的な措置のはずだった。

それから12年経ったいま、彼女は事実婚のままであり、
それがこんどの日曜日の参院選の重大な争点となっている。

「私が苗字を変えたくないのは、自分の苗字が好きだからです。
私にとって改姓は不自然に思えることでした。」
慶応大学で准教授をしている、35歳になる折田さんは言う。

「私たちは、おたがいを家族と思っています。
しかし、民法改正に反対する人たちは、
私たちが家族破壊をしていると言います。
おかしなことだと思います。」


消費税10%の増税をふくむ財政再建が、
選挙の争点として注目されている中、
いくつかの政党は、夫婦別姓問題を集中攻撃することで、
保守派の支持者に擦り寄ろうとしている。

結婚してもべつべつの苗字を名乗れることを
公約としてきた民主党が、昨年政権を取ってから、
夫婦別姓の議論が再燃、民法改正法案が、
政府提出されるものと、大いなる期待が寄せられた。

しかし、連立政権内からの反対にあい、政府案の提出は頓挫し、
民主党は公約の履行を断念することになった。

野党第1党である自民党、および民主党と連立政権を
組んでいる国民新党は、その政権公約で、
夫婦別姓法案に反対を明言している。
これに対し、社民党は賛成している。



時期尚早ではない

主要8ヶ国首脳会議の参加国の中では、
日本はただひとつ、夫婦同姓を強制する国である。

この法律は、日本の家族のありかたに対する
伝統的な考えかたにもとづいている。
それは、家族を単位として、財産や家業、苗字を
男性が継ぐというものである。

民法改正に反対する人たちは、姓は家族のものと考える。
別姓で離婚が増える原因となり、また子どもがかわいそうだから
慎重になるべきだと言う。

「伝統的な価値観を持った人はたくさんいるし、
彼らは家族制度において、それが重要と考えるわけです。」
早稲田大学の山本武彦教授は言う。


男性も妻の苗字を名乗ることはできるが、実際にはまれである。
既婚女性の多くは、仕事などで使う生来の姓と、
法的文書で使う戸籍姓のふたつを、使い分けることになる。

そこで、そのわずらわしさを防ぐために、
配偶者の財産の相続などで不利益にもかかわらず、
戸籍上の姓も変えず、生来の姓のままにする
折田さんのような人たちもいるのである。


2006年の世論調査では、36.6%が希望するなら
婚前の苗字を変えなくてすむよう、法律を改正してよいと答えた。
2001年の調査から6ポイント下がったが、
1996年の調査よりは4ポイント高い。
しかし、35%が結婚したら夫婦同姓を名乗るべきで、
法律を改正する必要はないと答えている。

しかし、折田さんのようなかたが、姓を変えずに、
法律婚できるようになるまで、もうすぐかもしれない。

民主党は、選挙で思いがけず大勝したが、
夫婦別姓に反対する政党との連立を必要としている。
民主党内でも、この問題については、意見が分かれている。

折田さんはそれはやむをえないとしている。
「この点については、なかばあきらめています。
さまざまな価値観を含む問題で、
社会の合意を得るのはむずかしいですから。」

(Sugita Katyal)



posted by たんぽぽ at 13:07| Comment(0) | TrackBack(0) | リンク集・引用・翻訳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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